FIFAワールドカップは過去にも、世界の舞台で印象的な活躍を見せた数多くの選手たちがビッグクラブへの移籍を勝ち取るための飛躍の場となってきた。FIFAクラブワールドカップ2025も例外ではなく、アメリカで目を引いた今大会のスター選手の多くが大型移籍を実現させている。ここでは10人のスターに目を向けてみよう。
アル・アハリFCからコロンバス・クルーへ
26歳のパレスチナ人FWアブ・アリはアル・アハリFCでゴールを量産し、クラブワールドカップ前から注目の存在となっていた。世界の舞台でも爪痕を残し、“レッド・イーグルス”がポルトと4-4のドローを演じた白熱の一戦でハットトリックを記録。だがチームをノックアウトステージへ進めることはできなかった。
大会で訪れたアメリカの地はまもなく新たな落ち着き先となり、コロンバス・クルーが指定選手として彼を獲得。8月にニューイングランド・レボリューション戦(1-2)でデビューを飾った。
フルミネンセFCからウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズへ
コロンビアのアリアスはクラブワールドカップで大きく躍進したスター選手の一人。エネルギーあふれる戦いぶりを見せ、フルミネンセFCが準決勝まで勝ち進む上で不可欠な働きを残した。ボルシア・ドルトムント戦での躍動に続いて、蔚山HD戦では大会ベストゴール候補にもノミネートされる見事なフリーキックを叩き込む。さらに4-2の勝利を決定づけるケノのゴールにピンポイントクロスを供給した。
フルミネンセの敗退から約2週間後、アリアスはウルヴスの新加入選手として発表された。元チームメイトのアンドレとも共演することになる。
SLベンフィカからレアル・マドリードCFへ
元マンチェスター・ユナイテッドのサイドバックであるスペイン人アルバロは以前からレアル・マドリードCFの関心を引き付けていたが、クラブワールドカップの大会中はSLベンフィカに残った。大会では最初の2試合に先発出場。ベンフィカは最終的に王者となるチェルシーに敗れて16強で大会を終えた。
“白い巨人”への待望の移籍は大会終了から程なくして実現。シャビ・アロンソ新監督のもと、リーグ開幕から3試合すべてに90分間出場しており、マジョルカを破った試合ではゴールライン上での決定的なクリアでチームを救った。
FCバイエルン・ミュンヘンからアル・ナスルへ
FCバイエルン・ミュンヘンがオークランド・シティを粉砕した試合の開始6分で大会最初のゴールを挙げ、コマンはクラブワールドカップの歴史に名を残した。バイエルンが10-0の勝利を飾ることになるこの試合で彼はもう1ゴールを加え、1アシストも記録。続くCAボカ・ジュニアーズ戦でもハリー・ケインの得点をお膳立てしてバイエルンのノックアウトステージ進出をほぼ確定させた。最終的にバイエルンは準々決勝でパリ・サンジェルマンに敗れる結末となった。
大会後にコマンは10年間を過ごしたバイエルンを離れ、サウジアラビアのアル・ナスルに加入。クリスティアーノ・ロナウドやサディオ・マネのチームメイトとなった。
CFモンテレイからレアル・ベティスへ
デオッサはCFパチューカのクラブワールドカップ出場権獲得に中心的な役割を果たしたあと2015年初頭にCFモンテレイへ移籍し、本大会でも強く目を引く活躍を残した。インテル戦、CAリーベル・プレート戦でチームの引き分けに貢献し、浦和レッドダイヤモンズを4-0で粉砕した試合では35ヤードからの衝撃的な一撃で先制点を挙げた。
モンテレイが16強でボルシア・ドルトムントに敗れたあと、評価を高めたデオッサは欧州へ渡ってレアル・ベティスと契約。足首の負傷のためアンダルシアでのスタートは出遅れたが、アスレティック・クラブに敗れた先週末の試合でベティスデビューを飾った。
RBザルツブルクからアヤックスへ
RBザルツブルクは決して尽きることのないタレントを輩出し続けており、才能あふれるプレイメーカーのグローフも例外ではなかった。オーストリア・ブンデスリーガで戦った最後の55試合で37ゴールに関与した彼はクラブワールドカップでも好調を維持し、シンシナティでCFパチューカを破った試合でスーパーゴールを挙げた。
21歳のイスラエル代表スター選手をめぐる争奪戦を制して先月彼を獲得したのは、同じくタレント育成に定評のあるクラブ、アヤックス。新たなクラブでまだ90分間フル出場はないが、オランダの巨人がチームとして噛み合ってくればグローフもそこに欠かせない存在になると想像できる。
ボタフォゴからノッティンガム・フォレストへ
ボタフォゴで世界大会に向かう前からプレミアリーグへの移籍が噂されていたブラジル人フォワードだが、アメリカで見せたパフォーマンスもその期待に見合うものだった。シアトル・サウンダーズFCを見事撃破した試合ではヘディング弾を叩き込み、さらにパリ・サンジェルマンを破る決勝ゴールで大会を大きく盛り上げた。
ボタフォゴが16強でパルメイラスに敗れてすぐに、イゴール・ジェズスはノッティンガム・フォレストの新加入選手となることが発表された。シティ・グラウンドでは同じくボタフォゴのスター選手だったジャイール・クーニャとも再会している。
RBザルツブルクからフェネルバフチェへ
グローフと同じく、ネネもアメリカの地でザルツブルクのスター選手として戦い、その後新天地へと移っていった。高いスキルを持つウイングの彼はクラブワールドカップでザルツブルクの全3試合に出場し、巧みなドリブルや気迫のこもったプレーが印象的だった。
ザルツブルクでUEFAチャンピオンズリーグ予選3回戦進出を助けたあと、トルコの強豪フェネルバフチェへ移籍。新天地での初戦では、ゲンチレルビルリイを3-1で破った試合の先制ゴールに絡んだ。
パルメイラスからSLベンフィカへ
2024年6月から7月にかけて、リオスはコロンビア代表がコパ・アメリカ決勝進出を果たす戦いの中で活躍を見せていた。それから12カ月を経て、クラブワールドカップでもパルメイラスの中盤でスポットライトを浴びる。25歳のミッドフィルダーは恐るべきタックルの力を持つことで知られ、何度も相手ボールを奪い返す。だがフットサルで培った技術によりボールを持っても危険な存在となることができる。グループステージで力強い戦いを見せたあと、ボタフォゴ戦では決勝点をアシストし、チェルシーFCに1-2で敗れた準々決勝でもチームの1点をアシストした。
2024年には欧州のいくつかのクラブへの移籍が盛んに噂されながらも実現しなかったが、今年は同じくクラブワールドカップ出場チームであるSLベンフィカへの大型移籍を実現。“イーグルス”のエンジンルームですでに主軸として定着し、フェネルバフチェを破ったUEFAチャンピオンズリーグ予選プレーオフも含めてここまで8試合に出場している。
CRフラメンゴからローマへ
まだ21歳のウェズレイだが、CRフラメンゴでは100試合以上を戦い、比較的経験豊富な選手の一人としてアメリカへ向かった。クラブワールドカップでも評価は高まる一方であり、快速ウイングバックとしてチームの4試合中2試合に出場した。
ブラジル代表として2キャップも記録している期待のディフェンダーを手に入れることに成功したクラブはローマ。そして彼はすぐにインパクトをもたらす。セリエAデビューを飾ったボローニャ戦では相手の守備の混乱を突き、決勝点となるゴールを冷静に流し込んだ。