2005年にレッドブルがF1参戦を果たした1年後、同チームのイタリア語読みであるトロ・ロッソとしてチーム発足。トロ・ロッソとしての活動は2019年でピリオドが打たれ、2020年からは名称が『スクーデリア・アルファタウリ』となった。
歴史
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トロ・ロッソがF1にフル参戦を果たしたのは2006年のこと。1985年~2005年まで30年活動したイタリアのプライベーター、ミナルディを買収して誕生した。
2005年より先にレッドブルがF1へと参入し、トロ・ロッソはその1年遅れで誕生した。レッドブルはドライバーの育成プログラムにも力を注ぎ、トロ・ロッソに若手を登用して実力が認められればレッドブルのドライバーに昇格する、という手法を用いた。
レッドブルのBチームという位置づけでもあったトロ・ロッソはなかなか上位フィニッシュすることができず、初年度の2006年は1ポイントでコンストラクターズ9位、2007年は8ポイントで7位という成績に終わった。
レッドブルより先にF1初優勝
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大きな驚きをもたらしたのは2008年のイタリアGPだった。前年2007年よりトロ・ロッソのシートに収まったセバスチャン・ベッテルがキャリア初のポールポジションを獲得すると、決勝ではそのままポールトゥウィンを果たし、参戦3年目のトロ・ロッソにF1初勝利をもたらした。親チームとも言えるレッドブルよりもトロ・ロッソが先に表彰台の真ん中に立つという状況に。前身のミナルディ時代を通しても初のポディウム頂点となった。
また、優勝したベッテルは21歳72日でのF1史上最年少ポールポジション(当時)、21歳73日で史上最年少優勝(当時)という歴史的な初優勝でもあった。このシーズン、トロ・ロッソは39ポイントを奪取しコンストラクターズランキング6位で終えている。
2008年に初勝利をマークしたトロ・ロッソだったが、この後は上位争いから遠ざかる展開が続く。2009年からはコンストラクターズにおいて10位、9位、8位、9位、8位と続き、2013年限りでパワーユニットはフェラーリエンジンからルノーエンジンに変更となった。
2014年以降はコンストラクターズ7位、7位と続き、フェラーリのPUに1年のみ戻った2016年も7位でシーズンを終える。再びルノーエンジンとなった2017年も7位となり、2018年からはエンジンが第4期のホンダに変更。2018年はシーズン9位と順位を落としたものの、2019年からはレッドブル&トロ・ロッソがそろってホンダエンジンを積むことになった。
2019年はドイツGPでダニール・クビアトが3位表彰台に立ち、第20戦ブラジルGPでは終盤でルイス・ハミルトンを抜いたピエール・ガスリーが2位に浮上し、ハミルトンを抑えきって2位フィニッシュ(ハミルトンは後にペナルティを受けて順位降格)を果たし、2人のドライバーがそれぞれ表彰台を経験。チームとしてトロ・ロッソは年間85ポイントをもぎ取り、コンストラクターズ6位でシーズンを終えた。そしてトロ・ロッソとしての名称は2019年でピリオドが打たれ、レッドブルのファッションブランドであるアルファタウリを新たな冠として、2020年からスクーデリア・アルファタウリ・ホンダとして再スタートを切った。
2020年よりチーム名はアルファタウリに
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だがマクラーレン、レーシング・ポイント、ルノー、フェラーリに比べ、上位進出の頻度はやや劣る状況に。序盤戦はガスリーによるオーストリアGP、イギリスGPでの7位が最上位フィニッシュとなった。
そんなアルファタウリに大きな歓喜が訪れたのは第8戦イタリアGPだった。ガスリーがセーフティーカー導入のタイミングでタイヤ交換を選択して順位を上げると、シャルル・ルクレールのクラッシュにより、レースは一度中断となる。
再スタートでガスリーは2番手に浮上したあと、リーダーのルイス・ハミルトンはピットストップペナルティによって首位から脱落。28周目からガスリーはトップを走行すると、カルロス・サインツの猛追を振り切ってトップでフィニッシュチェッカーを受けた。
アルファタウリにとってはF1初勝利。また、前身のトロ・ロッソ時代を含めるとセバスチャン・ベッテルがF1初勝利を果たした2008年のイタリアGPまで遡ることになる。この勝利は2018年からタッグを組んだホンダのパワーユニットを搭載しての記念すべき50戦目という節目でもあった。
この後もガスリーは予選では時折Q3でもメルセデス、レッドブルに次ぐ好タイムをマークするなど、抜群の速さを見せる。ガスリーに比べてポイント奪取数で見劣りしていたクビアトも第13戦エミリア・ロマーニャGPでは驚異的な追い上げを見せ、4位フィニッシュを果たした。
だがマクラーレン、レーシング・ポイント、ルノー、フェラーリと接近した力を示しながらも上位進出の機会は少なく、107ポイントのコンストラクターズ7位で2020シーズンを終えることとなった。
そして2021シーズンはガスリー&角田裕毅のドライバーズラインナップとなることが決定。パワーユニットのホンダは2021シーズン限りでF1活動を終えると公表しており、2021年はホンダラストシーズンとなった。
角田裕毅が7年ぶり日本人F1ドライバーに
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2021年、F1に昇格間もない角田は開幕前のテストにおいて、いきなりレッドブルのフェルスタッペンに次ぐ2番手タイムを叩き出し、開幕前から大いに話題を集めた。そして迎えた開幕戦バーレーンGPで角田は、キミ・ライコネン、ベッテル、フェルナンド・アロンソと歴代の元王者を次々にオーバーテイク。F1デビュー戦でいきなり9位フィニッシュの入賞を果たした。
だが角田は第2戦のエミリア・ロマーニャGPでは公式セッション中にクラッシュしてマシンを壊すなどして、ここから悪い流れが続く。開幕戦の躍進とは裏腹に、そこから調子を落としていった。
僚友ガスリーは十分な速さを示し、予選では時折フェラーリやマクラーレンを凌駕するグリッドを獲得することも。一方で角田はシーズン中盤戦に内部シャシー変更、レッドブルのリザーブであるアルボンが師としてアドバイザー役に就くなど、盛り返しのきっかけを積み重ねていく。
そして迎えた最終の第22戦アブダビGPでは、角田はFP1~FP3、予選Q1、Q2とすべてのセッションでガスリーを上回るラップタイムで周回。予選でもQ3進出の8番グリッドを獲得した。角田が僚友ガスリーを公式予選で上回ったのは、22レース目にして初のことだった。
決勝でも角田は安定したレースペースを示しながら周回を重ね、終盤にはセーフティーカー導入時にソフトタイヤへと履き替える。そして最終58周目の再開後にはバルテリ・ボッタスをオーバーテイクして4番手に浮上。そのままシーズン最高位の4位でフィニッシュを果たしている。
結果として2021年はガスリーが110ポイントで総合9位。角田は32ポイントの総合14位で、コンストラクターズとしては年間6位という成績に終わった。
AT03の2022年は総合9位に後退
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2022年もガスリー&角田のセットで2年目に突入。初戦のバーレーンGPで角田が8位入賞を果たしたこともあり、十分な競争力を有しているように見えた。だがAT03は前年に比べ、中団争いで戦うにはやや物足りないポテンシャルであることが明確化する。
ガスリーは前年に比べてマシンのポテンシャルを引き出すことに苦労し、僚友角田に対してのアドバンテージは、2021年ほど明確ではなくなった。
一時は角田がガスリーよりポイント獲得数で上回る状況が続いたものの、第8戦アゼルバイジャンGPで明暗が分かれる。同レースではガスリーが5位入賞を果たした一方、入賞圏内を走っていた角田はリアウイングのフラップが破損し、ピットイン&要修復のスチュワード裁定となったこともあり、ポイント獲得を逃す結果となった。
その後、アルファタウリはライバル勢のアルファロメオやハース、アストンマーティンに比べても開発力及び中団争いで力関係で優位性を示すことが難しくなり、コンストラクターズ9番手の位置での戦いを余儀なくされた。結果としてガスリーは23ポイント、角田は12ポイント獲得でシーズンを終える形に。
2023年はガスリーがレッドブル系列から完全離脱し、アルピーヌへと新天地を求めることになった。その代役として選ばれたのは、2019年のF2王者ニック・デ・フリース。2022年はイタリアGPにて、アルボンのピンチヒッターとしてスポット参戦し、F1デビュー戦でいきなり入賞を果たしたことで、翌2023年はアルファタウリのシートを獲得することになった。
3年目の角田は23歳、そしてレギュラー1年目となるデ・フリースは28歳で、2023年のシーズンへと入ったが、アルファタウリAT04は10チーム中10位と大苦戦。第11戦イギリスGPを終えた後の7月11日、アルファタウリはデ・フリースが離脱しダニエル・リカルドが加わることを公表した。シーズン中盤より角田&リカルドのラインナップに変わり、ここから回復できるのか注目したい。
ドライバー
角田裕毅
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2000年5月11日生まれ|日本国籍|アルファタウリ(2021~)
通算成績(2022年終了時点)
- 出走/44回
- 優勝/0回
- PP/0回
- FL/0回
2022年の成績
- 年間:12ポイント/17位
- 優勝/0回
- PP/0回
- FL/0回
レース名 | 決勝順位 |
---|---|
第1戦バーレーンGP | 8位 |
第2戦サウジアラビアGP | DNS |
第3戦オーストラリアGP | 15位 |
第4戦エミリア・ロマーニャGP | 7位 |
第5戦マイアミGP | 12位 |
第6戦スペインGP | 10位 |
第7戦モナコGP | 17位 |
第8戦アゼルバイジャンGP | 13位 |
第9戦カナダGP | Ret. |
第10戦イギリスGP | 14位 |
第11戦オーストリアGP | 16位 |
第12戦フランスGP | Ret. |
第13戦ハンガリーGP | 19位 |
第14戦ベルギーGP | 13位 |
第15戦オランダGP | Ret. |
第16戦イタリアGP | 14位 |
第17戦シンガポールGP | Ret. |
第18戦日本GP | 13位 |
第19戦アメリカGP | 10位 |
第20戦メキシコGP | Ret. |
第21戦サンパウロGP | 17位 |
第22戦アブダビGP | 11位 |
ダニエル・リカルド
Red Bull Content Pool
1989年7月1日生まれ|オーストラリア国籍|HRT(2011)、トロロッソ(2012~2013)、レッドブル(2014~2018)、ルノー(2019~2020)、マクラーレン(2021~2022)、アルファタウリ(2023)
通算成績(2022年終了時点)
- 出走/232回
- 優勝/8回
- PP/3回
- FL/16回
2022年の成績
- 年間:37ポイント/11位
- 優勝/0回
- PP/0回
- FL/0回
レース名 | 決勝順位 |
---|---|
第1戦バーレーンGP | 14位 |
第2戦サウジアラビアGP | Ret. |
第3戦オーストラリアGP | 6位 |
第4戦エミリア・ロマーニャGP | 18位 |
第5戦マイアミGP | 13位 |
第6戦スペインGP | 12位 |
第7戦モナコGP | 13位 |
第8戦アゼルバイジャンGP | 8位 |
第9戦カナダGP | 11位 |
第10戦イギリスGP | 13位 |
第11戦オーストリアGP | 9位 |
第12戦フランスGP | 9位 |
第13戦ハンガリーGP | 15位 |
第14戦ベルギーGP | 15位 |
第15戦オランダGP | 17位 |
第16戦イタリアGP | Ret. |
第17戦シンガポールGP | 5位 |
第18戦日本GP | 11位 |
第19戦アメリカGP | 16位 |
第20戦メキシコGP | 7位 |
第21戦サンパウロGP | Ret. |
第22戦アブダビGP | 9位 |
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | 未定 | 4月14日(金) ~ 15日(土) | 4月16日(日) |
第5戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第6戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第7戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第8戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第9戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第10戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第11戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第12戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第13戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第14戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第15戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第16戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第17戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第18戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第19戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第20戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第21戦 | メキシコGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第22戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第23戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第24戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |