後半18分、リチャルド・リオスが右サイドから上がりエリア内へクロスを入れる。それ以上の展開に繋がることはないかと思われたプレーだった。リーヴァイ・コルウィルのマークを受けながらボールを受け取ったエステバンは、ゴールエリア外のゴールラインまで駆け上がる。魔法の杖が振るわれたのはその瞬間だった。ほぼ角度のない位置から、決まるとは思えないシュートだったが、ボールはクロスバーを叩いてネットに収まった。ロベルト・サンチェスは反応すらできなかった。
前半には苦戦を強いられていたSEパルメイラスだが、このゴールによってチェルシーFCに追いつき、試合はそこからさらに白熱していく。エステバンにとってはFIFAクラブワールドカップ2025での初ゴールであり、今大会で見せた最高のプレーでもあった。終了7分前にチェルシーが奪った勝ち越しゴールがパルメイラスを敗退に追い込んだが、それでも彼はハイレベルなパフォーマンスで別れを告げることができた。他ならぬ次の所属クラブを相手として。
「とてもショックだ。僕らがどれほど努力してきたか、ピッチ上で全力を尽くすため戦ってきたかは自分たちしか知らない。一人ひとりがすべてを出しきった。このメンバーの一員であったことを強く誇りに思う。家族も僕自身も、パルメイラスのしてくれたすべてのことに心から感謝している」。試合を終えたエステバンはそう語った。「本当にありがとう。パルメイラスはずっと僕の心の中にある」。
涙をこらえてそう答えた数分後、この試合のミケロブ ウルトラ ベストプレイヤー賞に選ばれたエステバンをカメラが探そうとしたとき、まだピッチ上に残っていたパルメイラスの41番はチェルシーの未来のチームメイトたちと親交を深めていた。特に、この試合の先制ゴールを挙げたコール・パーマーと。
「これがパルメイラスでの僕の最後の大会になることはわかっていた。チームメイトと一緒にできる限り楽しもうとした。彼らとは家族以上に長い時間を一緒に過ごした」とエステバン。この試合でのチェルシーの選手たち、特にマルク・ククレジャと繰り広げた勝負についても振り返った。「ゲームの中でのことだ。僕はパルメイラスのために全力を尽くし、彼らはチェルシーのためにそうしていた。何度かやり合ったが、それはピッチ上でのことだった。試合後には挨拶をした」
まだ短いながらも強く際立つプロキャリアの中で、エステバンにとっては27点目のゴールとなった。デビューを飾ったのは2023年ブラジル全国選手権の最終節。ブラジルサッカー界屈指の有望株と期待される彼はパルメイラスで83試合を戦い、カルロ・アンチェロッティによってブラジルA代表への招集も向けた。ゴールだけでなく通算15のアシストも残している。
パルメイラスのアベル・フェレイラ監督は試合後の会見で英国メディアからの質問に答え、チームを去る若きスターに賛辞を送った。
「マレスカとはもう話をした。彼は素晴らしい監督だ。『あなたが獲得するのは素晴らしい選手であり素晴らしい人間だ。まだ18歳だがとてつもない選手になっている。しっかり彼をケアして支えてあげてほしい』と伝えた」
「信じられないほどの選手だ。力強く、敏捷で、両足でシュートを打てる。だからこそチェルシーも彼を獲りにきたんだ」
マレスカにとって、新加入選手との初の邂逅は理想的な形だった。「我々が勝ったことも嬉しいし、エステバンがゴールを決めたことも嬉しい。完璧な夜だった」とコメントしている。