ファビオ・ウォードリーのこれまでの物語は、世界ヘビー級チャンピオンになるという夢をかけてさまざまな困難に立ち向かってきたものである。
ウォードリーはアマチュアボクシングの経歴がない中で、小さな会場での試合に精を出し、国内タイトルや地域タイトルを獲得して地位を築いてきた。
そんなウォードリーは、今や唯一の目標であるヘビー級絶対王者オレクサンドル・ウシクへの挑戦権まであと一歩のところまで近づいた。日本時間10月26日未明、ウォードリーは元世界王者で現WBO暫定王者のジョセフ・パーカーとの試合を控える。
ここでは、アマチュア試合を一度も経験せずに、ヘビー級タイトル挑戦権まであと一歩に迫ったウォードリーの軌跡を振り返る。
ウォードリーは、従来のボクシング常識を覆し、21歳で初めてグローブをはめただけで、正式なアマチュア試合を経験していない。
ロンドンでリクルーターとしての仕事とボクシングのトレーニングを両立させていたため、アマチュアボクサーとしてのキャリアに完全に専念することができなかった。
しかし、戦う意欲は消えず、多くの職業人が挑戦するホワイトカラーボクシングに参加することを決心した。
ホワイトカラーボクシングとは、他の職業を持つ初心者が特別なイベントでボクシングを体験したり、チャリティーのために資金を集めたりするための非公式な試合である。
ウォードリーはこの試合を4回行い、全勝した後、プロボクシングへの挑戦を決意した。当然、わずかばかりの経験をもとにしたその決断は、驚くほどの自身か、もはやある種の妄想が必要だったに違いない。
ウォードリーは2017年にヤコブ・ウォイチクと対戦し、プロデビューを果たした。この試合は彼のキャリアにおいて唯一の判定勝ちである。
ウォードリーはその試合について振り返り、初回に相手をダウンさせたにもかかわらずなぜいつものようにノックアウトを狙わなかったのか、その理由を語った。
「僕のデビュー戦は対サウスポーだった」とウォードリーは『ザ・ストンピング・グラウンド』で語った。「当日になって初めて『相手はサウスポーだ』と言われたんだ。自分はボクシング経験がほとんどないのに、サウスポーなんて知るかって感じだったよ」
「ダウンは取ったけれど、彼はタフな東欧出身で、試合中に自分の頭を殴り始めたから、『もういいや、深入りするのはやめよう』と思ったんだ」
「その後は攻勢を控え、慎重なボクシングに専念したよ。変なやつに首を突っ込むのはごめんだからね」
ウォードリーは英国ヘビー級シーンに自らを位置づける時間がないと考え、わずか9戦目でサイモン・ヴァリリーを相手に英国タイトルを争い、第3ラウンドKOで獲得した。
続いて、アンソニー・ジョシュアやデオンテイ・ワイルダーとも戦った経験を持つ、2度の世界タイトル挑戦者エリック・モリーナとの対戦に挑んだ。
質の高い相手を相手にした11戦目だったが、ウォードリーはモリーナを3ラウンドで楽にノックアウト。リングのロープから強烈な右フックを浴びせてモリーナを倒し、評価を一段と高めた。
次に狙ったのはロンズデールベルトだった。20試合で唯一喫した敗戦がダニエル・デュボアという強者ネイサン・ゴーマンを相手にした。
この試合でもウォードリーは見事なパフォーマンスを披露し、第2ラウンドで2度、第3ラウンドで1度ゴーマンをダウンさせ、陣営がタオルを投げ込み試合を終了させた。デュボアよりも2ラウンド早くゴーマンを撃破したことになる。
2023年にはリヤドシーズンに向け、サウジのボクシングの要人トゥルキ・アル・シェイク氏の前でのパフォーマンスを控える中、キャリアを大きく向上させる機会をとらえたウォードリーは、デビッド・アデレイとの対戦を決定。この試合では英国タイトルを守りつつ、コモンウェルスとWBOヨーロッパのベルトを集めることも視野に入れていた。
アデレイはこれまでの中で最もウォードリーを試練に追い込んだが、それでもウォードリーのボクシング技術が勝った。激しい応酬の末に7ラウンド目でライバルを止めた。それまでの全てのラウンドで優勢の判定だった。
2024年には世界クラスのアマチュア戦歴を持つ相手に対抗するチャンスとして、ウォードリーはオリンピック銅メダリスト、フレーザー・クラークと対戦。同年の年間最高の試合の一つとなったこの試合で3つのタイトルを防衛した。
両者は12ラウンドにわたって激しい応酬を繰り広げた。ウォードリーは第5ラウンドで決定的なダウンを奪い、クラークの熟練したスタイルを圧倒するパワーと攻撃力を見せつけた。
クラークがまだ経験したことのない、ノックアウト力のあるユニークなアプローチが勝敗を分け、試合はスプリット判定のドローに終わった。
7ヶ月後にリマッチが予定され、そのプロモーションでは「第13ラウンド」として宣伝された。ウォードリーは前回の試合からの続きとして、クラークをノックアウトすることを約束した。
その約束はさらに高いレベルで実現された。圧倒的なパフォーマンスを見せたウォードリーはわずか1ラウンドでクラークをKOし、これが年年間最高ノックアウトの一つと認められた。ヘビー級戦線にその存在を強烈に知らしめ、たった19試合で世界シーンに乗り出す準備が整ったことを示した。
現在WBAランキングでトップを走り、暫定タイトル獲得のチャンスを迎えたウォードリーは、元々米国のジャレル・ミラーとの対戦が予定されていた。しかし、ミラーが負傷で辞退し、代わりに若手オーストラリア人のジャスティス・フニと対決することになった。この試合は、6月にウォードリーの地元ポートマン・ロードで行われた。
フニ戦での開始から9ラウンドの間、ウォードリーは多くの苦戦を強いられた。フニに楽にアウトボクシングを遂行され、2人のジャッジの判定ではわずか1ラウンドの勝利にとどまっていた。
しかし、ウォードリーの武器は技術だけではなく、終盤まで持続するノックアウトパワーにある。それはこの試合の後半でも威力を発揮した。
フニはウォードリーの強烈な右拳で倒れた。レフェリーの10カウントまでに間に合わず、ウォードリーはWBA暫定王者となった。これでビッグマッチへの気運が高まった。
与えられたすべての障害を克服し、ウォードリーは今、ヘビー級のタイトル挑戦のためにその位置を飛躍的に固めようとしている。
すべてのタイトルが絶対王者オレクサンドル・ウシクに集約されている現在、ウォードリーは指名挑戦者のジョセフ・パーカーと対戦する。これは彼のキャリアで最も厳しい試合となるだろう。
パーカーは長年の経験を持つ。かつて世界チャンピオンであり、何度も挫折から復活し、2度目のタイトルを狙うチャンスに挑んでいる。築いてきた地位を簡単には譲ることはないだろう。
しかし、ウォードリーは逆境に追い詰められても決して諦めることなく戦う意志と力を備えている。リクルーターとして始まった10年前の物語を完結させる最高のチャンスを自ら手にしている。
| 日時 | タイトル | 対戦カード |
|---|---|---|
| 10月26日(日) 2:00 | ---- | パーカー vs ウォードリー |
| 11月2日(日) 4:30 | ---- | ブアツィ vs パーカー |
| 11月2日(日) 10:00 | ---- | ペロ vs トンプソン |
| 11月9日(日) 4:00 | ---- | GBM Presents: ザ・ハイスト スーパーミドル級トーナメント |
| 11月16日(日) 2:00 | ---- | ユーバンクJr vs ベン |
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