2023シーズンのF1は当初24戦で行われる見通しだったが、新型コロナウイルスの影響で中国GPが開催見送りとなり、全23戦で実施すると発表された。第6戦エミリア・ロマーニャGPを控えた5月17日、現地イモラが洪水で被災したことから、中止とアナウンスされた。代替開催は見通しが立っておらず、直近2シーズンと同様に3年連続での年間22レースが開催される見通しとなっている。
F1第16戦シンガポールGP 概要
イタリアGPが終わり、戦いの舞台はアジアへ。お馴染みのナイトレース、シンガポールGPが開幕する。
ヨーロッパラウンド最終戦のイタリアGPでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが10連勝を達成し、個人での最高連勝記録を更新した。ここまで全勝のレッドブルはチームとして、昨シーズンの最終戦より続く連勝記録を「15」まで伸ばしている。
ホームグランプリで意地を見せたフェラーリ勢は善戦したものの、最終的にレッドブルが今季6回目のワンツーフィニッシュを達成。これまで圧倒的な強さを誇るレッドブルを誰が止めるのかという点がシーズン最大の注目トピックであったが、ここに来てレッドブルのシーズン全勝も現実味を帯びてきた。
これまでのF1の歴史の中でシーズン全勝を達成したチームは存在しない。全勝に最も近づいたのは1988年のマクラーレン・ホンダで、16戦15勝という成績を残している。この年のマクラーレンが、唯一勝利を取りこぼしたのはモンツァ。このモンツァの壁も乗り越えてみせた今季のレッドブルが、新たな歴史を作るかもしれないという期待がF1ファンの中に広がりつつある。
次戦の舞台はシンガポール。マリーナベイ市街地コースは、首都中心部に特設される市街地コースだ。公道を使用するため全体的にコース幅は狭く、タイトな箇所ではウォールが間近に迫る。さらにはグリップも低いため、クラッシュの危険性は高い。いかに速いマシンがあろうともリタイアしてしまえば一巻の終わりなので、レッドブルにとってはひとつの正念場と言えるかもしれない。
今シーズンはここまでどんなサーキットでも、どんな天候でも揺るぎない強さを見せてきたレッドブル。このサバイバルレースを制することができれば、シーズン全勝という伝説に一歩近づくことになるだろう。
前人未到の領域に足を踏み入れたエース、フェルスタッペン。今季挙げた2勝がどちらも市街地サーキットという“ストリートファイター”セルジオ・ペレス。レッドブルをさらなる高みに押し上げるのはどちらか。あるいは、それを阻む者が現れるのか。熱いF1アジアラウンドが始まる。
コースの成り立ち
Getty Images
F1初のナイトレースとして2008年に初めて開催されたシンガポールGP。国のシンボルでもある巨大な観覧車や印象的な高層ビル群が並ぶマリーナ沿いの公道にサーキットが特設された。
ナイトレースを実現するために用意されたのは、240本の鉄塔と11キロにも及ぶケーブル、そして1,600基の照明。それが灯ると日没後の街中に美しいコースレイアウトが浮き上がり、他に類を見ない幻想的な情景が表れる。もちろんドライバーの視界やコースの安全性も十分保たれる照度となっている。
ナイトレース開催の背景には、観戦者が多いヨーロッパでの視聴時間を考慮した面も大きかったが、開催費用の半分以上を負担するシンガポール政府は、観光客誘致のための大型イベントとしてシンガポールの魅力を世界中に発信。その結果、多額の経済効果を生み出している。
コースに関しては、一部を除いて公道が使用されるため、通常のサーキットコースより路面がデコボコしており、走行中のマシンが底を擦ることで、激しい火花が上がるシーンが多く見られる。また夜でも30度を超える赤道直下の高温多湿な熱帯気候は、ドライバーを極限状態に追い込む非常に過酷なコンディションだ。
レース開催日程・DAZN配信予定
第16戦:シンガポールGP
日時 | 内容 | 解説・実況 |
---|---|---|
9月15日(金) 18:30~ | フリー走行 1回目 | 解説:田中健一 小倉茂徳 |
9月15日(金) 22:00~ | フリー走行 2回目 | 解説:田中健一 柴田久仁夫 |
9月16日(土) 18:30~ | フリー走行 3回目 | 実況:笹川裕昭 コメンテーター:浅木泰昭 |
9月16日(土) 22:00~ | 予選 | 実況:笹川裕昭 解説:中野信治 |
9月17日(日) 21:00~(配信開始20:10) | 決勝 | 実況:サッシャ 解説:中野信治 |
サーキット(マリーナベイ市街地コース)
DAZN
19のコーナーを持つマリーナベイ市街地コース。その多くは市街地特有の直角コーナーが連続するレイアウトとなっており、加減速を繰り返すため、ブレーキ性能と力強い加速が必要とされる。
DRS区間はメインストレートを含めて3か所に設置されているが、その3カ所を駆使しなければオーバーテイクは非常に難しく、予選順位が大きくカギを握る。ガードレールに囲まれたコースは、わずかなミスをも許さず、セーフティーカーの出動率は驚異の100%。2時間レースになることも珍しくない。レース終了後には、盛大な花火が打ちあがり、レースウィナーを祝福する様子など、ナイトレース特有の魅力も見どころ十分となる。
なお2023年限定の見通しながら、セクター3区間にあったターン16~19、4つの直角コーナーがなくなり、ここがストレート区間となった。コーナー数は2022年までの23から、2023年は19に減少。そのため、昨季までに比べると高速特性がより強まる状況となっている。1周は4.928kmで、決勝は62周で行う。
2022年シンガポールGPの結果
Getty Images
現地シンガポールは決勝前に雨が降り続いたこともあり、路面はあちこちに水溜まりができている状況。フォーメーションラップが65分ディレイ(日本時間22:05)になるとアナウンスされた。
しばらく雨は止んだ状況ながら、路面は濡れたままで65分遅れの決勝時間を迎えた。全車第1スティントにインターミディエイトを選び、フォーメーションラップへと入る。
レースはブラックアウトとなり、2番手スタートのセルジオ・ペレスが1コーナーにトップで飛び込む。8番グリッドからの開始となったマックス・フェルスタッペンは蹴り出しが悪く、12番手まで順位を落とした。10番グリッドの角田裕毅は9番手に順位を上げている。
ペレス、チャールズ・ルクレール、カルロス・サインツ、ルイス・ハミルトン、ランド・ノリスの順番でオープニングラップを終えた。フェルスタッペンはそこからポジションを上げていき、3周目には角田を抜いて9番手までポジションを取り戻している。
レースはトップ2のペレス&ルクレールが3番手以下を突き放す流れとなり、6周目にはトップのペレスと9番手フェルスタッペンの差が24秒に開く。
7周目にニコラス・ラティフィとチョウ・グァンユが接触し、チョウはそのままリタイアとなった。その直後、ターン5のデブリ除去のためにセーフティーカーが導入となった。ラティフィはピットまで戻るも、左リアのアームが折れており、こちらもリタイアを余儀なくされている。
セーフティーカーによって各マシンの間隔は一気に詰まり、11/61周目よりレースが再開となった。ローリングスタート後に大きな混乱はなく、フェルスタッペンはこの周にセバスチャン・ベッテル&ピエール・ガスリーを抜き、7番手まで挽回している。
だがこの後路面はなかなか乾かず、DRSがオープンにならないこともあり、ポジションの入れ替えがほとんど起きずにラップ数が進む状況となった。
ペレスとルクレールが再び3番手サインツを大きく引き離す展開に持ち込み、20/61周目には10秒ほど差が開いた。
21周目のターン10で350戦目のアロンソがコース奥にマシンをストップさせ、バーチャルセーフティーカー導入となる。その直前、角田はライン取りのミスから一時トラクションを失い、ポジションを12番手まで下げてしまう。VSCとなり、ここで後方を走っていたジョージ・ラッセルが最初にスリックへとチェンジ。だがまだドライには厳しい路面で、ラッセルはマシンコントロールでかなりの苦労を強いられることに。
26/61周目にアレクサンダー・アルボンが止まれずにタイヤバリアにマシンを当て、フロントウイングが外れる状況に。これでレースは再びVSC導入となるも、一足早くスリックに変えたラッセルのペースが上がらないことから、誰もピットに入らずインターミディエイトでの走行を続けた。
28周目には13番手走行中のエステバン・オコンがマシントラブルでコースアウトし、これで再びVSCとなるも、タイヤ交換についてまだまだ様子見が続く。
34/61周目に入ると、スリックで走行するラッセルのペースがファステストラップペースまで速くなったことから、ガスリー、角田、バルテリ・ボッタスらがスリックへと変更する。その翌周からは上位勢も軒並みドライタイヤに変更した。
するとスリックに変更して間もない角田はタイヤの温度が上がっていない状況下、ターン10で止まれず。ウォールに当たってそのままリタイアとなり、レースは再びセーフティーカーとなった。ここでマクラーレン勢もスリックに変更し、全マシンがドライタイヤにチェンジし終えた。
レース開始から1時間20分が経過し、ここでレースは2時間ルールで残り40分弱とカウントされる。残り35分でセーフティーカーエンドとなり、ローリングスタートで再開となった。各ドライバーは何かがない限り、これで最後まで走り切る展開となる。
トップはペレス、ルクレール、サインツ、ノリス、フェルスタッペンと続き、フェルスタッペンはセクター2区間の追い抜き時に止まれず、8番手まで順位を落としてしまった。そしてタイヤにフラットスポットを作ってしまったこともあり、再度タイヤ交換がマストとなる。フェルスタッペンはソフトに変更し、走行中のマシンでは最下位となる14番手までポジションを下げる形に。
ここからペレスとルクレールがファステストラップを更新しながらトップを争うマッチレース状態に。そして残り27分になり、ようやくDRSオープンとアナウンスされる。トップのペレスはマシンの違和感を訴えながらもルクレールの猛追を防ぎ続ける状況に。
一時14番手まで下がったフェルスタッペンはオーバーテイクを連発し、残り12分で9番手まで順位を上げた。
残り10分になるとトップのペレスはさらにペースを上げ、ルクレールとの差を最後は7.5秒まで広げた。結局レースはペレスがそのまま逃げ切って同シーズンではモナコGPに続く2勝目をマークしている。
2位ルクレール、3位サインツまでが表彰台に上がった。4位ノリス、5位ダニエル・リカルドとマクラーレン勢が続き、6位ランス・ストロール。そしてフェルスタッペンは7位まで盛り返しフィニッシュとなった。8位ベッテル、9位ハミルトン、10位ガスリーまでが入賞となっている。
2022年第17戦シンガポールGP決勝結果
1/セルジオ・ペレス/レッドブル
2/チャールズ・ルクレール/フェラーリ
3/カルロス・サインツ/フェラーリ
4/ランド・ノリス/マクラーレン
5/ダニエル・リカルド/マクラーレン
6/ランス・ストロール/アストンマーテイン
7/マックス・フェルスタッペン/レッドブル
8/セバスチャン・ベッテル/アストンマーティン
9/ルイス・ハミルトン/メルセデス
10/ピエール・ガスリー/アルファタウリ
11/バルテリ・ボッタス/アルファロメオ
12/ケビン・マグヌッセン/ハース
13/ミック・シューマッハ/ハース
14/ジョージ・ラッセル/メルセデス
-/角田裕毅/アルファタウリ
-/エステバン・オコン/アルピーヌ
-/アレクサンダー・アルボン/ウィリアムズ
-/フェルナンド・アロンソ/アルピーヌ
-/ニコラス・ラティフィ/ウィリアムズ
-/チョウ・グァンユ/アルファロメオ
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |