ラ・リーガは残り4節。誰も予想しなかったクライマックスが待っていた。
今週末の第35節は、優勝争いを演じる上位4強が直接対決を戦う。まずは8日(日本時間23時15分キックオフ)、バルセロナとアトレティコ・マドリードによる3位と1位の天王山が行われ、翌9日(日本時間10日4時キックオフ)にレアル・マドリードがセビージャをホームに迎えるもう一つの天王山がある。
上位4チームの順位と勝ち点は、以下の通り。
ロナルド・クーマン監督が3バックをベースシステムに採用して以降、チームパフォーマンスが安定し始めたバルサは、第30節のマドリーとのエル・クラシコに敗れるまでラ・リーガで19戦負けなし。一気にアトレティコとの勝ち点差を詰めた。
対するアトレティコは独走の前半戦から一転、2月に入ってから調子を落とし、レバンテ(24節)、セビージャ(29節)、アスレティック・ビルバオ(32節)に敗れるなど直近15戦で7勝5分3敗だ。
ただし、好調に見えたバルサもパーフェクトではない。先週のミッドウィーク(4月29日)に行われた未消化分の33節グラナダ戦では勝てば単独首位に立てるところをホームでまさかの敗戦。レッドカードで退席処分となり、このアトレティコ戦もベンチ入りできないクーマン監督は「この敗戦のショックは大きい。失望している」と不甲斐ない負けに怒りを露わにした。
勝ち点差2の対決だけにバルサからすると勝利以外に意味を持たない試合だ。ではアトレティコは引き分けでOKかというと、マドリーがセビージャに勝てば勝ち点で並び、直接対決の成績で劣っているため首位を明け渡す形になる。欲しいのは勝利だ。
両チームの思惑からしても、序盤から激しい展開になることは間違いない。
ただし、最新情報によるとアトレティコのディエゴ・シメオネ監督は、前節エルチェ戦で活躍したMFジョフレイ・コンドグビアの先発起用を継続する模様で、その代わりに好調のFWアンヘル・コレアがベンチスタートとなる見込み。この一見「守備的」に映る人選が試合の序盤の展開にどう影響するか。
勝つしかないバルサは3バックのシステムで序盤から猛攻を仕掛けるだろう。前節バレンシア戦ではカウンターに苦しみながらも3-2で勝利。2ゴールを奪ったリオネル・メッシは今季28得点として、ゴールランキングを独走している。
両チームのキーマンを挙げれば、バルサは当然メッシ。アトレティコはMFマルコス・ジョレンテだ。劣勢の展開が予想されるアトレティコとしては、ジョレンテのスピードと運動量を生かした右サイドからのカウンター攻撃で得点を狙いたい。
今週のCL(チャンピオンズリーグ)準決勝でチェルシーに敗れたマドリーは、メンタルとフィジカル両面のコンディションが不安視される。残り4試合のラ・リーガに専念できるプラス面は当然あるが、そもそもベテランの主力たちの肉体的消耗は看過できないマックスレベルに達している。
例えば、チェルシーとの第2戦にぶっつけ本番で先発したセルヒオ・ラモスとフェルラン・メンディはこのセビージャ戦でも先発できるのか。ロンドンへの移動当日の早朝に陰性が出て、遠征メンバーになんとか帯同できたフェデリコ・バルベルデはどの程度体力が回復しているのか。
そして何より心配なのが今季フル稼働してきた中盤の3人だ。カゼミーロ、トニ・クロース、ルカ・モドリッチは疲労困憊の様子がうかがえ、チェルシー戦ではいずれも精彩を欠くパフォーマンスに終わった。
ジネディーヌ・ジダン監督の下、シーズン序盤から「ファイナル(決戦)」を戦い続けてきた今季のマドリーは、プランBもチームBも用意されていない。あるのはAのプランとチームのみ。無冠が許されない常勝クラブにとって、CL敗退のショックと疲れをどう克服するのか。再びジダン監督の手腕が試される。
対するセビージャは前節のビルバオ戦でまさかの黒星。優勝争いから大きく後退した。ただし、クラブの歴史と現有戦力からしてシーズン目標はCL出場権獲得であり、3強との予算規模の違いも加味すると4位は上出来の順位だ。優勝へのプレッシャーは皆無で、だからこそこの大一番では思い切ったプレーができる前提条件が整っている。
冬にアタランタから加入したFWパプ・ゴメスが、ここに来てチームにフィットし始めているのもプラス。唯一の不安要素はCBジュール・クンデのコンディションだが、出場が危ぶまれたビルバオ戦でもフル出場している。日曜開催となる今回のゲームには問題なく出場できるだろう。
キーマンはマドリーがカリム・ベンゼマ、セビージャがクンデ。両者は言うまでもなく、この試合でマッチアップするFWとDFだ。
ここまで勝ち点差が詰まり優勝争いが激化している以上、ラ・リーガの覇者は最終節まで決まらないだろう。しかし、この2つの直接対決がある今節が天下分け目のホルナーダ(節)となることは間違いない。
だからこそ、絶対に見逃してはいけない節であり、この2つのパルティダッソ(大一番)だけはリアルタイムで観ておくべきだ。いろいろな意味で歴史に残る2020-2021シーズンのラ・リーガ優勝争いの決定打となる「La hora de la verdad(真実の瞬間)」を見逃すな。
文・小澤一郎
1977年生まれ、京都府出身。サッカージャーナリスト。社会人経験を経て2004年にスペインに移住。バレンシア在住歴5年、スペインでは育成年代の指導者経験もあり。現在は、DAZNでラ・リーガ中継の解説も務める。(株)アレナトーレ所属。
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