FIFAクラブワールドカップ第1回大会は、世界のサッカー界で台頭している最高の若手タレントたちのショーケースでもあった。大会前から大きな注目を集めていたスター選手もいれば、今大会を踏み台として世界の舞台で名を知られるようになった選手もいる。ゴールやアシスト、並外れた活躍や安定したパフォーマンスなどにより、若い選手たちが大会に爪痕を残すことができた。
決勝を終えたあと、パニーニ提供FIFA最優秀若手選手賞に選ばれたのはパリ・サンジェルマンのデジレ・ドゥエ。またバンク・オブ・アメリカ提供得点王にはレアル・マドリードのゴンサロ・ガルシアが輝いた。個人賞を受賞した2人を含めて、この1カ月間に特に目を引いた若手選手たちを振り返ってみよう。
レアル・マドリードCFがアメリカに到着して間もない頃だった。キリアン・エムバペが急性胃腸炎のため入院し、チームの練習にも参加できなくなってしまった。やや残念な1年となっていた2024/25シーズンを良い形で終えたいと望んでいた“白い巨人”にとって、スター選手の一人を欠くのは大きな痛手だった。
2009年から2014年まで選手としてプレーしていたクラブで指揮を執ることになったシャビ・アロンソ新監督は、アル・ヒラルとの大会初戦でゴンサロ・ガルシアの起用を選択。そこから彼はもう立ち止まることはなかった。
少年時代からゴールを量産し、レジェンドのラウールとも比較されていた下部組織育ちのゴンサロは、今大会が始まる前の時点ではトップチームで6試合(ラ・リーガ5試合、コパ・デル・レイ1試合)に出場して合計90分間もプレーしていなかった。アメリカではその得点力を存分に見せつけ、6試合で4ゴールを記録。アル・ヒラル、FCザルツブルク、ユヴェントスFC、ボルシア・ドルトムントからゴールを奪い、今大会でマドリーの主役の一人となった。
クラブワールドカップを通してパリ・サンジェルマンは手入れの行き届いた機械のようであり、何人かの中心選手が非常に若いことは忘れてしまいがちだった。特にデジレ・ドゥエは、パリの攻撃を先導するメイン指揮者の一人として台頭してきた。
決まり文句のように聞こえるとしても、PSGは全員で攻めて全員で守っている。スターティングイレブンだけではなく、メンバー全員が同じプレー哲学に基づいて動いており、したがって出場機会をめぐる争いは激しい。それでもドゥエはルイス・エンリケが真っ先にスタメン入りさせる選手の一人として定着した。決勝に至るまで全試合に先発して合計478分間プレーし、ヴィティーニャとアクラフ・ハキミに次いでパリで3番目に出場時間の長いフィールドプレイヤーとなった。フランス代表の彼は得点も記録し、PSGを決勝にまで導いた立役者の一人だった。
高い決定力を誇るストライカーとしてブラジルとサウジアラビアでよく知られているが、世界の舞台でも、2023年FIFA U-20ワールドカップを得点ランキング2位で終えて世界の注目を引き付けていた。SLベンフィカで過ごした短い時期を経て、アジアを代表するクラブのひとつであるアル・ヒラルへ移ってからも、AFCチャンピオンズリーグの重要な試合なども含めてハイペースにゴールを量産し続けてきた。
最後はフルミネンセFCに1-2で敗れたが、アル・ヒラルはアメリカで準々決勝まで進む印象的な戦いを見せた。グループステージではレアル・マドリードとも1-1でドロー。そして最大のパフォーマンスはラウンド16、イングランドの強豪マンチェスター・シティを延長戦の末に4-3で葬り去った一戦だ。マルコス・レオナルドはこの試合で、延長戦での決勝ゴールを含めた2ゴールを記録。大会を通して計4ゴールを挙げ、最多得点を残した選手の一人となった。
エステバンは大会開幕前に最も強く関心を集めていた選手の一人だった。メッシと比較され、チェルシーFCとの契約も交わしたブラジルの新たな若手スターを実際に見てみたいと多くのファンが待ち望んでいた。少年時代から過ごしていたチームに別れを告げる大会となるクラブワールドカップは、まさに運命的な結末を迎える。SEパルメイラスは準々決勝でチェルシーと激突することになった。
自らの現所属クラブと次の所属クラブが激突する楽しみな一戦で、エステバンは期待に応えてみせる。未来のチームメイトたちも手心を加えることはなく、他の選手と同じように試合開始から容赦なく彼を苦しめていた。過酷な戦いが繰り広げられたが、若きブラジル人は決して衝突を恐れることはなかった。マルク・ククレジャやエンソ・フェルナンデスと何度か激しいデュエルを演じつつ、足にボールが貼り付くかのようなプレーで何度も挑み続けた。
そして“メッシーニョ”は、2-1でブルーズの勝利に終わったこの試合でパルメイラスの唯一の得点を記録。ボックス内でボールを受けるとゴールラインに向けて強引に突き進み、スペースが尽きたかと思われたところで、ごく狭い角度から放たれたシュートがクロスバーを叩いてファーポスト側のネットに収まった。スタンフォード・ブリッジのファンは、来季からどのような選手を迎え入れるのかすでに知ることができた。
トレント・アレクサンダー=アーノルドと並んで、ディーン・ハイセンはレアル・マドリードがクラブワールドカップ前に守備陣に補強した選手の一人。イングランドのボーンマスから“白い巨人”に加入したスペイン代表はまだ若いが、到着した時点からディフェンスラインを率いる存在となることが約束されていた。シャビ・アロンソのプレースタイルに不可欠と考えられる守備時の落ち着きとパス能力を持ち、見事に役割を果たしてきた。
優れたパフォーマンスで信頼を得た若きディフェンダーは、マドリーが今大会で戦った6試合のうち5試合に先発。だが準々決勝のボルシア・ドルトムント戦ではレッドカードを受け1試合の出場停止となってしまった。PSGの爆発的な攻撃は、たとえハイセンが出場可能でも抑えきれなかった可能性が高いとしても、準決勝では彼の不在の影響が色濃く感じられた。
この長身センターバックがピッチ上にいれば試合がどう展開していたかは誰にもわからない。いずれにしても彼を欠いたマドリーは開始10分のうちに守備のミスから2ゴールを許して勝利の望みを失ってしまった。