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ついに止まった「1346」…楽天に起きた“世代交代” 44年ぶりのスター誕生&MLB本塁打王の衝撃

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浅村栄斗が通算2000本達成も苦しい1年に

 2025年の楽天は、67勝74敗2分のリーグ4位でシーズンを終えた。4年連続4位と悔しい結果に終わったが、打撃陣においては多くの若手選手が成長の兆しを見せた。

 今季を振り返ると、チーム打率.244、432打点はそれぞれリーグ4位と、昨年とほぼ横ばいになったが、特筆すべきは“盗塁数”だろう。リーグトップを記録した「110」の内訳を見てみると、小深田大翔内野手が28個、中島大輔外野手が22個、辰己涼介外野手が20個と、特定の選手1人が盗塁数を稼いだのではなく、複数選手がコンスタントに盗塁を成功させていることが分かる。

 また、チーム本塁打数はリーグ最少も、シーズン中盤以降はルーク・ボイト内野手らが存在感を示すなど、昨季と比較しても確実に攻撃力が上がったと言えるだろう。

 大記録まで残り「36」本で今シーズンを迎えた浅村栄斗内野手だったが、今年は苦しい1年になった。2015年から連続出場を続け、歴代4人目の記録を保持していたものの、開幕からなかなか打撃の調子が上がらず、5月18日の出場をもって記録が「1346試合」でストップ。

 それでも、主軸として背中でチームを引っ張ろうとする姿を見せ続けてきた。5月24日の日本ハム戦で、山崎福也投手の変化球をはじき返し、ついに史上56人目となる2000安打を達成した。平成生まれの選手としては史上初の記録達成となっている。

 しかし記録達成後も不振に苦しみ、7月には2軍での調整を余儀なくされるなど、苦難のシーズンを過ごした。結果的に96試合で打率.239、9本塁打、34打点と、13年連続2桁本塁打を達成することはできなかったが、来季は復活した姿に期待したいところだ。

宗山塁、村林一輝の鉄壁の三遊間が完成

 5球団競合の末、ドラフト1位で入団した宗山塁内野手は、敵地で迎えた開幕戦(3月28日・オリックス戦)でデビューを飾った。「2番・遊撃」で先発出場し、1点ビハインドで迎えた9回、1死三塁でアンドレス・マチャド投手の初球をはじき返し、プロ初安打が貴重な同点打に。その後は5試合連続安打を記録するなど、好スタートを切った。

 また、4月16日のソフトバンク戦では、上沢直之投手から先制弾となるプロ初本塁打を記録。以降もケガなく出場を続け、1軍でシーズンを完走した。新人野手としては、球団4人目となる100安打を達成すると、12球団ルーキー最速で規定打席到達。さらに、パ・リーグ遊撃手部門では、新人44年ぶりとなるベストナインに輝くなど、十分すぎる成績でルーキーイヤーを終えた。

 10年目・村林一輝内野手は、昨季を上回る活躍を見せた。宗山の加入もあって、今季は三塁手としての出場がメインに。それでも、ポジション変更をものともせずに1度も離脱することなく出場を続け、4月、5月、7月にはいずれも月間打率3割を超えるなど、安定した成績をマーク。終盤こそ調子を落としたものの、夏場には首位打者に躍り出るなど、打線をけん引し続けた。

 また、宗山と抜群のコンビネーションで鉄壁の三遊間を形成するなど、守備でも数々のピンチからチームを救った。結果として、137試合で513打数144安打、打率.281といずれもチームトップの成績をマーク。最多安打のタイトルを獲得すると、三井ゴールデン・グラブ賞、ベストナインにも選出され、チームにとって欠かせない存在へと成長を遂げた。

中島大輔、黒川史陽が飛躍、途中加入ボイトは13本塁打をマーク

 2年目を迎えた中島大輔外野手は、前年を大きく上回る124試合に出場するなど存在感を示した。今季は開幕1軍入りこそ逃したものの、4月半ばに昇格。5月は月間打率.304を記録するなど頭角を現すと、シーズン中盤からはリードオフマンとして存在感を発揮し、以降は離脱することなく、1軍でシーズンを走り抜けた。

 高卒6年目・黒川史陽内野手は、ブレイクの1年に。83試合に出場し、301打数90安打、4本塁打、33打点、打率.299と、規定打席未達ながら3割近い打率を残し、大器の片鱗を見せた。

 6月から加入したボイトも、打線の主軸として活躍した。7月2日に1軍登録されると、同日のロッテ戦の第2打席で来日初安打を放つと、迎えた第3打席、木村優人投手の変化球を捉え、力強い打球はレフトスタンド中段へ。鮮烈なNPBデビューを果たした。

 途中加入だったにもかかわらずチームトップの13本塁打を記録。お立ち台では「TOHOKU サイコー!」と毎回声を張り上げてスタジアムを盛り上げるなど、ファンからも愛されている。初めてNPBでフルシーズン戦うことになる来季は、さらに本塁打を量産してくれるに違いない。

若手が続々1軍デビューの一方、チーム一筋14年のV戦士が引退

 ドラフト5位・吉納翼外野手、ドラフト6位・陽柏翔内野手も1軍デビューを果たしている。吉納は、2軍95試合で、5本塁打、打率.223を記録し、9月29日に初昇格。初安打こそ生まれなかったが、2試合に出場した。

 陽は、10月3日に初昇格を果たすと、同日の西武戦、代打で初安打を記録した。その後も、俊足を生かした積極的な走塁を見せるなど、来季に向けて大きくアピールした。

 また、2021年のドラフト1位・吉野創士外野手は、高卒4年目の今季、初めて1軍の舞台に立った。出場2試合目となった9月30日のロッテ戦で初安打をマークすると、10月3日の西武戦では初の適時打で初打点を記録し、塁上では力強いガッツポーズで喜びをあらわにした。

 多くの若手が躍動した一方で、長年チームのために戦ってきたベテランがまた1人、現役生活に終止符を打った。

 球団創設初の日本一に輝いた2013年、リードオフマンとして打線をけん引した岡島豪郎外野手が、今季限りでバットを置く決断をした。ガッツあふれるプレーと持ち前の明るさで、チームメイトそしてファンから愛された。現役最終打席となった10月4日の西武戦では、同郷の高橋光成投手から安打を放ち、有終の美を飾った。なお、来季からは球団アンバサダーとして、東北や球団の魅力を発信する活動を行うことが発表されている。

 野手最年長の鈴木大地内野手も、内野全ポジション、そして時には外野守備をこなすだけでなく、ピンチでもチャンスでも、積極的な声掛けを行うなど、今年も精神的支柱としてチームを支えた。2013年以来13年ぶりのリーグ優勝、そして日本一に向けて、十分な戦力はそろっているはずだ。三木監督の続投が決まっている2026シーズン、東北に再び栄冠をもたらせるか。(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)