バスケットボールのFIBAアジアカップ2025が8月5日に開幕する。日本代表はグループリーグで6日にシリア、8日にイラン、10日にグアムと対戦。この大会は、グループリーグの1位チームが準々決勝に進出するが、2位と3位は別グループの3位、2位と準々決勝進出決定戦を戦う必要がある。FIBAランキングではシリアは71位、イランは28位、グアムは88位と21位の日本が上回っている。山場はイランとの第2戦となるだろうが、優勝を目指す以上は無駄な消耗を避けられるグループ1位になるのは必須だ。
とはいえ、FIBAランキングが実際のチーム力を表しているわけではない。今回は八村塁と河村勇輝のNBA組が不在で、Bリーグ勢では比江島慎と渡邊雄太が代表活動に参加しておらず、この戦力ダウンを差し引く必要がある。
八村塁は代表チーム、特にヘッドコーチのトム・ホーバスと衝突しており、今後チームに参加するかどうかは不透明だ。河村もNBA挑戦を続ける限りは、代表活動への参加は簡単ではない。比江島は34歳、渡邊は30歳。代表でのプレーは体のケアをするオフの期間が削られることを意味し、すべての活動に参加させるのは難しいのが現実だ。彼らが不在でもアジアを席捲できるだけの選手層、チーム力があることを示すのが、この大会の最大のチャレンジとなる。
トッププレーヤーが不在でも結果を出せるか。ワールドカップやオリンピックという世界との戦いならともかく、そろそろアジアで確固たる地位を築くべき時期だ。
(C)FIBA.com
Bリーグでプレーする選手、中でも多くの若手にチャンスを与えてきたが、最終メンバー決定の段階で富樫勇樹、馬場雄大、富永啓生をチームに加えたのは、ホーバスの本気ぶりを示している。特に富樫は「いつ呼ばれても良い状態でした」と語るとともに「ギリギリまで分からなかった」と、合宿だけの免除ではなく緊急招集だったことを明かしてもいる。
本来は富樫も今年の夏は休養させたかったのだろうが、合宿で試した若いポイントガードが信じるに足るレベルに至らなかったことで、富樫が参加することになった。合宿とテストマッチでは先発ポイントガードはテーブス海が務めていたが、実績十分の富樫に先発を譲り、テーブスは控えに回るだろう。そういう意味でも長い合宿を耐え抜いた選手には非情な決断となるが、ホーバスは『勝つために』それを実行した。
激しいディフェンスから速い展開に持ち込むことのできる馬場、3ポイントシュートのレンジの広さと勢いに乗ったら止まらない爆発力では並ぶ者のいない富永。この2人もNBAサマーリーグから帰ってきたばかりで代表チームに加えられた。彼らにとってはサマーリーグでの活躍でNBAクラブからの契約を得られるのが理想だったのだろうが、それが叶わなかった以上はアジアカップで突出したパフォーマンスを見せ、それを次の足掛かりにしてほしい。
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合宿とテストマッチでのアピールができずに外れた若手がいる一方で、センターでは狩野富成と川真田紘也が『サバイバル』に成功した。ホーバス体制となった日本代表では走れるビッグマンのジョシュ・ホーキンソンが攻守のキーマンとなるが、替えの効かないホーキンソンを消耗させないのが彼らの仕事。選手登録の枠が12しかないところにセンター3枚は多すぎ、ホーバスも「狩野選手と川真田選手は一緒には呼ばないつもりだった」と語る。
それが3枚になったのは、ホーキンソンを休ませる、あるいは守備とリバウンドの負担の少ないパワーフォワードで起用する際に、センターとして体を張る役割が重要すぎて、狩野と川真田のどちらか1枚では足りなかったからとも言える。そう多くない出場機会で彼らが信頼を勝ち取ることは非常に重要で、そうでなければホーキンソンがセンターで40分間プレーすることにもなりかねない。逆に、彼らがアジアレベルで十分に通用する戦力となれば、ホーキンソンが休めるだけでなく戦い方の幅も広がる。重用される立ち位置ではないが、狩野と川真田は『影のキーマン』となり得る注目の存在だ。
粘り強いディフェンスからリバウンドを取り、速攻へと転じて試合のペースを上げ、走る展開に持ち込む。良いリズムで打つことができれば、3ポイントシュートにも当たりが出るはずだ。代表経験豊富な富樫と馬場、富永が加わったことで、ホーバスのバスケへの理解度はさらに高まる。その強みを最大限に生かしたい。
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今大会の日本のノルマはグループリーグ1位通過、そして準々決勝でグループD2位vsグループC3位の勝者(フィリピンか有力だろうか)に勝つこと。ベスト4まで来れば、オーストラリア、ニュージーランド、レバノン、中国といった強豪との対戦は避けられない。ここまでにチームケミストリーを完成形に持っていき、シューターの当たりを引き出し、ホーキンソンが余力を残した状態にしておくこと。決して簡単なことではないが、それが日本代表にとってアジアを制するということだ。
このメンバーでアジアカップを勝つことは決して簡単ではない。だからこそ、新たなメンバーを加えたこのチームでアジアを制することは、日本のバスケにとって重要なステップアップとなる。
日本バスケの新たな時代を切り開いた選手たちが第一線を退いても、今の勢いを持続可能なものにするには、今回の代表チームに入った選手たちが明確な結果を残し、ステップアップすることが必要だ。
試合日程(日本時間)
| # | 選手名 | ポジション | 身長 | 年齢 | 所属 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2 | 富樫 勇樹 | PG | 167cm | 31歳 | 千葉ジェッツ |
| 4 | ジェイコブス晶 | SF | 203cm | 21歳 | フォーダム大学 |
| 7 | テーブス海 | PG | 188cm | 26歳 | アルバルク東京 |
| 13 | 金近 廉 | SF | 196cm | 22歳 | サンロッカーズ渋谷 |
| 14 | 狩野 富成 | C | 206cm | 23歳 | サンロッカーズ渋谷 |
| 18 | 馬場 雄大 | SF | 196cm | 29歳 | - |
| 19 | 西田 優大 | SG | 190cm | 26歳 | シーホース三河 |
| 23 | ジャン・ローレンス・ハーパージュニア | PG | 181cm | 22歳 | サンロッカーズ渋谷 |
| 24 | ジョシュ・ホーキンソン | C | 208cm | 30歳 | サンロッカーズ渋谷 |
| 30 | 富永 啓生 | SG | 188cm | 24歳 | レバンガ北海道 |
| 91 | 吉井 裕鷹 | SF | 196cm | 27歳 | 三遠ネオフェニックス |
| 99 | 川真田 紘也 | C | 204cm | 27歳 | 長崎ヴェルカ |