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【コラム】プレミアリーグ序盤戦で見えた新ヒエラルキー「チェルシーの安定感が群を抜く」| 粕谷秀樹のNOT忖度

読了時間 6分
2021-09-24-de bruyne-lukaku-van dijk (C)Getty Images

横綱はシティとリヴァプールだが…

この世の中にはヒエラルキー(階層)が存在する。

かちあげの名を借りた悪質な肘打ちを繰り返し、休場ばかりしていても、白鵬は相撲界のトップである。平幕にコロコロ負け続けても、貴景勝と正代は大相撲の看板とされる大関だ。

フットボールに横綱、大関という明確な番付はない。しかし、近年の実績を踏まえると、プレミアリーグでは マンチェスター・シティ リヴァプール が横綱で、 チェルシー マンチェスター・ユナイテッド が大関だ。

当然、今シーズンも彼ら中心の優勝争いになる公算が大きく、なかでもチェルシーの安定感が群を抜いている。

ロメル・ルカクは “ラストピース” だった。彼が加わった前線は厚みが増し、地上戦でも空中戦でも対戦相手を仕留められる。現時点で唯一の不安は、ベン・チルウェルの調整が遅れていること。いや、左ウイングバックはマルコス・アロンソが難なくカバーした。いま、チェルシーは非常に強い。

20210914_Romelu Lukaku_Chelsea

チェルシーを追う二番手がシティとリヴァプールだ。前者のペップ・グアルディオラ監督、後者のユルゲン・クロップ監督はどちらも方法論に長じている。チェルシーのトーマス・トゥヘル監督も、試合ごとに複数のプランを用意するタイプだ。

ここがユナイテッドとの大きな違いである。オーレ・グンナー・スールシャール監督はよく言えば、選手の自主性を重んじている。悪く言えば、出たとこ勝負だ。

ポール・ポグバやブルーノ・フェルナンデスなど、主力のコンディションが整っているときは素晴らしいパフォーマンスで人々を魅了する。

「ヨーロッパ・チャンピオンも夢じゃないぞ!」

彼らが疲れてくると、ボトム10のクラブにも大苦戦する。

「5~6位が現実的だ。ヨーロッパ・チャンピオンなんて夢のまた夢」

要するに今シーズンのユナイテッドは、優勝する力を持ちながら、第二集団に吸収される恐れもある、二面性を持ったクラブということになる。不安定な彼らがプレミアリーグのテッペンに立つ!? ありえない話ではないが、確率は低い。

トップ4を切り崩せるのはレスター

20210916_Ayoze Perez_Leicester

第二集団は レスター ウェストハム アーセナル トッテナム が形成する。

昨シーズンまでビッグ6に括られていたノースロンドンの2チームは、近年の実績から横綱や大関には認定できない。あっという間に頓挫したスーパーリーグ構想でも、「なぜアーセナルとトッテナムがスーパーなんだ!?」と、イタリアやスペインから痛烈な意見が飛んできた。

アーセナルは2シーズン連続の8位、トッテナムは6位→7位。苦しい戦いが続いている。アーセナルはミケル・アルテタ監督の理想が先行しすぎていて、トッテナムはビルドアップがデリ・アリ次第だ。また、両チームともレギュラーと控えの実力差があるため、復活までにはまだまだ時間を要するだろう。

さて、第二集団のなかでトップ4を切り崩すとすれば、レスターをおいて他にない。19年2月のブレンダン・ロジャーズ監督就任以降は9位→5位→5位。とりわけ過去2シーズンは好成績を収めている。最終盤でDFラインに故障者が出なければ、昨季も一昨季もチャンピオンズリーグ(CL)出場権を手にしていたはずだ。

ロジャーズ監督はポゼッションをベースに、トップ4相手にはカウンターに切り替えるなど、プランの構築が非常に柔軟だ。さらに、有能なタレントを各ポジションに2人ずつ擁して準備万端。ユナイテッドを引きずり下ろすか!?

ウェストハムも侮れない存在だ。プレミアリーグ屈指の連動性を誇り、1-2の惜敗を喫した第5節のユナイテッド戦も、試合内容では上回っていた。今夏の移籍市場でCBのクルト・ズーマ、セントラルMFのアレックス・クラールを獲得し、昨シーズンの課題とされた守備面を怠りなく強化している。

ただ、得点が期待できるアタッカーはミカイル・アントニオただ一人で、なおかつ彼は負傷が多い。三度にわたって契約更新を拒否したMFデクラン・ライスは、依然として来年1月の移籍が噂されている。不透明な部分が多すぎる。ウェストハムがトップ4に食い込むのは至難の業だ。

なお、選手層が不十分な ブレントフォード ノリッジ ワトフォード の昇格3チームに加え、ダニー・イングス、ライアン・バートランド、ヤニク・ヴェスターゴーアといった主力をむやみに放出した サウサンプトン 、リーグ屈指のドリブラー、アラン・サン=マクシマンの孤軍奮闘が過ぎる ニューカッスル 、マンネリ化が進む バーンリー が降格候補だ。

なかでもニューカッスルは、守備偏重のスティーヴ・ブルース監督がサポーターの顰蹙を買っている。オーナーのマイク・アシュリーはクラブ経営に熱心ではない。売却をちらつかせながら、結局は交渉を打ち切る “売る売る詐欺”に興じているかのようだ。こうしたクラブが躍進した例は過去にない。

以上がプレミアリーグの新たなヒエラルキーだ。そして今節、チェルシーとシティが早くも相まみえる(日本時間25日20時30分キックオフ予定)。まだ序盤戦とはいえ、優勝争いに少なからぬ影響を与えるビッグマッチだ。

昨シーズン35節、チェルシーは2-1でシティを破った。FAカップ準決勝、そしてCL決勝でも1-0の勝利を収めている。トゥヘル監督着任後、対シティ戦は3戦3勝。チェルシーが精神的アドバンテージを握っている。そう見るべきか。

文・ 粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

配信情報

プレミアリーグ第6節
チェルシー対マンチェスター・C

  • 配信: DAZN
  • 配信開始:日本時間9月25日(日)20:30
  • 解説・実況:中村憲剛、野村明弘
  • 会場:スタンフォード・ブリッジ

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