西武の高橋光成投手は28日、埼玉県所沢市の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4000万円増の今季年俸2億5000万円(金額は推定、以下同)でサインした。ポスティングシステムでメジャー移籍を目指しながら交渉が不調に終わり、残留を決断した右腕に対して、球団が下した評価とは──。
満面に笑みをたたえていた。契約更改後、報道陣の取材に応じた高橋は「(年俸は)上がりました。金額や契約年数は言えませんが、(昇給幅は)この顔が物語っています」とおどけた。
高橋の昨季成績は24試合8勝9敗、防御率3.04だった。まさかの0勝11敗に終わり、オフに5500万円の大減俸(2億6500万円→2億1000万円)を食らった一昨年に比べれば復調したとはいえ、2年連続の負け越しは本人にとって不本意だったはずだ。
それでも広池浩司球団本部長は「8勝9敗、防御率3点台というところよりも、しっかり投げてくれたというイメージが強いです。いつも戦線を離脱せずに投げてくれるところが、彼の一番素晴らしいところだと思います」と称賛。「投手は究極的には、勝ち負けや防御率を1人では完結できませんから、そこは大きく重視している部分ではありません。昨季はイニング数を稼いでくれたので、十分評価できる1年だったと思います」と評価のポイントを明かす。
実際、昨季の高橋は先発ローテの軸の1人として148イニングを投げ、2年ぶりに規定投球回数をクリアした。昨季規定投球回以上の投手は、パ・リーグ全体で13人、西武には今オフにポスティングシステムでアストロズ移籍が決まった今井達也投手(163回2/3)、初めて2桁勝利(10勝10敗)を挙げた隅田知一郎投手(159回2/3)を合わせて計3人しかいなかった。
エース格の今井が抜ける今季の西武先発投手陣には、守護神から2年ぶりに先発復帰を果たす平良海馬投手、円熟味を増す隅田、左肘の故障からの復活を期す武内夏暉投手らがいるが、実績があって計算が立つ高橋の存在はやはり貴重だ。
広池本部長は「今オフ、光成が戻って来ないことを想定して補強を考えていた部分がありましたが、戻ってきてくれたことによって、先発投手陣の編成はいったん終了できると思います。それくらい大きな存在です」とうなずく。
一方、高橋はメジャー移籍の夢も「ここで諦めたら一番ダサい。今年キャリアハイの成績を残して、また考えたいなと思います」と描き続ける。昨季終了後に国内FA資格を取得しており、順当にいけば来オフには海外FA権を取得している見込みだ。
想像以上に球団の評価が高かったから──というわけではないだろうが、この日の高橋の表情は底抜けに明るかった。今月4日の西武残留決定直後に米フロリダ州へ渡り、25日の帰国まで海外自主トレに取り組んできたとあって、「日本一の投手になるために、しっかり準備してきました。明日試合で投げられます、と言えそうなほどです」とボルテージを上げる。
さらに「全てをガラッと変えました。たとえば同じ変化球でも、少し握りを変えたりして、違う変化をするようになっています。今季は“進化した高橋光成”が見られるのではないかと思います」と付け加えた。
“キャリアハイ”を目指す以上、自己最多の12勝(8敗)、自己ベストの防御率2.20をマークした2022年の数字がひとつの目安になる。これを超えるようなら来オフにはメジャー球団がこぞって、今オフとは比べ物にならない大型オファーを提示してくるはずだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)