1ー0で勝利を挙げたスコットランド戦に続き、日本代表はイングランドとの重要な一戦を迎える。この試合の見どころ、注目ポイントについて、現地で取材を行う記者が綴る。
文・写真=青山知雄
(C)Getty Images
古豪が誇る伝統のナショナルスタジアムでの連戦。ハムデン・パークでスコットランド代表から大きな勝利を収めた森保ジャパンが、サッカーの母国イングランドの“聖地”ウェンブリー・スタジアムに乗り込む。
引いて守る相手をどう崩すかをテーマに掲げて臨んだスコットランドとの初戦。前半は経験の浅い選手を多く起用しながら攻め手を探り、後半にこれまでチームをけん引してきた選手たちの投入とシステム変更で一気に状況を打開。後半途中から鎌田大地をアンカーに据えた3ー1ー4ー2という新しい形を導入して攻撃に厚みと流動性を加え、しっかりとゴールを奪って1ー0で勝ち切った。11人という新しい交代枠を全面的に活用した形だ。
この新システムについて森保一監督は「前回ワールドカップでのコスタリカ戦やアジア予選で引いた相手から思ったように点が取れなかった部分は、さらにチーム力をつけていくために必要な課題。0ー0のシチュエーションで相手がスコットランドという非常に守備が堅いチームであることを受けて、我々がさらに力をつけられるように考えて最後の2トップにトライしました」と目的を明らかにする。
フレッシュな顔ぶれで臨んだ前半にコンビネーションが熟成されていなかったのは致し方のないところ。しっかりと失点ゼロでつなぎ、後半に経験豊富な常連組を送り込んで試合の流れを引き寄せながら勝利を奪った点は、本大会を想定するうえでチームとして大きな手応えとなったことだろう。
途中出場した中村敬斗、三笘薫、鈴木淳之介、塩貝健人、伊東純也が絡んで奪った決勝点は、まさに“蜂の一刺し”とも言える鋭くて流れるようなアタックから決めたもの。送り込まれた選手たちが個の力を発揮し、サイドで数的優位を作ってどんどん後方から湧き出てくるような迫力ある攻撃を見せることができたのも収穫だ。
(C)Tomoo Aoyama
迎えるイングランド戦、現地ではチケットは前売り時点で完売であることが発表され、“聖地” ウェンブリーが実に9万人もの大観衆で埋まるとされている。森保ジャパンにとって大アウェイと言える環境で迎える一戦は、スコットランド戦から一転して耐える時間が長くなる可能性が高い。個の力に長けるFIFAランキング4位の優勝候補を相手に、果たして日本代表はいかなるサッカーを見せられるのだろうか。
前回の本大会で記憶に新しいのは、ドイツとスペインを連破した“戦術カタール”と称される堅守速攻スタイルだ。当時は20%程度という極めて厳しいボールポゼッション率を乗り越えて強豪国から勝利を収めたが、この数字を高めることが強豪相手に勝率を上げていく一つの要素であると考えてトライし続けてきたのが、カタール後のテーマでもあった。
今回のイングランド戦でまずポイントになるのが、強度の高いプレスへの対応策だろう。森保監督は前日会見でこれまで掲げてきた「世界基準」、「世界トップ基準」という表現に加えて、「ワールドカップ優勝基準」という言葉をつけ加えた。選手たちの経験値を高めて個の力を上げ、組織力をパワーアップさせてチームとして強くなっていく。そこに戦術的なエッセンスを加えることで優勝候補に対して勝つ確率を高めたいという思いの現れだ。
ドイツ、スペインに勝った経験を持つ谷口彰悟も勝負の機微について語る。
「耐える時間が長くなるのは想定内。本番を想定して。今できること、今持っているものをすべて出すつもりでやりたい。そこで守備一辺倒になることなく、ボールを持つ時間を長くして、カウンターを狙うような戦い方にトライしたい。ボールへの寄せ方やタイミングはみんなが一体感を持ってやらないと難しいので、僕も後ろから声をかけなければいけない。ただ、球際のバトルはそれぞれ高いものを持っているので、それをチームとして合わせて戦うことができれば、必ずいいゲームができると僕は思っている」
個を組織で上回る。そして組織を強くするために個を高めていく。そこに的確に戦況を見極める観察眼とベンチワークが加われば、日本代表が持つ強みはさらに発揮されていくはずだ。
最高の景色を見るために、その可能性を高めていくために、森保ジャパンが“ワールドカップ優勝基準”を想定した大事なテストマッチに挑む。
上田綺世
三笘薫 伊東純也
中村敬斗 堂安律
鎌田大地 佐野海舟
鈴木淳之介 谷口彰悟 渡辺剛
鈴木彩艶
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