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【7月 月間ベストヒーロー賞インタビュー】「ロートの目薬をささざる得なかった」。大分戦でヒーローとなった宇佐美貴史が語る劇的弾に込められた思い | Jリーグ

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2021-08-17-jleague-Usami (C)J.LEAGUE

7月のベストヒーロー賞には、公式戦15連戦という過酷な日程が続いているガンバ大阪で、救世主としてチームを浮上に導いているFW宇佐美貴史を選出した。

ホーム2連敗の中で迎えた7月27日のJ1第3節・大分トリニータ戦では、試合終了間際に劇的な決勝点。チームを3試合ぶりの勝利に導く活躍を見せている。

「チームが浮上するきっかけをずっと作りたい」と思っていた

ーー7月から公式戦15連戦という過密日程の中、G大阪は大分戦(2-1)から3連勝と巻き返しを見せています。7月のチームの戦いぶりを振り返ってください。

ACL(AFCチャンピオンズリーグ)もあり、日程的に本当にタイトな中でなかなか頭のスイッチを切り替える暇も、体をトリートメントさせる暇もなく、どんどん試合が入ってきました。

その試合に向けて修復させたり、改善させたりするトレーニングもできず、本当に疲労回復をするためだけのトレーニングが繰り返されて、試合、また試合という感じでした。

(今年の3月に)コロナによる活動休止もあったので仕方のないところもありますし、試合をやらせてもらえるだけ有難いとは思います。試合ができることに対しての喜びは感じています。

一方で、大分戦後のインタビューでも言いましたけど、全員の疲労が蓄積している状況で、試合内容がどうこうという感じではなく、できることを本当にやろうとしています。

ーーホームで3連敗は許されない状況の中で挑んだ大分戦では、チームを救った決勝ゴールが本当に価値のあるものでした。改めてあのゴールが持つ意味を振り返っていただけますか。

ちょっと手前味噌な言い方になりますけど、あの時は正直「値千金のゴールを決められたな」と思いました。それこそチームを救うゴールをやっと取れたかなという感じはありました。

そこから3連勝で勝点も積み上がって、順位も上がっていきました。

「チームが浮上するきっかけを作りたい」とずっと思っていたので、あの試合でそれができたのは良かったですし、タイミング的にもあの試合しかなかったと思います。

ーーレアンドロ・ペレイラ選手が投入された後、パトリック選手と2トップになり、宇佐美選手はやや下がり目のポジションでプレーしました。キム・ヨングォン選手のフィードから始まった、あの決勝ゴールの場面を振り返ってください。

正直、僕のところにボールが来るとは思ってなかったですね。

どこにこぼれてくるのかな、と思いながらゴール前に入りましたが、(倉田)秋くんと(矢島)慎也がゴール前にグッと入っていったので、あの2人と同じ動きをするより、少し後ろ気味にポジションを取っていました。

あんなピンポイントでボールが来るとは思っていなかったので、パトリックがヘディングで競り勝った瞬間はちょっとびっくりして『あっ、来た』って感じでスピードを上げました。コースを狙うというよりは、相手の足に当てないことだけでした。

結果的に相手が出した足がGKのブラインドになって、インサイドでうまく流し込めましたね。

ーーゴールを決めた直後、一目散に松波正信監督や仲間がいるベンチに駆け寄り、歓喜の瞬間を分かち合いました。あの時の心境を振り返ってください。

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昔、(長谷川)健太さんが監督をしていた時に、全然勝てない時期があって、ジュビロ戦だったかな。ヤット(遠藤保仁)さんがゴールを決めた後、めちゃくちゃ喜んだのを覚えていますか?

ーー遠藤保仁選手の逆転ゴールで勝利した2016年5月のホーム・ジュビロ磐田戦(J1ファーストステージ第12節G大阪2-1磐田)ですね。

そうそう。あの姿を見ていて、普段のヤットさんはあんなに喜ばないんですよ。でも、あの時は意識的に「ああいう喜び方をしたんだろうな」と、当時思っていたんです。

わざとらしくセレブレーションをするわけじゃないですけど、チームを一つにするとかお客さんがそういう光景を見て、スタジアム全体を一つに繋げるようなヤットさんのセレブレーションが過去にありました。

今、こういう立ち位置にいる人間が点を取った後にそういう振る舞いをすることの意味を、あの大分戦で得点した瞬間に感じたんですよ。

点を取ったあと、最初、僕が走って行こうと思った場所にお客さんが誰もいなかったんです(笑)。だから、もうチームの全員でグシャグシャになって喜ぶことに意味があると思いました。

僕は途中から試合に入りましたけど、先発のウェリ(ウェリントン・シウバ)や(奥野)耕平、(チュ)セジョンも頑張ってくれていた。

今は固定メンバーで戦える日程ではなく、全員が試合に絡んで頑張っているので、あの喜び方がチームを乗せるきっかけにもなると思いました。

ーーチームを救った大分戦は、勝ち点3以上の重みを持つ勝利でした。ただ、試合後に目が潤んだのは『ロートの目薬をさした影響』と話していたほど、得点から遠ざかっていたご自身にとっても大きなゴールだったのではないですか。

僕自身も思うことがいろいろありました。今年はまだ3点しか取れていませんが、3点とも“どうでもいい"ゴールがないんです。

もちろん、少なすぎて個人的には情けない数字ですけど、その3つのゴールに関しては、今まで得点を重ねてきたなかでも、比較にならないぐらい嬉しいものでした。チームにきっかけを与えるものになっているかな。

今、チームの目標は上位というよりは、まずしぶとく戦ってJ1に残ること。

あの大分戦を落とせば「大変なことになる」と感じていたなかで、先制された光景をベンチで見ていて、血の気が引くではないですけど「ヤバイ」と思っていました。

その瞬間から蓄積された想いでピッチに立っていたので、試合後は目薬をささざるを得なかった感じですね(笑)。

ーーかつてはFWとして得点を量産していましたが、今季はシャドーやJ1第6節・横浜FM戦で見せたトップ下の役割など様々なポジションでプレーしています。守備面でのタスクもこなし、かなりチームプレーに徹している印象があります。今のご自身の立ち位置をどうお考えですか。

僕が19点ぐらい取っていた時は、アタッキングサードまで連れて行ってくれる役割を、在籍していた20年でヤットさんがやっていました。そういう人が抜けた中で、じゃあチームとしてどうやってアタッキングサードまでボールを持っていくのか。

今はチャンスを待って仕留めるだけではなく、ボールを前に運んでチャンスを作る作業にも貢献しないといけない。そして、自分でもゴールを決めていくことが必要です。守備でもやらないといけないことは昔より多いですが、こなさないといけません。

ただ、その中でもっと結果を出して、チームの得点を作り出さないといけないと思っているので、そこに関しては不甲斐なさや情けなさは常々、感じざるを得ない状況です。

ガンバサポーターの思いも重なり合った特別な一撃

ーー宇佐美選手が思い描くヒーロー像や、こういう選手がヒーローだという定義はありますか?

子供の頃のヒーローはやっぱり、家長(昭博)くんでしたし、チームを救っている姿が僕の幼少期に強烈に残っているんですよね。

最近でいうと、クリスティアーノ・ロナウドはヒーローだなと思います。

(2019年3月に)ユヴェントスがアトレティコ・マドリードと対戦したUEFAチャンピオンズリーグで、1stレグは0-2で負けて、2ndレグで3点取って勝ったんですけど、あの試合を見たときに涙が出そうになったのを覚えています。

「凄えな、この選手」と本当に思ったんです。しかも、チームを救うゴールを3つ取って、スコアボードにロナウドの名前が3つ並んでCLの上に勝ち上がるというね。ホンマにスーパーヒーローだなと思いました。

ーー宇佐美選手のゴールで勝利した大分戦後は、ホームのサポーターも目薬をさしている人が数多かったですよ。やはりG大阪のサポーターにとって宇佐美選手のゴールは特別な思いがあるようですが。

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自分の感情を共有できる瞬間があるのは本当にありがたい。僕が嬉しくてエモーショナルな状態になっているときにファン、サポーターの方も同じようになってくれている。

そういう映像を見た時にやりがいを感じましたし、もっとこのチームのためにできることはあると思います。大分戦の映像を振り返って、お客さんのあの光景を見て僕自身も救われた気持ちになりました。

ーーACLから帰国後、バブル方式での生活が続いていましたが、大分戦後に久々にご自宅に戻りました。お子さんにとって宇佐美選手は父であり、ヒーローでもあると思いますが、お子さんの反応はいかがでしたか。

上の子にめっちゃいじられましたね。

ちょうど僕の父と母が来ていたんですが、「パパ、泣いてるよ」と言ったみたいで、僕にも「勝ったのに何で泣いていたの」とめっちゃ言われました。

「別に泣いてないよ」とインタビューで言った通りの答えを返したんですけど、「目が痛いの」って言われたので、まだこの目薬の冗談は娘には通じないのかって(笑)。

でも、試合を見てくれていたようなので、娘に対しても活躍する姿を見せられたのは、この先どこかで覚えてくれているかなと思います。

サッカー選手っていいなと改めて感じましたし、さらにこの機会を作らないとも思いました。

ーーこの先もまだまだ連戦が続きますが、G大阪の巻き返しに宇佐美選手は不可欠です。サポーターへのメッセージや思いを聞かせてください。

チームが勝つために、勝たせるようにプレーしていきたいですし、もっと点を取らないといけないし、点につながるチャンスを作らないといけません。

それは自分自身が一番感じていることなので、プレーで応援してくれる方、試合を見てくださる方に表現していきたいですね。それに尽きます。

文・インタビュー 下薗昌記

1971年生まれ。テレ・サンターナ率いる1982年のW杯スペイン大会でブラジルサッカーに傾倒。朝日新聞記者を経てブラジルに移住、永住権を取得する。南米各国で600試合を取材。2005年からガンバ大阪を取材する。「ラストピース」(KADOKAWA)が2016年のサッカー本大賞と読者賞に。近著は今年2月に上梓した「反骨心ーガンバ大阪の育成哲学」(三栄書房)がある。日テレジータスの「コパ・リベルタドーレス 」では南米サッカーの解説も担当する。

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