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【コラム】ここまで堕ちていたとは…放置しておけないマンチェスター・ユナイテッドの現状 | 粕谷秀樹のNOT忖度 | プレミアリーグ

読了時間 6分
2022-01-03-Bruno Fernandes-Cristiano Ronaldo-Manchester United-Premier League (C)Getty Images

反旗を翻した選手は間違いなく存在

『アブダビ・ユナイテッド・グループ』が買収した後、マンチェスター・シティはズヴェン・ゴラン・エリクソン、ロベルト・マンチーニ、マヌエル・ペレグリーニといった歴代の監督が少なからぬミスを犯しながら、“最適解” ペップ・グアルディオラを導いている。

リヴァプールもユルゲン・クロップがプレミアリーグを制するまで、4年の歳月を要した。

一朝一夕にして片付く問題など、この地球上には存在しない。

サー・アレックス・ファーガソン勇退後、デイヴィッド・モイーズ→ルイ・ファン・ハール→ジョゼ・モウリーニョ→オーレ・グンナー・スールシャールと、マンチェスター・ユナイテッドは監督人選で迷走が続いた。戦略を持たなかったり、持っていたとしても古かったり、ライバルとの差は拡がるばかりだった。

ピッチ上の風景を重視せず、スールシャールの手腕に疑問を抱かなかった上層部も、遅きに失した感はあるが現実に気づいたようだ。2021年11月21日、スールシャールを解任。8日後、ラルフ・ラングニックを今シーズン終了までの暫定監督として招聘した。

「世界最高ランクの男がユナイテッドにやって来るのだから、バッドニュースに決まっている」

クロップが警戒の色を濃くしていた。

「すべてにおいて私の師匠」

チェルシーのトーマス・トゥヘルも脱帽していた。

彼らの表現を借りるまでもなく、ラングニックは当代きっての監督だ。ハードワークを源流とし、戦略に明るい。シティやリヴァプール、チェルシーに追いつくためには、ベストといって差し支えない人選だった。

しかし、前任者との違いに多くの選手が戸惑っている。なにもしなかったスールシャールと、細かい縛りが多いラングニック。両者は対極に位置しており、戦略・戦術、トレーニング方法などがガラリと変わるのは当然だ。選手たちも少なからず覚悟はしていたものの、想像以上の厳しさに不満を募らせる者が続出しているという。

推測を基にしたゴシップ紙の記事ならいざ知らず、ギャリー・ネヴィルやロイ・キーン、リオ・ファーディナンドなど、歴代のキャプテンも口を揃えて「チームのムードは芳しくない」と語っているのだから、ラングニック流に反旗を翻した選手は間違いなく存在する。

「特大のエゴをどう処理するか」

2021-12-30-Ralf Rangnick-Manchester United-Premier League

それにしても、ここまで堕ちていたとは……。スールシャールは無為無策で求心力を失い、ラングニックは厳しすぎるから嫌い? いったい、だれを連れてくれば満足するのか!?  新スタイルへの拒絶反応は想定内だったが、程度の低さに開いた口が塞がらない。

感情を抑制し、ピッチ上で答を出すのがプロの務めである。チーム全体のパフォーマンスが気に入らなかったとしても、試合終了後にはサポーターに挨拶しなくてはならない。そそくさとドレッシングルームに引き上げるようなタイプは、今すぐにユナイテッドから、いやいや、フットボールの世界から身を引くべきだ。

何人かの選手がラングニック流を拒否している以上、プレスが連動するはずがない。4-2-2-2への適応も難しい。それでも、今シーズンの至上命題はトップ4入りだ。

多少なりともラングニックが歩み寄り、例えば基本陣形を4-2-3-1に戻してもいいだろう。二列目の左サイドでは可動域が限定され、窮屈そうに映ったブルーノ・フェルナンデスをトップ下に配置すれば、彼の攻撃性能がより活かされる公算が大きい。

ただ、ハードワークを怠ったり、攻守の切り替えが疎かだったりした場合は、B・フェルナンデスだろうがクリスティアーノ・ロナウドだろうが、厳しく対処すべきだ。

今シーズン終了までの暫定監督だったとしても、現場の責任者はポルトガル勢ではなくラングニックだ。そのあたりの権力バランスで遠慮は無用だ。序列は過去の実績ではなく、指揮官のプランを軸に決めなくてはならない。ジョルジュ・メンデスやミーノ・ライオラなど、厄介なエージェントが介入してきても無視すればいい。

「特大のエゴをどう処理するか。戦略・戦術を落とし込むよりも、ラングニックにとっては難しい仕事だ」

イングランド代表やインテルなどの監督を務めたロイ・ホジソンも、権力闘争を案じていた。

新体制が発足しておよそ1ヶ月半。大きな期待とは裏腹に、ユナイテッドは低調なパフォーマンスが続き、チーム内に不穏な空気が漂い始めている。ルーク・ショーも「一致団結していない」と、表情を曇らせていた。

今冬の移籍市場でハードワークを厭わない新戦力を獲得するのか、状況改善のためにラングニックと選手たちが膝と膝を突き合わせて話し合うのか。いずれにせよ、現状を放置しておくわけにはいかない。

真冬だというのに、嫌な汗が流れてきた。

文・ 粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

配信情報

プレミアリーグ第22節
アストンヴィラ対マンチェスター・ユナイテッド

  • 配信:DAZN
  • 配信開始:1月16日(日)2時30分
  • 解説:清水範久 実況:安井成行
  • 会場:ヴィラ・パーク

粕谷秀樹のNOT忖度

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