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【コラム】久保建英、たどり着いたフットボール界のトップレベル…レアル・ソシエダと旋風を巻き起こしている理由|ラ・リーガ

【コラム】久保建英、たどり着いたフットボール界のトップレベル…レアル・ソシエダと旋風を巻き起こしている理由|ラ・リーガDAZN
【欧州・海外サッカーコラム】レアル・ソシエダ(ラ・リーガ)と久保建英は、これ以上ないような組み合わせだった。

フットボールはこれからどんなことが起こるのかを事前に知らせてくれている。偶然で成功を収められるケースなど(ほぼ)存在しないし、すべては立ち上げたプロジェクトが良質かどうかに由来する。欧州フットボール界において今季のセンセーションとも称せるレアル・ソシエダも例外ではない。彼らはスポーツ面で明確な方針を打ち出し、自家製の監督にチームを託して、同じ言語を話す選手たちを集めてきた。現在のソシエダは派手やかであると同時に、結果を収める上で非常に効果的だ。そして、その中で久保建英はチームのアイコンの一人として、これまでの名声(バルセロナが下部組織に引き入れた、あるいはレアル・マドリーが獲得した)に違わぬ存在感を発揮している。

ソシエダの妙技は市場でのサバイバーぶりから始まる。彼らの選手たちは引く手数多だが、引き抜かれても陣容が損なわれることはない。それどころかより良くなっている。昨夏にはイサク、ヤヌザイ、ポルトゥを放出してスルロット、ブライス・メンデス、久保、モモ・チョーを獲得し、なおかつ1700万ユーロの利益を得た。この成功の仕掛け人はスポーツダイレクターのロベルト・オラべと、獲得してきた選手たちをベンチから最高の形で生かし切るイマノル・アルグアシルである。

imanol-takefusa-kubo-real-sociedad-20230129■イマノルの戦術Getty Images

ソシエダの下部組織出身選手・監督であるイマノルは、中盤ダイヤモンドの1-4-4-2が基本システムで、ときに1-4-3-3も使用。もちろん、それは数字上の並びでは、という話だ。彼らは相手のビルドアップに対して、マンツーマンでハイプレスを仕掛けられるような布陣を敷く。守備に回る際のソシエダは対戦相手にまとわりつく、うざったらしい一枚岩のチームになるのである。ボールを失えば即座にすべての選手が相手を圧迫し、奪い返せばトランジションからもっと相手ゴールに迫る。久保がゴールを決めたアトレティック・クラブとのダービーでも、まさにそうやって勝利をつかんでいた。

ソシエダはその一方で、状況次第ではピッチ中央やや下り目の位置で守備ブロックを敷き、そこからも速攻を狙える。とはいえ、彼らの真骨頂はやはりビルドアップにある。GKのレミーロから相手を引きつけ、サイドバックが高さを取って、アンカーがボールを受けに下がり、インサイドハーフと前線の選手たちはサポートや突破を狙う動きを決して止めない。ボールを保持した彼らは完璧なプレーを見せる。それと言うのも攻撃時、ボールを持っていない選手たちがチームメートに常に解決策を提示しているからだ。

ソシエダのようなフットボールをするためには、そうしたフットボールを解釈・実践できる選手たちが必要となる。オラべの補強は見事なもので、また下部組織の育成も素晴らしく、彼らのフットボールを理解しているという点では誰が出ても遜色ない。ラ・リーガ前節ラージョ戦(2-0勝利)ではスビメンディ、ミケル・メリーノ、久保がおらず、さらにブライス、シルバ、スルロットも早々にピッチを後にして中盤の重要な選手たちは一人残らずいなくなったが、チームは彼らの不在を痛感することがなかった。それはイマノルによるビルドアップ、ハイプレス、トランジションのプレーアイデアを全員が一様に理解していることを意味する。どの選手もそのアイデアを軸にしてプレーに取り組んでいる。

takefusa-kubo-real-sociedad-liga-20230129■攻守両面で輝く久保Getty Images

だからこそ、久保にとってソシエダはぴったりとはまる指輪だった。セカンドトップ、またはサイドでプレーする彼は多くの場面で存在感を発揮しており、とりわけシルバ、ブライス、M・メリノ、スルロットとの連係は抜群。ポジショナルなレベルで彼らは補完し合っており、互いの邪魔になることはしない。

久保がサイドに開いて頭を上げれば、もう中央に走り込んでいる選手たちがいる。中央でシルバやインサイドハーフがボールを受ければ、久保はすぐにでもセンターバックとサイドバックの間を突こうとする。中盤でボールを前に出せない状況に陥れば、久保も後方に下がってサポートをする……。限られたスペースでも連係が取れてしまう極上のクオリティーを有するソシエダというチームにおいて、日本人選手の創造力、ダイナミズムは眩いばかりに輝いている。久保はまた、フィニッシュフェーズでのプレーも少しずつ改善しているようだ。シュートの精度はもちろんのこと、自分でなくチームがゴールを決めるために最善のプレーを選択するようになっている。

久保について、いつも語られているのは攻撃面のことだが、守備面での貢献も強調されるべきだろう。ソシエダというチームの機能性は素晴らしく、ひとかたまりとなって攻撃を仕掛けることで、ボールを奪われてもほんの数メートル、わずかな時間の内にそれを取り戻すことができる。その中で久保は力を惜しむことなくプレスを仕掛けている。ボールを失った直後のハイプレスでもビルドアップを阻むときにも、相手がミスしそうなところを検知して全力で圧力をかけ、それでいてチームメートのカバーも忘れない。

takefusa-kubo-real-sociedad-20230129■ソシエダと久保、完璧な共生関係Getty Images

久保とレアル・ソシエダはこれ以上ないような共生関係にある。ソシエダにたどり着くまでにプレーしてきたチームは彼のフットボール的長所とはかけ離れていた……それでも学び、経験のプロセスとしては重要なものだったし、トップレベルまでたどり着くための階段になっていたはずだ。そう、今季センセーションを巻き起こしているソシエダで、久保はその才能にふさわしいフットボール界のトップレベルに到達しているのだ。

ソシエダは先のコパ・デル・レイ準々決勝でバルセロナに敗れた。が、チームの評価が下がることはない。久保のプレーは凄まじく、クロスバー直撃のシュートほか、選ばれた者しか送れないグラウンダーのクロスで、スルロットの外す方がはるかに難易度の高い決定機を導いた。ソシエダと久保の結びつきは人々を魅了する。フットボールのスペクタクルが、凝縮されている。

文=ハビ・シジェス/スペイン紙『as』副編集長
翻訳=江間慎一郎

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