アーセナルは23日、クリスタル・パレスからイングランド代表MFエベレチ・エゼの獲得を正式に発表した。
パレスで公式戦169試合出場40ゴール28アシストを記録し、昨季のFAカップ優勝と今季のコミュニティ・シールド制覇に貢献したエゼ。今夏の移籍市場でも注目を集めて27歳MFだが、当初は宿敵トッテナム移籍が濃厚と見られていた。それでもエゼがユース時代に所属したアーセナルが“ハイジャック”。最終的に総額6750万ポンド(約135億円)とされる移籍金で獲得を決めている。
そしてこのビッグディールをパレス、アーセナル、そしてエゼの観点から評価してみる。
文=マーク・ドイル
パレスにとっては、非常に円満な別れと言える。
エゼの離脱が非常に大きな痛手であることは否定できない。彼の素晴らしいプレーを中心に攻撃を構築していたからだ。さらに、移籍市場のこの段階でふさわしい後継者を見つけることは不可能だろう。
昨季クラブ史上初のタイトル獲得の立役者となったイングランド代表MFだが、パレスはこの夏、当然のことながら適正価格で放出するつもりだった。5年間の素晴らしい活躍を経て、エゼはさらに高いレベルでプレーするに値する。クラブ側も放出を避けられないことは予想しており、要求金額そのままで売却できたことに満足しているだろう。だからこそ、退団後にはSNSで彼の素晴らしい思い出とともに新天地での活躍を願っている。
評価:B
“ハイジャック”の歴史の中で最もスリリングなディールだ。トッテナム側は、パレス10番との契約をすでに締結したと信じ切っていた。しかし土壇場で、憎きノースロンドンのライバルに奪われている。アーセナルファンは歓喜しているはずだ。
もちろん、アーセナルが6750万ポンドを費やしたのは「トッテナムへの屈辱を与えるため」ではない。それはおまけだ。アーセナルは長年エゼに注目しており、カイ・ハヴァーツが長期離脱を強いられる可能性を知った後で迅速に決断した。より安価な代役やレンタルで短期的な解決策を見つけることもできただろう。しかしアーセナルは再び巨額の投資を行い、夏の投資額は2億ポンドを大幅に超えた。ビッグディール連発は歓迎すべきことだが、ミケル・アルテタ監督にとって「メジャータイトル獲得」というプレッシャーはさらに強まるはずだ。
ピッチレベルで見れば、エゼは間違いなくアーセナルの攻撃を変える存在である。左サイドでガブリエウ・マルティネッリのポジションを奪う能力があり、苦しんでいるマルティン・ウーデゴールに発破をかけることもできる。どのポジションでプレーするにせよ、エゼやブカヨ・サカらを擁するアーセナルの攻撃陣は世界中の対戦相手にとって脅威になる。
評価:B+
彼にとっては運命だったのかもしれない。
13歳でアーセナルユースチームを放出された後、「丸1週間」は部屋で悲しみに暮れたという。しかしあの放出が彼を強くし、最高レベルに到達するためにどんなことでもやるという強い意志が確固たるものとなったのだ。そして14年ぶりに感動的な復帰を果たし、目標を達成している。
エゼ本人にとって「トッテナムへ移籍するほうが賢明だった」という意見もあるようだ。確かに、アーセナルのほうがレギュラーを確保するのは難しいと言える。だが彼はアーセナルでやり残した仕事を抱えていただけでなく、真のトップチームで自分を試す機会を待ち望んでいた。決断は当然と言えるはずだ。
トッテナムも(そしてパレスも)、アーセナルより直近でメジャータイトルを獲得したチームかもしれない。だが今季のプレミアリーグ優勝を争うチームがどちらなのか、全員がわかっている。エゼにとってこの決断は、心だけでなく頭でも冷静に考えた結果と言える。アーセナルに新たな可能性をもたらし、タイトルに導けるだけの実力があるのはこれまでのキャリアで証明済みだ。あとはそのプレーをいつ発揮できるのか、だけである。
評価:A