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ラ・リーガ

【コラム】スペイン紙副編集長が記す久保建英の現在地…「“日本のメッシ”は誇張ではなくなった。ワールドクラスになるのはほぼ間違いない」

Javi Silles & Shinichiro Ema
【コラム】スペイン紙副編集長が記す久保建英の現在地…「“日本のメッシ”は誇張ではなくなった。ワールドクラスになるのはほぼ間違いない」Getty Images
【欧州・海外サッカーコラム】久保建英は一体どこまでの選手になるのだろうか。

久保建英がマーケティング戦略によって名声を獲得してきたと思っていたら、それは大きな間違いだ。欧州フットボールに挑戦する日本人選手をそうした戦略に利用する動きも、これまで少なからずあっただろうが、たとえそうだとしてもすべては彼の桁外れの才能がきっかけとなっている。

そもそもフットボールを理解する人たちは、最初から分かっていたのだ。タケ・クボが“本物”であることを。

今季序盤の久保は昨季中盤からの勢いを継続している。もっと言えば、人々が彼の才能にはじめて触れたときに描いた未来予想図を現実のものにしようとしている。もう、彼に何が成し遂げられるのかを疑う必要など、ほとんどないのだ。彼はワールドクラスのスターとなる道の上にいるのだから。

■リーガの稲妻

今季の久保はリーガに走った稲妻だ。引退したダビド・シルバに代わり、ラ・レアルの旗を掲げてチームを導く彼は、スペイン全体にも大きな衝撃を与えている。

ラ・レアルの旗手となった日本人は、右サイドをプレーの出発点とする。そこから周辺状況を把握すると、その凄まじいドリブル技術、加速力、決定力でもってリーガの中でも最たる違いを生み出す。ラ・レアル指揮官イマノルは、口では「タケはほかの全選手と同じように大切だ」と言っているが(それも本心ではあるのだろうが)、久保をチーム最大の武器にしているのは明らかだ。そのきっかけは、昨季途中にシルバが負傷離脱したときだった。

イマノルはシルバが離脱した際、システムを中盤ダイヤモンド1-4-4-2から1-4-3-3に変更し、2トップの一角だった久保を右ウィングに配置。左サイド、中央で攻撃を展開し、右サイドに開く日本人MFが良いタイミング、つまり相手の左サイドバックと1対1の状況でボールを受けさせ、ドリブルからのラストパス、シュートと決定的なプレーを期待するようになった。この久保を生かすシステムは見事にハマり、今季に入っても使われ続けている。

久保はもはや1対1で止められる存在ではない。昨季最終節、アトレティコ・デ・マドリーのディエゴ・シメオネは「久保は無効化しなければならない。彼はラ・レアルで最も決定的な選手だ」と語っていたが、今季ラ・レアルと対戦するチームは、久保を左サイドバック1人だけに対応させるのは絶対的なタブーと認識している。

だが久保が徹底マークに遭うことで開く道もある。彼にマークが集中すれば、その分だけチームメートが相手にとって危険な場所でスペースを獲得できるのだから。今の久保は自分、または味方を生かすべきかをよく選べている。とりわけブライス・メンデス、ミケル・オヤルサバル、ミケル・メリーノら同じフットボール言語を話すテクニシャンたちとの連係は抜群で、彼らとの壁パス、動きのシンクロは久保のプレーの起爆剤にもなっている。

takefusa-kubo-real-sociedad-liga-20231008Getty Images

■トランジションでの貢献、そしてフィニッシュワーク

 

久保の働きはアタッキングサードだけにとどまらない。チームがゴール前までボールを持ち込めば右サイドに開いてチャンスを待っているが、それまでの過程、つまりはトランジションでもその力を発揮する。ザルツブルク戦のブライス・メンデスのゴール場面もそうだったが、味方の視界を開かせるプレーを見せるのだ。スペイン語を話す調子からしても頭の回転が速そうな彼は、プレーを実行する前に何が最善なのか見極めている。その突出した技術を最大限発揮するべく、チームメートのポジション、またはマークを外す動きを、ほぼ完璧に把握している。

そして、久保が本格ブレイクを果たした最大の要因と呼べるのが、フィニッシュワークの改善だ。彼はこれまで課題としてきたものをついにクリアした。今季序盤ですでに5得点2アシストを記録しているというのは、決して瑣末ことになり得ない。とりわけシュートについては、ボールを叩く精度はもちろんのこと、何よりも“決定力”が凄まじい。

先ほどの頭の回転の話にも通じるが、彼はもう闇雲に、ただ強くシュートを打っているわけではない。先のバスクダービーでのゴールはそれこそワンチャンスをモノにしたものだが、最初にファーポストへのシュートを狙いながら、相手GKウナイ・シモンの動きを見てから瞬時にニアに狙いを切り替えていた。

その止められないドリブルを見れば分かる通り、久保は欧州トップリーグの標準的な選手と比べて思考力、反応時間、技術が飛び抜けている。そして今季、経験則もあってそれらの能力を滞りなく発揮できるようになった。だからこそ彼はもう誰にとっても見逃せない選手に、テレビでラ・レアルの試合がやっていれば「お、クボが出てるぞ…」とチャンネルをそこで止めて、プレーを見届けなくてはいけない存在になったのである。

 

■“日本のメッシ”

スペインで久保のブレイクを報じる記事は際限なく生産されており、それは彼が新たな次元へ突入したことを感じさせる。またフランスの権威あるスポーツ新聞『レキップ』は、先に“日本のメッシ”というタイトルで、久保の分析記事を掲載。そのタイトルはもはや大袈裟でも何でもなく、直接的かつ明確であるだけの表現となった。この日本人の称賛は、あらゆる国境を越え始めている。

久保にまだ何か足りないものがあるとすれば、1試合、もっと言えば1シーズンを通してコンスタントの活躍を見せることか。あのサンティアゴ・ベルナベウでのマドリー戦でも、前半に世界に衝撃を与えるパフォーマンスを披露しながらも後半に存在感を失った。もちろんラ・レアルというチームの力やイマノルの采配も関連することではあるのだが、彼が今なろうとしているトップ・オブ・トップのスターは、最後の最後まで何かをしでかす怖さがあるものだ。

takefusa-kubo-real-sociedad-liga-20231008■飛躍のときGetty Images

久保は2023-24シーズンで助走期間を終え、最終的な飛躍を果たすことになるだろう。ラ・レアルはテイクオフのためには完璧なチームだったが、日本人と航路、スピードをともにできるのはおそらく今季までだ。

ラ・レアルにとっては痛ましいことではあるが、久保がつかむべき成功は同クラブでは収まらないところまで来ている。フットボールの世界では何が起こるのか最後まで分からないというのも確かだが、タケ・クボという選手はほぼ間違えようのないところまで来ているのだ。そうした肌感覚は、フットボールシーンを長く見続けてきた人ほど覚えているに違いない。

文=ハビ・シジェス(Javi Silles)/スペイン紙『as』副編集長
翻訳・構成=江間慎一郎(Shinichiro Ema)

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