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2025年のサッカー界を彩った18大ニュース:メッシ&ロナウドの大成功、リヴァプール激動の1年、ヴィニシウスの凋落も

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【欧州・海外サッカー 特集】パリ・サンジェルマン悲願のチャンピオンズリーグ制覇、チェルシーのクラブワールドカップ優勝などなど……2025年にヨーロッパ・サッカー界で起きた様々な話題を振り返る。

プレミアリーグではリヴァプールが通算20度目のトップリーグ優勝、ラ・リーガではバルセロナが国内三冠、ブンデスリーガではバイエルン・ミュンヘンが覇権を取り戻し、セリエAではアントニオ・コンテがナポリを4度目のスクデットに導いた。

さらに、チャンピオンズリーグではパリ・サンジェルマン(PSG)が悲願の初優勝を飾ると、新生クラブワールドカップはチェルシーがそのPSGを撃破してタイトルを勝ち取っている。またこの大会では、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長とドナルド・トランプ米大統領の関係性も(ある意味で)大きな話題となっていた。

いよいよ2025年が終了するが、今年もサッカー界では様々なことが起きていた。もちろん、そのすべてが好ましいものばかりではない。今回は、2025年のサッカー界における勝者と敗者をピックアップする。

勝者:ハリー・ケイン

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バイエルン・ミュンヘンが2024-25シーズンのブンデスリーガ制覇を決めた5月4日、ハリー・ケインは優勝から数分後に『インスタグラム』に黒背景のトロフィー絵文字を投稿した。言葉は不要だ。誰もがその意味を理解していたのだから――そう、“呪い”は解けたのだ。クラブと代表通算694試合を経て、ケインはついに自分をチャンピオンと呼べるようになった。

イングランド代表キャプテンは、後にクラブ公式サイトで「最高の気分だよ。シーズンを通して多くの努力を重ね、肉体的にも精神的にも全力を注いだ。選手もスタッフも特別な集団なんだ。キャリア初のタイトルだし、一層感慨深いね」と喜びを噛み締めている。

ブンデスリーガ31試合で26ゴールをマーク。間違いなく、バイエルンの覇権奪還は彼の力があってこそである。初のタイトルを掲げたケインは大きな重荷から解放されたように今季はさらにパフォーマンスを高めており、全公式戦を通じて1試合平均1得点以上をマークしている。32歳にして全盛期を迎えていると言っていいだろう。

バイエルンのブンデスリーガ連覇はほぼ間違いない。そして今季は、チャンピオンズリーグ優勝も現実的に考えていいだろう。そして来夏には、ワールドカップも控えている。もしケインがこの3つの主要タイトルすべてを手にしたならば……長年“呪い”に苦しんだ彼だが、2026年はさらに輝かしい1年になるかもしれない。

敗者:無冠時代

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2025年にタイトルの“呪い”を打ち破ったのはケインだけではない。

ニューカッスルはリヴァプールを撃破してカラバオカップ制覇、70年ぶりに国内主要タイトルを掴んだ。その2カ月後、クリスタル・パレスがマンチェスター・シティを下して史上初のFAカップ優勝。さらにそれから4日後、トッテナムがマンチェスター・ユナイテッドに勝利してヨーロッパリーグ制覇、17年間に及ぶ無冠時代に終止符を打っている。

またベルギーでは、ユニオン・サン=ジロワーズが12度目の国内タイトルを獲得。ブライトンのオーナーでもあるトニー・ブルーム主導による驚異的な復活劇を経て、90年ぶりの優勝を果たした。一方オランダでは、ゴー・アヘッド・イーグルスがAZとのPK戦を制し、クラブ史上初のKNVBカップ優勝を勝ち取った。

一方イタリアでは、“アンダードッグ”とされていたボローニャが快進撃を見せ、決勝でもミランを1-0で撃破。1974年以来となるトロフィーを獲得している。フィオレンティーナ時代にカンファレンスリーグ決勝で2年連続で敗れたヴィンチェンツォ・イタリアーノ監督は、「最初の数カ月は困難もだったが、その後は全員が着実に成長できた。この信じられないような勝利を祝わせてくれよ!」と喜びを爆発させている。

一方スコットランドでは、2シーズンにわたり2つの番狂わせが発生。アバディーンとセント・ミレンが、それぞれ10年以上続いた空白期間に終止符を打ったのだ。ドンズ(アバディーン)は5月にスコティッシュカップを、バディーズ(セント・ミレン)は12月にリーグカップを制した。どちらの番狂わせでも被害を受けたのは……あのセルティックである。

勝者:サリナ・ヴィーフマン

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EURO2025準決勝、イタリア戦の劇的な勝利の後、女子イングランド代表指揮官「いつかこの試合を映画化しようね!」と冗談を飛ばした。もし本当に映画化するならば、ハリウッドのサスペンス映画以上の紆余曲折を経験したライオンネス(イングランド女子代表)を描き切るにはおそらく3部作が必要になる。

ヴィーフマンも認める通り、ライオネスはこの大会の最初から最後まで「カオス」だった。開幕戦でフランスに不甲斐ない敗戦を喫し、決勝トーナメント3試合でリードしたのはわずか1分間だけ。それでも、最後にはトロフィーを掲げている。

絶体絶命の窮地から何度も立ち直った選手たちの功績も計り知れないが、冷静沈着で知られるヴィーフマンこそが「不遇の敗者」を2度のEURO制覇に導いた立役者である。キーラ・ウォルシュは、「0-1で負けている95分でも、横を見れば彼女が非常に落ち着いているの。それだけで彼女の監督としての力量がわかるはずよ」と手放しで指揮官を褒め称えている。それに異論がある人間はいないはずだ。

敗者:イタリアとワールドカップ

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11月のノルウェー戦を控えたイタリアのジェンナーロ・ガットゥーゾ監督は、欧州予選ではグループ1位のみが本大会出場権を獲得し、2位はプレーオフ進出を余儀なくされる現状に不満を表明した。

「我々は18ポイントを獲得し、6試合に勝利したにもかかわらず、本大会出場のためにあと2試合を戦わねばならない。これは正しくないね」

確かに、ワールドカップ出場枠は大陸間で明らかに欠陥がある。しかし、彼は沈黙を守るべきだった。ノルウェーに2試合連続で完敗した結果が示すように、まだ彼がワールドカップ出場のチャンスを持てていること自体が幸運だからだ。

思い出してほしい。ルチアーノ・スパレッティ前監督はオスロでの0-3敗戦後に解任された(奇妙なことに、3日後のモルドバ戦では指揮を執ることを許された)。ガットゥーゾ就任後は結果が改善したものの、11月のサン・シーロでのリベンジマッチはさらに恥ずかしいほどの崩壊を経験している。

プレーオフの組み合わせはイタリアに有利だと言えるかもしれない。3月26日にベルガモで行われる準決勝、相手は北アイルランドだ。だが勝ち進んだ場合、次はカーディフでのウェールズ戦かゼニツァでのボスニア・ヘルツェゴビナ戦を戦うことになる。3大会連続のワールドカップ出場を逃す恐怖に震える彼らにとって、非常に困難な任務になるだろう。

2006年優勝メンバー、ダニエレ・デ・ロッシは「欧州の強豪国とその他国との差は縮まった。数年前なら代表の10番と言えばトッティ、デル・ピエロ、バッジョを連想しただろう。今やノルウェーと対戦すれば世界最強のストライカー、あるいは世界最強のウインガー2人に直面する。 現代にはイタリアより強い代表チームが存在することを認めねばならない。20年前には存在しなかったチームだ」と語っている。それは確かなことだろう。

しかし問題は、この20年でそうなってしまった理由だ。イタリアサッカー連盟(FIGC)のガブリエーレ・グラヴィーナ会長は、若手育成への組織全体のアプローチ変更が必要だと認めつつ、代表資格を持つ選手がセリエAでプレーする97名しかいない事実も指摘している。

『コリエレ・デロ・スポルト』のインタビューでは、「イタリアのトップクラブが事実上の“敵”になっているのか?」と問われると、グラヴィーナは「意図的ではないにせよ、客観的にはそうなっている。 各クラブは自クラブの利益を優先するからだ」と述べた。この状況が変わらなければ、イタリア代表の成績も変わらない。現段階では、たとえワールドカップに裏口から滑り込めたとしても、イタリアサッカーの構造全体を解体し、再構築する必要があるように感じられる。

勝者:クリスティアーノ・ロナウド

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UEFAネーションズリーグは、各国にワールドカップやEUROへ別ルートで出場権を提供する以外、はっきり言って重要な大会ではない。しかし2025年大会で優勝することは、クリスティアーノ・ロナウドにとってこの上なく重要な意味を持っていた。

EURO2024で1ゴールも決められず屈辱のまま大会を去ってから1年後、このスーパースターはドイツの地に舞い戻り、ポルトガルを2度目のネーションズリーグ制覇に導いた。彼を先発させるべきなのかどうか、その疑問は常につきまとっている。それでもあの優勝は、改めて自身の価値を証明するものでもあった。

「最高の気分だよ!ポルトガル代表で優勝するのはいつも特別だ。義務を果たせたし、本当に嬉しい。ポルトガルについて話す時は、いつも特別な気持ちになる。この世代のキャプテンであることは誇りだ。タイトルを獲得することは、最高なんだよ」、C・ロナウドはそう語っている。

そして彼の視線は今、来夏のワールドカップに向けられている。11月の予選での暴力行為による3試合出場停止処分が“奇跡的に”軽減され、彼は本大会のピッチに立つことが可能になった。アル・ナスルがサウジ・プロリーグで快進撃を続ける中、最後にして最高の祭典で、最高のフィナーレを迎える準備は整いつつあるだろう。

敗者:ヴィニシウス・ジュニオール

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2024年バロンドールでは、彼が受賞する明確な理由があった。レアル・マドリーをラ・リーガとチャンピオンズリーグの二冠に導いたからである。しかしロドリの受賞を知ると、授賞式の出席すら拒否した。擁護する声も一部ではあったかもしれないが、彼の行動を正当化するものはなにもない。その後、SNSで「必要なら10回でもやってやる」と宣言し、さらに「世界はまだ準備ができていない」と挑発めいた言葉まで残している。

それから1年、準備できていないのは彼のほうかもしれない。バルセロナに国内三冠を許した昨季、特に後半戦のヴィニシウスは急速に調子を落としていき、2025年のバロンドールの候補にすら名を連ねなかった。

2026年の見通しも明るくはない。シャビ・アロンソの厳格な要求に全く適応できていないからだ。10月のクラシコでは、交代を命じられて不満を爆発。これはマドリーの悪しき伝統になりつつある“当然の権利意識”を体現する最新例である。マドリーは今、ヴィニシウスを取るかシャビ・アロンソを取るか、選択を迫られている状況だ。そしてフラットに見れば、ブラジル代表FWが去る可能性の方が高い。

2025年のヴィニシウスは、ラ・リーガ34試合でわずか8ゴールにとどまっている。チャンピオンズリーグでも、昨季の決勝トーナメント以降では1ゴールだ。そしてベルナベウでの年内最終戦で14試合連続ノーゴールを記録した後、サポーターから大ブーイングを浴びていた。その後SNSのプロフィール写真をブラジル代表のものに変更したことも、まったくもってプラスには働いていない。

これほど残念なことはないだろう。ヴィニシウスがピッチを切り裂く姿は現代フットボールでも貴重な光景であり、さらにスペインにはびこる慢性的な人種差別に勇敢に立ち向かう姿勢は反逆の象徴として勇気を与えるものだったからだ。だが、現状ではその姿を見られる時間は少なくなっている。2024年のバロンドール授賞式からさらなるスターになることが期待されたこのアタッカーは、ネイマールの道を進もうとしているのかもしれない。

勝者:ウスマン・デンベレ

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2025年のバロンドール受賞者、ウスマン・デンベレ。まだ違和感はある。もちろん才能に疑いの余地はなかった。しかし、ドルトムントやバルセロナでの数々の問題行動によって、彼がその余りある才能を開花させることはないとまで思われていたからだ。

しかし、2025年前半のデンベレはまさに驚異的だった。パリ・サンジェルマンが歴史的な三冠を達成した時、彼は間違いなく世界の頂点に立っていた。確かに前半戦はルイス・エンリケと衝突した時期もあり、1年間を完璧に走り抜けたわけではない。それでも9月22日にパリで開催された授賞式で、母親と並んでステージに立ち、自分のキャリアの転機を助けてくれた人々に涙ながらに感謝するデンベレの姿に、感動を覚えない者はいなかっただろう。

「今、この瞬間は言葉にできないほど特別な敬虔だ。少し緊張しているよ。このトロフィーを獲得するのは簡単じゃない。レジェンドであるロナウジーニョからこの賞を受け取るなんて、本当に格別だ。2023年に僕を迎えに来てくれたPSGに感謝したい。ここは信じられないほど家族のような場所だ。ナセル・アル=ケライフィ会長は、僕にとって父親のような存在だ。スタッフ全員、そして僕に対して並外れたサポートをしてくれた監督(彼もまた父親のような存在だ)とチームメイト全員にも感謝したい」

「僕らはほぼ全てを共に勝ち取った。みんなが良い時も困難な時も僕を支えてくれた。この個人トロフィーは、チームが集団で勝ち取ったものだよ」

この最後の言葉こそ、デンベレが28歳という年齢でついにその巨大な潜在能力を発揮できた理由を端的に表しているのだろう。

敗者:アレクサンデル・イサク

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1億2500万ポンドでリヴァプールへ移籍したことは、イギリス史上最高額だったというだけでなく、最も物議を醸した取引でもあった。夢の実現のため、イサクはニューカッスルのあらゆる活動を拒否。あらゆる意味で“ストライカーすぎる”彼の行動は、セント・ジェームズ・パークのすべての人々の怒りを買う結果となった。彼自身は「誰も全体像が見えていない」と主張し、移籍直後には「終わった話。僕はこれまで何の問題を抱えたことはない」と語ったが、そんなわけはないだろう。

イサクにとって、リヴァプールにとって、スウェーデンにとって、アンフィールドへの移籍は現時点であまりにも不幸な結果と言わざるを得ない。プレミアリーグでわずか2ゴール、明らかにプレシーズンの代償を支払っている。そして過去の行動により、彼に同情する声はほとんどない。リヴァプールサポーターでさえ、ウーゴ・エキティケより優先されることに疑問を持っていたはずだ。さらにトッテナム戦で足を骨折、数カ月の離脱を余儀なくされ、事態はさらに悪化している。

ニューカッスルでの実績は本物であり、もちろんまだリヴァプールでそれを証明する時間はある。だが残念ながら、不甲斐なここまでのシーズンの責任は彼自身にある。

勝者:セットプレー専門家

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ちょうど1年ほど前、エミレーツ・スタジアム近くにアーセナルのセットプレーコーチ、ニコラ・ジョバーを称えるウォールアートが現れた。当時のチームはセットプレーからの得点ばかりだったため、「新たなストーク」と揶揄されていた。しかし、今や誰も笑っていないはずだ。アーセナルのセットプレーは、深刻な脅威になり続けている。ガブリエウが空中戦を支配し、ブカヨ・サカとデクラン・ライスはほぼ防ぎようもないクロスを送ってくる。プレミアリーグ首位の原動力であることは間違いない。

ミケル・アルテタは時代を先取りしていた。プレミアリーグの今後を予見していたのだ。彼の予想通り、今のプレミアリーグはいかにデッドボールを活用するかが重要な課題となっている。

2025-26シーズンは、セットプレーからの得点数が大幅に増加(一方でオープンプレーからの得点は懸念されるほど減少)、ローリー・デラップ全盛期以来初めてロングスローが再び注目されている。この調子なら、近いうちにまた別のセットプレーのスペシャリストがウォールアートに描かれるかもしれない。

敗者:アヤックス

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3月30日、エールディヴィジ首位のアヤックスは敵地で2位のPSVを2-0で下した。残り7節で勝ち点差を「9」まで広げている。PSV選手たちにとって、優勝争いは終わったも同然だった。ノア・ラングは「チャンピオンズリーグの自動出場権を確保するため、2位フィニッシュに集中するしかない」と語った。一方、ルーク・デ・ヨングは「これほど少ない試合数で、これほどのリードを投げ捨てたチームはかつてない」と指摘した。そう、彼の言う通りだ――だからこそ、アヤックスのシーズン終盤の失速は驚くべきものだった。

その後連勝で4月末にはさらに有利な立場に立ち、残り5試合で7ポイント獲得すれば優勝が決まったはずだった。だが、そこから獲得できたのはたった5ポイント。そしてPSVは、破竹の7連勝。歴史に残る失速で、優勝を逃している。

このショックはクラブに大きなダメージを与え、前シーズン5位に終わったチームを躍進させたフランチェスコ・ファリオーリ監督は「クラブとのビジョンと時間軸の相違」を理由に退任。主将ジョーダン・ヘンダーソンもブレントフォードへ移籍した。後任指揮官ヨン・ハイティンハは11月に解任され、年末の時点で首位PSVに16ポイント差をつけられている。さらにチャンピオンズリーグでは、下から2番目だ。予想通り、事態は悪化の一途を辿っている。

アヤックスにとって唯一の救いは、2026年が2025年以上の苦痛になるはずがないということだろう。

敗者:アンジェ・ポステコグルー

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アンジェ・ポステコグルーは2025年に歴史を刻んだ。トッテナムというクラブで、マウリシオ・ポチェッティーノ、ジョゼ・モウリーニョ、アントニオ・コンテら多くの監督が成し得なかった偉業、タイトルを獲得してみせた。それも彼が約束していた通り、就任2シーズン目で達成している。

だが、10月中旬までに彼の評判は地に落ちた。ヨーロッパリーグ優勝からわずか5カ月間で、トッテナムとノッティンガム・フォレスト、2つのクラブで解任の憂き目に遭っている。

60歳の彼は、不当な扱いを受けたと感じている。ヨーロッパリーグ優勝によって、少なくとももう1シーズントッテナムの指揮を執るべきだと考えていた。さらに、たった6週間で後にしたシティ・グラウンドでも、もっと時間が与えられるべきだと思っている。

しかし、すべての監督が評価されるのは継続的な結果である。ポステコグルーの成績は、はっきり言って悲惨だった。トッテナムでの昨季後半戦は、プレミアリーグでたった4勝。クラブ史上最悪の22敗を記録している。また、フォレストでの8試合では一度も勝つことができなかった。

確かに「失敗の監督」との烙印やフォレスト指揮官就任を「ラッキー」と描いた一部メディアに激怒するのは当然だ。だが、2度の解任に異議を唱えるのは難しい。

勝者:フィリペ・ルイス

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11月29日、フラメンゴはリマで同胞パルメイラスを1-0で下し、コパ・リベルタドーレス史上最多となる4度目の優勝を果たした。それから4日後にはセアラを同じスコアで破り、ブラジル・セリエAでも優勝を勝ち取った。フィリペ・ルイス監督は試合後、「数年後に(選手たちは)自分たちが成し遂げた偉業に気づくだろう。彼らは永遠の存在だよ!」と選手を称えた。だが、伝説になるのは彼自身だ。

元ブラジル代表左サイドバックは2023年に輝かしい現役生活を終えたばかり。昨年9月にトップチーム指揮を打診された時は、フラメンゴU-20の監督を務めていた。それからたった数年で、彼は事実上ブラジルサッカーを制覇した。コパ・ド・ブラジル、スーペルコパ・ド・ブラジル、カンピオナート・カリオカを制した後、驚異的なセリエAとコパ・リベルタドーレスの2冠達成を成し遂げたのである。

40歳になった彼だが、夏にはクラブワールドカップをベスト16にまで導いた。その過程では、優勝したチェルシーまで撃破している。ヨーロッパに指揮官として戻ってくるのは、時間の問題だろう。

敗者:フィオレンティーナ

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フィオレンティーナの凋落は、2025年のトピックの一つだ。昨年この時期はセリエAでトップ4を争っていたが、今やトップリーグ残留をかけた苦闘を強いられている。

昨季フィオレンティーナは最終的にチャンピオンズリーグ出場権を逃し、ラファエレ・パラディーノ監督への批判が高まった。それでもチームを6位でフィニッシュさせ、9年ぶりのセリエA最高成績で欧州カップ戦復帰を果たしたのは素晴らしい成果だ。それゆえ、契約が2027年まで延長されたのは当然の結果だった。

しかしそのわずか1カ月後、パッラディーノ監督はスポーツディレクターのダニエレ・プラデとの確執が噂される中、衝撃的な形でクラブを去った。プラデはクラブのウルトラス(熱狂的サポーター)から、長年の不振の主因とみなされていた人物である。 サポーターは「フィレンツェから出て行け」と書かれた横断幕を掲げただけでなく、アルテミオ・フランキ・スタジアムの外壁にプラデの顔を豚の体に合成したステッカーを貼り付け、「去れ」という文字を添えた。

プラデは11月1日、クラブ史上最悪のセリエA序盤戦を理由に遂に退任した。わずか数日後、後任のステファノ・ピオリ監督も解任。フィオレンティーナはリーグ最下位に沈み、勝ち点はわずか4に留まっていた。不幸なことに、クラブを取り巻く毒々しい雰囲気はその後も改善されず、新監督パオロ・ヴァノーリの下でもリーグ戦1勝しか挙げられていない。ヴァノーリ監督は公然と、選手たちがフィオレンティーナを存続させるプレッシャーに対処できないと認めている。

指揮官はイタリア『スカイ』で「1月の移籍市場がまだ残っている。選手たちの目を見て、戦う意思のない者とは決別するつもりだ」と宣言した。だが、すでに絶望的な状況であることは確かだ。

勝者:マンチェスター・ユナイテッド退団組

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オールド・トラッフォードはここ数年、選手たちの“墓場”として知られるようになった。しかし、低迷するスター選手たちが他でキャリアを再起させる可能性は十分にある。

最たる例が、スコット・マクトミネイだ。多くのマンチェスター・ユナイテッドサポーターは、主要タイトル獲得を目指すチームにとって「能力不足」と評された多才なMFを売却する決断に異論はなかったようだ。 しかし、ナポリ加入から1年も経たぬうちにクラブ史上4度目のスクデット(セリエA優勝)に導く原動力となりセリエA最優秀選手に選出された。さらに2025年は、スコットランド代表としてデンマークとのワールドカップ予選でオーバーヘッドキックを決めるという、まさにセンセーショナルな活躍で締めくくった。

マクトミネイ同様、ラスムス・ホイルンドもマラドーナ・スタジアムで充実の日々を送っており、既にナポリで昨シーズンのユナイテッドでのリーグ戦得点数を上回るゴールを決めている。

一方スペインでは、マーカス・ラッシュフォードがバルセロナ移籍でイングランド代表でも重要な存在へと返り咲き、アントニーはレアル・ベティスへの大成功を収めたレンタル移籍期間中にブラジル代表復帰を果たした。

これらの成功事例が示す教訓はただ一つである。そう、コビー・メイヌーは1月の移籍市場で直ちにオールド・トラッフォードを去るべきだ。

敗者:マンチェスター・ユナイテッド指揮官経験者

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マンチェスター・ユナイテッドの監督を経験した指揮官にとって、過去も現在も良い年とは全く言えない。まず第一に、現指揮官ルベン・アモリムは期待を裏切っている。今季は目指す姿の片鱗は垣間見えたかもしれないが、年間を通した成績はまったくもって悲惨であり、チームの守備も悲惨な状態にある。彼の下で復権を果たす姿は想像しがたい。

またアモリムの同胞であるジョゼ・モウリーニョは、フェネルバフチェでチャンピオンズリーグ出場権獲得に失敗して解任された。皮肉なことに、彼を解任に導いたベンフィカが、結局彼を招聘している。モウリーニョは即座に「自身の経歴にふさわしいのはベンフィカだ」と宣言したが、本人も認めるように、ポルトガル復帰は代表監督としてだと常に考えていたようだ。

一方でオーレ・グンナー・スールシャールは、ベジクタシュをわずか7カ月で解任され、現在は「クラブが要求した選手全員を獲得していれば、ユナイテッドをかつての栄光に導けたはずだ」と主張する日々を送っている。

そして極めつけは、エリック・テン・ハーグだろう。レヴァークーゼンで再起を図った指揮官だが、わずか2節で解任。ブンデスリーガ史上最短の在任期間で完全に打ちのめされた。さらに「数週間で全ての部門、組織、選手を敵に回した」とまで批判されている。

勝者:インテル・マイアミ

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最高事業責任者(CBO)シャビ・アセンシは、インテル・マイアミのMLSカップ優勝を「奇跡」と呼んだ。過去数年間でフランチャイズに注ぎ込まれた巨額の資金を考えればやや大げさな表現かもしれないが、確かに驚くべき物語である。

その始まりは言うまでもなく、スパイス・ガールズらポップ・アイドルを生み出したサイモン・フラーにある。2007年、デイビッド・ベッカム卿のLAギャラクシー移籍交渉中、フラーは独創的なアイデアを思いついた。彼の契約にわずか2500万ドルでチームを購入できる条項を盛り込むというものだ。それから13年、MLS初参戦から5年を経て、インテル・マイアミはMLS王者となり、今や世界中にその名を知られるチームとなった。これは「ブランド・ベッカム」がサッカー史上最高の選手をフロリダに呼び寄せたおかげだ。

2023年夏の加入以来、リオネル・メッシがピッチ内外で与えた影響は計り知れない。ワールドカップ王者は全MLSの観客動員数を押し上げて視聴率を向上させると同時に、マイアミがアメリカサッカーの頂点へ登り詰める過程で数々の記録を塗り替えた。

メッシは12月のバンクーバー・ホワイトキャップス戦(3-1)後、『ESPN』で「この目標を達成できたことは、僕らにとってもマイアミの人々にとっても、美しく感動的な瞬間だ。僕らはまだ新しいクラブ。昨季は幸運にもタイトルを勝ち取れたけど、本当の目標はMLSを制して頂点に立つことだった。それを成し遂げられたね」と語っている。

本当にこの旅は奇跡だったのか? それには賛否があるかもしれない。だが、ベッカムが「信じられないような冒険だった」と評した時、それに異論を唱えることは不可能だった。

勝者:アルネ・スロット

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アルネ・スロットは過去1年間で、多くの監督がキャリア全体で経験する以上の感情の起伏を味わった。まず、リヴァプールをクラブ史上2度目のプレミアリーグ優勝に導いた喜びと誇りがあった。しかも4試合を残しての優勝は、伝説的なユルゲン・クロップの後任としてのプレッシャーを見事に克服したことを如実に物語っていた。

そして最近では歴史的な不振に直面すると、さらにモハメド・サラーの“反乱”を味わった。この問題に決着をつけるため、スロットは12月13日のブライトン戦でメンバーに復帰させている。両者の関係は明らかに緊張したままだが、サラーは少なくともアフリカネーションズカップ終了後にはリヴァプールに復帰する見込みだ。

だがそれ以上に、彼らにとって最大の試練は7月に起きている。ディオゴ・ジョタの死は、アンフィールドに信じがたい衝撃と深い悲しみをもたらした。 7月3日にスペインで起きた交通事故で、弟のアンドレ・シルバと共に命を落とした。長年連れ添ったパートナーと結婚式を挙げたばかりであり、プレシーズンに合流する途中で発生したあまりにも悲しい事故からすぐさま立ち直ることなんて不可能だろう。それでもスロットは、リヴァプールの顔として可能な限り落ち着いて対処している。

新年を迎えたリヴァプールがシーズンを立て直せるかは、まだ未知数だ。それでも、どんな結果が待っていようとも、スロットの暖かさと冷静さはクラブ史上最も困難な時期を乗り切る支えとなったことは間違いない。

敗者:代表ウィークを憎む者たち

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インターナショナルウィークを愚痴るほど厄介な人間もいない。『スカイスポーツ』のカーヴェ・ソルヘコルは9月、「なぜサッカーの楽しみが、退屈なもののために中断されるのか?」と問いかけた。この驚くほど傲慢な発言には不信と怒りを覚えたが、やがて「国際試合が退屈だ」と主張する男に同情しか感じられなくなった。なぜならば、今年のサッカー界で起きたどんな出来事よりも、11月のインターナショナルウィークのドラマに匹敵するものなどなかったからだ。最初から最後まで、純粋な感情の渦だったのだ。

アイルランドは、まずダブリンでポルトガルを撃破。続いてブダペストでは、ラスト数秒でトロイ・パロットがハットトリックを達成してハンガリーに勝利。劇的な連勝でワールドカップ欧州予選プレーオフに進出している。パロットは『RTE』に対し、「ポルトガル戦では『これが夢の実現だ』と言ったけど、人生でこれ以上の夜は二度とないよ!。もうおとぎ話だね。こんなことは夢にも思わなかった。正直、今のこの感動を言葉で表すことはできないよ。これは喜びの涙。何年も泣いたことがなかったけど、今日は泣いてしまったね」と素晴らしい言葉を残している。

一方では、スコットランドが1998年以来となるワールドカップ出場決定。アンディ・ロバートソンは夢を叶えた後、亡き親友ジョタに思いを馳せた。「彼はケガでカタール大会に出場できなかった。そして僕は、スコットランドが出場権を逃したから行けなかった。だから今夜、彼はどこかで僕を見て微笑んでいるだろうね」、『BBC』でこう語っている。

またハイチの予選通過は、長い苦難に耐えてきた国民に喜びをもたらした。セバスチャン・ミグネ監督は、130万人の国民が自宅を追われる紛争が続いているため、カリブ海のこの国に足を踏み入れることはできなかったにもかかわらず、1974年以来2度目のワールドカップ出場へと導いた。

キュラソーの予選突破はさらに驚くべきもので、ジャマイカとの0-0の引き分けを死守。史上最小のワールドカップ出場国となった。ケンジ・ゴレは『ガーディアン』で、「不可能を可能にしたんだ。人口わずか15万人の小さな島国が、サッカー界の頂点と呼ぶべき大会に立つなんて、文字通り不可能だった。信じられないよ!」と感情を爆発させている。

ここで断言しよう。サッカーをプレーする者、観戦する者にとって、ワールドカップは究極の目標である。祖国を代表することは、想像し得る最高の栄誉だからだ。だからこそ、メッシは今もアルゼンチンを率い、クリスティアーノ・ロナウドは「可能ならポルトガル代表としてだけプレーするよ」と語っているのである。

イングランドの一部のサポーターにとって、インターナショナルウィークは退屈に映るかもしれない。だが、世界中の何百万もの人々にとって、これ以上のものはないのだ。パロットは国中を熱狂の渦に巻き込んだ後、「これがサッカーをする理由だ」と語った。そして、それが我々全員が今も観戦し続ける理由でもあるのだ。