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【コラム】ユルゲン・クロップ解任?「6年間の実績を3ヶ月の不振で否定するなどもっての外だ」| 粕谷秀樹のNOT忖度 | プレミアリーグ

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2020-12-06-klopp-liverpool (C)Getty Images

ベストメンバーで闘えた試合が数えるほどしかないのだから、どうしようもない。負傷による長期の戦線離脱だったり、新型コロナウイルスの感染だったり、対策を講じていても防ぎようのないアクシデントが連発した。

今シーズンのリヴァプールには言い訳が許される。

「あらゆるクラブが同じ状況だ」

反論が聞こえてくる。しかし、レギュラークラスのセンターバックが3人も起用できなかったら、まともには闘えない。もし、マンチェスター・シティのルベン・ディアス、ジョン・ストーンズ、アイメリク・ラポルトが今シーズン絶望の重傷を負っていたら、ペップ・グアルディオラ監督も頭を抱えていたに違いない。

それでも一部のメディアとファンは、「ユルゲン・クロップ監督を解雇せよ」と、声高に叫んでいる。

リヴァプールがもがき苦しんでいることは確かだ。OBのジェイミー・キャラガーも「劣勢になると気持ちまで受けにまわってしまう」と、古巣の実状を憂えていた。

悩める名門を完全復活に導いた

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強いころのリヴァプールは、劣勢でも積極的な姿勢だけは失わなかった。つねにスイッチを切らず、攻守の切り替えが素早く、かつ鋭い。7~8人のフィールドプレーヤーがロングスプリントで敵陣深く進入し、相手の息の根を止める、というパターンも再三再四あった。

今シーズンの彼らはマイボールの際も、被ポゼッションの際も反応が鈍い。0-1で敗れた27節のフラム戦も、攻撃にかける人数は少なかった。

29試合を戦った現在、消化試合が1つ多い首位シティとは25ポイント差。逆転優勝はありえない。

4位チェルシーとは5ポイント差。フィルジル・ファン・ダイクとジョー・ゴメス、ジョエル・マティップに復帰のめどが立たず、ジョーダン・ヘンダーソンも4月中旬まで戦列を離れるため、CL(チャンピオンズリーグ)の出場権確保も難しくなってきた。

「この不振の責任はすべてクロップにある」が、解任論者の言い分なのだろう。

試合内容が上向かないのだから、監督にも責任はある。しかし、クロップによって一昨シーズンはCLを、昨シーズンはプレミアリーグを制した。アンディー・ロバートソン、トレント・アレクサンダー=アーノルド、サディオ・マネ、モハメド・サラーを超一流に育てたのも彼だ。

監督就任後6年で、悩める名門を完全復活に導いた功労者は、ユルゲン・クロップなのだ。この実績を、直近3ヶ月の不振で否定するなどもっての外だ。

クロップみずからが “ヘヴィメタル・フットボール” と名付けた積極的なスタイルは、尋常ではない運動量が要求される。ローテーションを駆使したとしても、各選手に疲労は蓄積する。例年のように60試合近くをこなすリヴァプールはなおさらだ。

まして、新型コロナウイルスの感染拡大によって試合日程が過密になり、週2~3試合が続いた。コンディションは上向かず、現状維持、もしくはダウンになる。今シーズン、安定したパフォーマンスを続けているのはロバートソンとジョルジニオ・ワイナルドゥムだけだ。

シティ躍進は継続性の重要性を表現

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同情こそすれ、クロップを責めてなにが解決するというのだろうか。

プレミアリーグは世界一のプレー強度を誇る激しい戦場だ。2017-18シーズンから数々の新記録を樹立しながら連覇したシティも、昨シーズンはリヴァプールに18ポイントも後れを取った。継続性の難しさを如実に示すデータといって差し支えない。

ただ、シティは現チームの基盤を築いたグアルディオラのもとでリセットしたからこそ、シーズンの終盤を迎えたいま、プレミアリーグ、CL、FAカップ、リーグカップの四冠が可能になっている。これもまた、継続性の重要性を表現する事実だ。

さまざまながアクシデントが次から次へと降りかかり、リヴァプールは連係ミス→自信喪失→ホーム6連敗という負の連鎖に陥った。しかし、ファン・ダイクをはじめとする主力が揃えば、「俺たちはプレミアリーグとチャンピオンズリーグを制したチームだ」と自信が回復する。

そして、多くの選手とクロップの間に築かれた太くて強い信頼関係によって、モチベーションはおのずと刺激されるだろう。

「監督をもう一度男にする」

繰り返すが、6年間の実績を3ヶ月足らずの不振で否定するなど、乱暴が過ぎる。クロップを信頼し、新時代の幕開けを心待ちにしようじゃないか。

文・粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

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