【欧州・海外サッカー ニュース】中井卓大がレアル・マドリー時代を振り返る。
今季、レガネスのBチームでプレーする日本人MF中井卓大(21)が、昨季まで在籍していたレアル・マドリーでの日々を振り返っている。
滋賀出身の中井は、11歳でレアル・マドリーの下部組織に入団。Bチームのレアル・マドリー・カスティージャまで昇格し、トップチームの練習にも参加している。そして同クラブとの契約が切れた今夏には、同じくスペイン首都に本拠を置くレガネスのBチームに加入した。
スペインのスポーツ紙『マルカ』とのインタビューに応じた中井は、レアル・マドリーの下部組織で過ごした日々を、厳しくも充実していたと振り返っている。
「とても厳しかったです。毎日が試験でしたね。あそこでは契約が物言うわけではなく、毎年、残れるか出て行くかという感じだったので。各練習で命を懸ける必要があるんです」
「それでも、光栄でした。いつも言ってるのですが、(レアル・マドリーは)まるでディズニーランドです」
異国の地で過ごす厳しい日々……日本に帰ることを考えたりはしなかったのだろうか。
「日本に帰る、マドリーを後にするということは一度も考えませんでした。いつだってここにいたいと思い続けてきたんです。マドリーを自ら去ることはできませんし、(退団するならば)追い出されなくてはいけません。世界最高のクラブにいられるのは光栄なことです」
「辛いときもありましたし、適応にも苦労しました。毎日、父親に連絡していましたが、それでもフットボールをしたいという気持ちは、帰りたい気持ちを上回っていましたね」
中井は、トップチームの練習に初めて参加した際の思い出も明かしている。
「初めてトップチームに加わったのは、16歳のときの代表ウィークですね。10月12日のことでした。ベンゼマ、ヴィニシウス、マルセロ、クロースがいて……カスティージャの複数の選手たちが参加していましたが、僕だけがフベニールB(U-17)の選手でした」
「初日は両足が震えていましたが、マルセロがそばに来て落ち着かせてくれました。クロースからは『シンプルにプレーしろ。ボールを受ける前に考えるんだ』と言われましたね」
「トップチームの練習で最も印象に残ったことは? 練習終わりのミニゲームを、彼らはチャンピオンズリーグ決勝のようにプレーするんです。絶対に勝たなくてはいけないと思っていました。負ければ本当に苛立ち、勝てば歓喜していました。そんな光景、僕は一度も見たことありませんでしたね。彼らにとってはただの練習ではなく、まるで人生最後の一戦のようでした。だからこそ、15回もチャンピオンズで優勝しているのだと思います」
そんなレアル・マドリーに別れを告げて、レガネスで新たな挑戦に臨む中井。最後に、今後の目標について語っている。
「僕の夢の一つはチャンピオンズリーグでプレーし、MVPを勝ち取ることですね。ベンゼマのそうした姿を見て、自分もそうなりたいと思ったんです。僕はトップレベルにたどり着くこと、日本のフル代表に招集されることを夢見ています。U-20代表までは入りましたし、ワールドカップでプレーしてみたいですね」
「40歳くらいまではキャリアを続けて、これまで受けてきたサポートの恩返しをしたいと思っています。キャリアが終わったときには、子どもたちのサポートに回るなど、日本とスペインをつなげる存在になりたいですね」