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【コラム】“昭和”を感じさせる藤本博史監督の“令和”にマッチした手法。ホークス首位ターンの要因を探る|プロ野球

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20220414_NPB_Hawks_SENGA (C)時事通信


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アクシデント続きだった前半戦

球宴までの前半戦を終えて1位から5位までが「2.5ゲーム差以内」にひしめくパ・リーグ。その類いまれな大混戦のペナントレースにおいてホークスは首位ターンを決めた。

7月に入り、藤本博史監督の口から「緊急事態の緊急事態」という最大級の警報も発令されたが、そもそも今季のホークスに平穏無事な時などあっただろうか。そう思いたくなるほど、誤算だらけで波乱続き。こんなシーズンは本当に珍しい。

一体、どれだけのアクシデントが起きただろうか。

代表的なものを羅列する。開幕直前にはローテ入り有力だった田中正義が右肩故障を訴え、さらに松本裕樹は「治療中に鍼が折れて一部が体内に残る」というまさかの事態で離脱していきなり計算が狂った。開幕するとすぐに打線の主軸である栗原陵矢が左膝を大ケガ。5月にはその穴を埋めていた上林誠知が右アキレス腱断裂で、貴重な外野手2人がいずれも今季中の復帰が難しい状況になっている。7月に入ると中継ぎの柱ともいえる又吉克樹、リードオフマンに定着していた三森大貴がそれぞれ試合中に骨折した。

藤本監督も前半戦を総括した中で「ケガ人がすごく多いという前半戦でした」と開口一番に、青息吐息で振り返った。

首位ターンを決められた投打の要因は?

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そんな危機的状況の中でも、ホークスはなぜ1位ターンを決めることが出来たのか。

まずは投手力。先発陣を見れば、防御率上位に千賀滉大(1.70=1位)、大関友久(2.70=6位)、東浜巨(2.79=8位)が名を連ねる。リーグ防御率10傑の中に3名がランクインしているのはホークスだけだ。先発陣の安定感はチームの安定に直結すると言っていい。また、活躍時期のバランスも良く特に序盤を引っ張ったのが東浜(6月8日の阪神戦までに6勝)で、交流戦明けからは千賀が好調に転じた(6月17日以降は4戦4勝)。

そして、藤本監督が「投手陣のMVP」と評するのが大関だ。もともとは開幕ローテ入りを寸前で逃した左腕だったが、松本の離脱で急きょ6枠目に滑り込んだ。すると最初の登板だった3月31日のロッテ戦でプロ初先発初勝利。中継ぎ調整を経て5月に先発復帰すると、同7日のロッテ戦と6月25日の日本ハム戦の2度の完封勝利も成し遂げた。藤本監督も苗字にちなみ「まだ前頭やね」「やっと関脇かな」とたびたび評価を口にしていたが、前半戦を終えたところでついに「横綱こと大関ね」と最大級の賛辞に。「ローテに大関がハマってくれたのが、一番大きかったと思います」と話した。

先発の安定を支えたのは、強力ブルペン陣の存在も大きかった。シーズン当初の必勝パターンは「又吉→モイネロ→森」だったが、森唯斗が不振で4月にファーム落ち。その後は四苦八苦の起用法探しが続いたが、その中で藤井皓哉が抜群の投球を見せ続けた。前半戦は30試合に投げて4勝0敗1セーブ9ホールド、防御率0.57。藤本監督も精神面の成長を挙げており、後半戦は又吉の不在もあってより一層期待を背負ってのマウンドが増えそうだ。

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続いて打撃陣。主砲の柳田悠岐が前半戦ラストだった7月24日のオリックス戦で今季初の1試合2発を含む4打数4安打と気を吐いたものの打率.276、13本塁打、48打点は期待値からすれば平凡に映ってしまう。チーム60本塁打はリーグ3位。ホークスはもともと本塁打からの得点が多い傾向があり打撃力の物足りなさが否めないが、今季のパ・リーグは極端な投高打低にあり、それほど大きな問題とならなかった。

むしろ、チーム打率.255、得点323はパ・リーグのトップ。イメージとは異なり、打撃陣の健闘は大きかった。

打率10傑にはホークス勢が4名ランクイン(3位・今宮健太.296/5位・グラシアル.287/7位・柳田.276/9位・三森.268)している。なかでも今宮の復調は大きい。近年は故障に泣くことが多く、特に昨季は打率.216と極度の不振。今季はレギュラーの座も白紙で迎えていた。藤本監督は「振り回さなくなった」という打撃スタイルの改良のほかに、「ガルビスの存在が大きかったと思うよ」と挙げた。メジャーで実績抜群のライバルの加入が今宮の尻に火をつけたとの見方をしている。さらに「ジョーカー」こと牧原大成も規定打席にわずかに届かないが、打率.287をマークして貴重な戦力として存在感を放っている。

そして、藤本監督が「打線のMVP」に挙げたのが柳町達だった。こちらも規定打席未満だが、70試合出場で打率.292と好成績を残している。

「開幕当初はスタメンじゃなかったけど、栗原や上林のケガの穴をしっかり埋めてくれて、本当の意味でのレギュラーに近づいていますよね。その意味では柳町の活躍なくして、今の位置(チーム順位)はないと思います」(藤本監督)

柳町は慶大から入団して3年目。過去2年間の一軍安打は12本だったが、昨年はウエスタン・リーグで最多安打をマークしていた。その昨年のホークスは藤本博史二軍監督だった。

「前半戦はケガ人とかコロナで離脱した選手の代わりという選手がたくさん出てきましたというのはありました。それは自分が二軍監督や、その前は三軍監督をやらせてもらったので、選手たちのある程度の性格までわかっている。だから代わりの選手は使いやすかったですね」(同)

令和にマッチした藤本流の手法

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ファームから上がったばかりの選手が活躍する。そんな試合やシーンが本当にいくつもあった。

5月6日のロッテ戦。9回表に飛び出した代打・中谷将大の1号同点2ラン。

5月28日の広島戦。渡邉陸がプロ初スタメンで、初安打初本塁打の3ランに続き、衝撃の2打席連続ホームラン。

7月17日のロッテ戦。5年目の増田珠が待望のプロ初安打を1号弾で飾り「増男~!」の大絶叫。

藤本監督は「昇格させたら、すぐ使う」と公言しており、選手たちにはやりやすい環境が整っている。それ以外にも藤本監督の“選手ファースト”の部分はよく見受けられる。投手陣は前半戦に関しては原則「3日連続登板はなし」と事前から決めていた(例外が1度)。野手陣もコンディションを最優先にして、今宮や牧原大ら好調な選手であっても休養日を設けてきた。

藤本監督は昭和38年生まれの58歳。いわゆる昔ながらのプロ野球のど真ん中を通ってきた昭和世代だ。痛いかゆいを我慢して耐え抜くことが美徳とされた時代であり、ことプロ野球においてはそれが至極当然だった。ルックスもどこか「昭和」を感じさせる藤本監督が、

令和の時代にマッチした手法でチームを率いている。それもまた、ホークス首位ターンの要因の1つだったかもしれない。

文・ 田尻耕太郎

1978年生まれ、熊本市出身。法政大学卒。ホークス球団誌の編集を経て、2004年夏にフリーに。一貫して「タカ番」スタイルの現場主義を大切に取材活動を続けており、2021年にちょうど20年目のシーズンを迎えた。「Number」など雑誌・ウェブ媒体への執筆のほか、ラジオ出演やデイリースポーツ特約記者も務める。

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