遡ること2008-09シーズン、ローマおよびインテルの指揮官として対戦したルチアーノ・スパレッティとジョゼ・モウリーニョ。ピッチ外にも及ぶ2人のデュエルは時を超え、それぞれナポリおよびローマの指揮官となった今シーズンも火花を散らす。冗談も交えつつ舌戦を繰り広げ、時には熱い抱擁も交わした2人の指揮官。“友人同然”と言えるほどの仲にあるルチアーノとジョゼは19日、スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナのビッグマッチで一戦を交える。
スパレッティが再生したビルドアップの要
『ダゾーン・イタリア』で解説者を務めるティリボッキ氏は、「Like Tattico」に出演。2人が率いる3位ナポリと5位ローマによる上位対決の戦術分析を行った。元アタランタFWはまず、スパレッティのチームに注目。トスカーナ人指揮官が、昨シーズンに活躍が目立たなかったMFスタニスラフ・ロボトカの能力を引き出し、再生することに成功したことを指摘した。
「この選手はナポリにおいて極めて重要だ。2人のセンターバックをカバーし、常に正しいポジショニングで、守備面において素晴らしいパフォーマンスを見せる。またビルドアップにおいては、センターバック2人の位置まで下がってプレーを組み立て、重要な役割を果たす」
「ロングフィードはないが、常にボールのエリアに顔を出し、チームメートの特性に合わせて、ラインの間を狙った攻撃を仕掛ける。ナポリのビルドアップの初期の段階で違いを作り出す選手は、ロボトカと言ってよいだろう」
(C)Getty images
さらにナポリは、ビルドアップの第2段階において、前線で裏をとる攻撃を狙う。
「縦への攻撃で破壊的なパフォーマンスを見せる（ヴィクター）オシムヘンがフィニッシャーとなる。ゴール前20メートルで相手DFの間を抜け出して、シュートチャンスを作り出す。まさに相手の脅威となるために、オシムヘンはこうした裏を狙ったボールを拾いに行かなければならない。彼は裏をとる動きや冷静さという点において、大きく成長したと言える」
モウリーニョのカルチョの体現とザニオーロの成長
続いてティリボッキ氏は、モウリーニョのチームを解説した。ローマは今シーズン、監督と選手がお互いを理解するのにやや時間を要したが、チームはようやく指揮官の目指すカルチョを表現し始めた。サンプドリア戦（ローマが1-0で勝利）では、約47秒にわたる20回のパス回しの末にゴールネットを揺らした。
「ローマが見せるパス回しは、無意味なものではない。対戦相手をプレスへと誘き出すためのボール保持なのだ。ローマは、まさにモウリーニョが求めていた最終ラインからのビルドアップを習得しつつある」
元アタランタFWは、ローマのカギを握る選手として、MFニコロ・ザニオーロを挙げ、22歳MFの成長を指摘した。
「ボールを足元に持ち、ドリブルで仕掛けてフィジカルを発揮するだけではなくなった。下がってラインの間でプレーするなど、良い動きも見せるようになったことで、相手にとって対応がより難しくなった。また（タミー）エイブラハムと連携して縦を狙う場面も見られる」
「つまり彼は、自身のプレースタイルを変化させ、より組織的なプレーを見せるようになったと言える。もはやフィジカルだけを武器とした異分子ではなくなり、チームメートに寄り添うようになった。成長を遂げたザニオーロは、（ヘンリク）ムヒタリアンとともにローマにプラスアルファをもたらす。2人のクオリティがあれば、エイブラハムを活かすことができる」
Getty
両チームの強みであるセットプレーにも注目
さらにティリボッキ氏は、両チーム共通の強みとしてセットプレーを掲げている。ローマはこれまでに、セットプレーから14得点をマーク。ナポリも13得点を挙げるなど、セリエAで1位、2位を競っている。
「練習で何度もテストをした上で、選手の正しい配置を行う。ナポリはフリーキックの際、（ロレンツォ）インシーニェのようなマリーシアのある選手をライン上に並べている。一方のローマは、コーナーキックにめっぽう強い。エイブラハムや（ブライアン）クリスタンテがゴールを挙げているほか、フィジカルの強い（ロジェール）イバニェスもいる」
果たして“友人同然”とも言える関係にあるスパレッティとモウリーニョの対決は、どんな結末を迎えるのだろうか。試合の行方は目が離せない。
放送・配信予定
- ナポリ vs ローマ
- 配信：DAZN
- キックオフ：2022年4月19日（火）日本時間2:00
- 会場：スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナ
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