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【連載】ロベルト・マンチーニの若手評「バレッラはインターナショナルレベルに飛躍を遂げた」| イタリアサッカー界の重鎮が登壇「カルチョS級講座」第16回

読了時間 7分
2021-0331-world-cup-Qualifying-Roberto-Mancini (C)Getty Images

アッズーリ(イタリア代表の愛称)の監督に就任した2018年5月以降、ロベルト・マンチーニは指揮官としての手腕をいかんなく発揮。EURO2020予選を10戦全勝で突破するなど、60年ぶりにワールドカップ本大会出場を逃し、失意のどん底にあった母国の立て直しに成功している。

無敗記録は気づけば「25」に到達。これは2006年のドイツ・ワールドカップを制したマルチェロ・リッピに並ぶアッズーリの最長記録だ。

イタリアサッカー界に燦然と輝く名将は、終局に近づいた今シーズンのセリエAをどう分析しているのか。EURO開幕を約1ヶ月後に控える中、期待をかける若手イタリア人選手、現代表の課題などを語り尽くす。

良いイタリア人フォワードが少ない

今シーズンのセリエAも残りわずかとなった。スクデット(リーグ優勝)はインテルの手中に収まったが、残り3つのCL(チャンピオンズリーグ)出場権争いが熾烈だね。

これほどヒートアップする終盤戦も久しぶりではないかな。

そんな状況に水を差すつもりはないが、イタリアサッカーの現状を問われたら、私は「それほど楽観視できる状況ではない」と声を大にして言いたいね。

イタリア代表監督の立場で言えば、それはなおさらのこと。というのも、セリエA各チームにおいて、イタリア人選手がスタメンを占めるパーセンテージがあまりにも低いからだ。

その割合は実に32~33%。66%を占めていた15年前と比べると、それこそ半減だ。

いまから15年前、2006年と言えば、リッピがドイツ・ワールドカップを制し母国に4度目の賜杯をもたらした年。数字だけで言うなら、私は現在、当時のリッピに比べ選手の選択肢が半分になっていることになるね。

個人的に納得できないのは、イタリア人のポジションを奪っている外国人が、さして一流ばかりでないという点。

私がまだ現役だった1990年代などは、決してそうではなかった。当時セリエAにやってくる外国人と言えば、偉大なカンピオーネ(一流選手)ばかり。その頃とは状況がまったく異なっているね。

ただそこまで悲嘆的なわけでもない。そんな難しい状況の中でも、ポジションによっては、多くのイタリア人選手が台頭しつつあるのも事実。それが希望でもある。

とくに中盤は豊作だ。喜ばしいことに、それは何もトップチームに限ったことではない。下部組織でも同じ傾向が見られるんだ。

あとはイタリアの伝統的ポジションでもあるゴールキーパー。今も昔と変わらず良い選手が次から次へと育っている印象がある。

ディフェンス陣も決してタレントがいないわけじゃない。一番の問題は、前線のポジション。いま現在、良いイタリア人フォワードは本当に数少ないよ。

フォワードはもともと特殊なポジションだ。まったく期待されていなかった選手が突如、ゴールを量産して頭角を現すなんてことも決して珍しいことではない。次なるスターの出現を待つしか今のところ手立てはないかな。

台頭する選手にミッドフィルダーが多いのは、監督の起用法にも関係していると思う。経験値が少ない若手を躊躇なく試合で起用するのは、決して簡単なことではない。

ただ中盤はディフェンダーと違って、ミスが致命傷になりにくいポジションだ。思い切った抜擢も、他ポジションと比べたらさほどハードルは高くないだろう。

バレッラの成長ぶりには驚かされた

そんな要素もあり、代表の定位置争いにも食い込めそうな若いイタリア人ミッドフィルダーが育ってきている。

継続的にプレーする機会を得られていることで、他のポジションの選手より成長スピードが速いこともあるんだろう。

その筆頭がインテルのニコロ・バレッラ。ミランのサンドロ・トナーリ、フィオレンティーナのガエターノ・カストロヴィッリといった名前も挙げられる。

2021-01-26-Coppa Italia-Inter-barella

ミランからスペツィアにレンタル中のトンマーゾ・ポベガにも個人的には期待しているよ。

それとローマのニコロ・ザニオーロ。彼の存在も忘れてはならないね。現在20歳。今はケガで離脱中だが、将来が本当に楽しみな選手だ。

サッスオーロのドメニコ・ベラルディはサプライズ的な成長を遂げてくれた。

27歳のフォワードだ。昨シーズンはそれほど目立った活躍ができなかったが、今シーズンは高いパフォーマンスを持続できている。

FWで言えば、フィオレンティーナからユヴェントスに移籍したフェデリコ・キエーザも悪くないね。

昨夏に移籍した直後は苦労していたが、ようやく新天地に慣れてきた印象だ。ここ4~5ヶ月では成長した姿を見せてくれている。

先にも名前を挙げたが、バレッラの成長ぶりには驚かされたよ。

彼は確かに昨シーズンも活躍していた。ただ、今シーズンはインターナショナルレベルの選手へとさらなる飛躍を遂げた印象だ。

ディフェンダーで言えば、ローマのレオナルド・スピナッツォーラも良いね。ケガで戦列を離れる時期もあった28歳の左サイドバックだが、彼もまだ成長途中だ。

インテルのアレッサンドロ・バストーニにも同様のことが言える。まだ22歳と若いにもかかわらず、首位を走るチームでがっちりとレギュラーの座を確保している。

日本人は常に150%の力を出そうと

6月に開幕するEUROでわれわれが躍進を果たすには、彼らのような若い力が欠かせない。

過度な期待はプレッシャーになる危険性もあるが、忘れてはいけない。われわれイタリアはワールドカップ4度の優勝を誇る伝統国なんだ。どんな大会においても、優勝候補の一角として試合に赴く義務がある。

現状を分析すると、イタリアより力のあるチームは残念ながらある。

例えばフランス。彼らは前回のEUROで準優勝、そして2018年のワールドカップで優勝している。ただ、われわれがしっかりとした準備と心構えで大会に臨めれば、フランスも決して倒せない相手ではない。私はそう確信している。

最後に日本人選手について触れよう。若手で言えば、ボローニャの冨安(健洋)の評判が良いね。

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私は、インテル時代に長友(佑都)を指導した経験がある。ユウトもそうだったが、日本人選手はとても優秀だね。彼らは常に150%の力を出そうとプレーする。

そして、日本人は規律正しい国民性が特徴。監督にとってこれほどありがたい存在はない。

イタリア以外の欧州諸国でも、優秀な日本人選手がたくさんプレーしているね。

クオリティーは決して低くないし、何よりまず抜群の走力を備えている。まさに冨安がそういった特徴を持っているように、だ。

彼はセリエAでプレーすることによってかなりの成長を遂げた。今後も活躍が楽しみな若手の1人だよ。

インタビュー:アルベルト・コスタ
翻訳・構成:垣内一之

訳者プロフィール/1998年にイタリアに移住し、約8年間、中田英寿、中村俊輔、柳沢敦ら日本人選手を中心にセリエAを取材。2006年のドイツ・ワールドカップ後に帰国し、現在は日本代表、Jリーグを中心に取材を続けている。

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