オリックスと中日でプレーした後藤駿太氏は2025年限りで現役を引退し、新たな野球人生を歩み始めた。2026年シーズンからは台湾プロ野球(CPBL)の中信兄弟で打撃メカニクスコーチに就任。15年間の現役生活の中でトレードも経験し、自身のキャリア観に大きな影響を与えた。その経験は、指導者となった今に生きている。
オリックスからトレードで中日に移籍したのは2022年7月。チームがリーグ3連覇へと突き進む最中での移籍だった。2013年から5年連続で100試合以上に出場し、走攻守で存在感を発揮。しかし、オリックスが25年ぶりのリーグ優勝を果たした2021年は56試合出場にとどまり、日本シリーズでの出場機会もなかった。
「トレードの前年にFAを取得していて、オリックスでの出番も減っていた。『活躍の場が広がれば』という気持ちはあったので、驚きはなかったです。むしろ『チャンスかな』と前向きに捉えていました。中嶋監督が新しいチームづくりを進めて優勝しましたが、自分はその中で少し取り残されたような感覚がありました」
環境を変えたことで、見える景色も変わった。リーグもチーム方針も異なる中で、新天地では手応えを感じていたという。
「オリックスでは貴重な経験をさせてもらいましたが、出場機会が限られる時期もありました。当然、若手の枠はどの球団にもありますが、中日では状態をしっかり見てもらえて、結果につながれば評価してもらえたと感じています。調子が良ければしっかり見てもらえて1軍に上げてもらえる。そうした点がはっきりしていたので、移籍してもすごくやりがいがありました」
中日では2025年までプレー。昨年オフに引退を決断し、現役生活に区切りをつけた。引退後、いつかはやってみたいと思っていた指導者になった今、1つのチームだけでなく、複数のチームを経験できたことは勉強になったと感じている。
「環境が変わったことで、自分の中でも見えるものが変わりました。チームによってやり方や評価の基準が違うことも実感しましたし、そうした経験は今後の指導にも生きてくると思います」
そして次なる舞台は台湾。異国の地で打撃コーチとして若手選手の育成に携わる。
「通訳を介してのコミュニケーションになるので難しさはありますが、その分しっかり選手を見て、感じたことを伝えていきたいと思っています。少しずつでも信頼関係を築いていければと思います」
台湾の地で現役時代に培った経験をどう伝えていくのか。指導者としての新たな挑戦に注目が集まる。(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)