チェルシーFCは、7月8日火曜日にニュージャージーのメットライフ・スタジアムで行われる第1回FIFAクラブワールドカップ2025準決勝でフルミネンセFCと対戦する。しかし、現在の“ブルーズ”のメンバーは、今回の大会の出場権獲得に繋がる結果を出したチームとはほとんど似ても似つかないものだ。
チェルシーは2020/21 UEFAチャンピオンズリーグ決勝でペップ・グアルディオラのマンチェスター・シティに1-0の勝利を飾り、この結果によりクラブワールドカップ出場権を手に入れた。欧州を制した2021年のチェルシーのメンバーのうち、現在もチームに残っているのはキャプテンのリース・ジェームズとベン・チルウェルの2人のみ。そしてエンツォ・マレスカの率いるクラブワールドカップメンバーに含まれているのは主将ジェームズただ一人だ。
マンチェスター・シティとの決勝に向け、チェルシーは不利が予想されていた。シティはすでにリーグカップのタイトルを勝ち取り、プレミアリーグでも直近4シーズンで3度目となるタイトル獲得に向かおうとしていた。欧州の舞台でも、グアルディオラがFCバルセロナを去って以来となるチャンピオンズリーグ優勝を果たす準備は整ったかに思えた。
一方のブルーズは力強くシーズンをスタートさせながらもクリスマス頃には失速。クラブのレジェンドであるフランク・ランパードが監督を解任されることとなった。ベテランと夏の高額補強選手らを組み合わせたメンバーは、大事な場面で団結した戦いを見せられずにいた。
トーマス・トゥヘルがやってきてクラブの運命を変えたのはその時だった。トゥヘルの現実主義がチェルシーを安定させ、チアゴ・シウバ、アントニオ・リュディガー、セサル・アスピリクエタの構成するバックラインに新たな命を吹き込んだ。リーグ順位を上げていったチェルシーは最終的に3位でフィニッシュ。だがトゥヘルが最大のインパクトをもたらしたのはチャンピオンズリーグだった。
決勝に向けた道のりの中で、ドイツ人指揮官の率いるチームはディエゴ・シメオネのアトレティコ・デ・マドリードを合計スコア3-0、FCポルトを合計スコア2-1、さらには無敵のレアル・マドリードCFまでも合計スコア3-1で撃破。だがそれでも、グアルディオラのシティを乗り越えるのは厳しい挑戦になると予想された。
10年近く前に勝ち取っていたトロフィーを再び手にする決意を固め、ブルーズはシティとの同国対決に臨む。新型コロナウイルスによる制限のため、ポルトでの試合は半分以上を空席とした会場で行われた。
試合は接戦となり、決定的なチャンスはわずか。だが前半42分、メイソン・マウントの美しいスルーパスを受けたカイ・ハフェルツがゴールへ抜け出す。飛び出したエデルソンに一旦は止められたが、跳ね返ったボールは再びハフェルツのもとへ。無人のネットに決めたゴールはこの試合唯一の得点となり、チェルシーが再び欧州チャンピオンに輝いた。
チェルシーをチャンピオンズリーグの栄冠に導いた男は、2022/23シーズン序盤の成績不振によりブルーズから解任された。トゥヘルはチェルシーにチャンピオンズリーグ、UEFAスーパーカップ、2021年FIFAインターコンチネンタルカップのタイトルを残し、FAカップ決勝に2回、EFALカップ決勝にも1回勝ち進んだ。
FCバイエルン・ミュンヘンで短期間を過ごしてブンデスリーガ優勝タイトルも獲得したあと、トゥヘルはイングランド代表監督として招聘された。FIFAワールドカップ26で指揮を執ることが見込まれる。チェルシーは現在エンツォ・マレスカが率いているが、トゥヘル解任からイタリア人監督の就任までの間にはグレアム・ポッター、ブルーノ・サルトル、ランパード、そして現アメリカ代表監督のマウリシオ・ポチェッティーノも監督を務めていた。
マレスカは引き継いだチームに変化を加え続けており、4シーズン前に欧州を制したチームとは様変わりしている。イタリア人指揮官のもとでブルーズは4バックに回帰し、GKロベルト・サンチェスの前を固める。エドゥアール・メンディは現在ではサウジ・プロリーグのアル・アハリでプレーしているが、サンチェスはマレスカのシステムにフィットする選手であることを証明している。
ベテランのチアゴ・シウバ、アントニオ・リュディガー、セサル・アスピリクエタはいずれも新天地へと去っていった。ブラジル人センターバックは現在フルミネンセのキャプテンを務めており、クラブワールドカップ決勝進出をかけて古巣と激突する。ほか2人はマドリードでプレーしている。
アスピリクエタがディエゴ・シメオネのアトレティで果たす役割は現在では小さくなっているが、リュディガーはレアル・マドリードでクラブワールドカップ制覇を目指している。彼らに代えて現在のチェルシーはイングランドのリーヴァイ・コルウィルとトレバー・チャロバー、フランスのブノワ・バディアシルとウェズレイ・フォファナらを交互に起用している。
ベン・チルウェルはキャプテンのリース・ジェームズとともにクラブに残っているが、ジェームズはここ数シーズン負傷に悩まされ、チルウェルもマレスカのもとではなかなかプレー時間を得られていない。UEFA EURO 2024優勝メンバーであるスペイン代表マルク・ククレジャがファーストチョイスの左サイドバックとなり、右はジェームズが出場不可能な際にはフランスのマロ・ギュストが代役を務める。
チャンピオンズリーグ優勝を飾った2020/21シーズンにチェルシーを数多くのゴールへと導いた守備的ミッドフィールダーのジョルジーニョは、現在CRフラメンゴに所属。ロンドンのライバルであるアーセナルを経て生まれ故郷の国へと戻った。チャンピオンズリーグ決勝でマン・オブ・ザ・マッチに輝いた唯一無二の存在エンゴロ・カンテは、サウジアラビアのアル・イテハドで今も走り回っている。
チェルシーは中盤センターを刷新するため2億ユーロ以上を費やした。エンソ・フェルナンデスとモイセス・カイセドがそれぞれSLベンフィカとブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンから引き抜かれ、以来ブルーズのピッチ中央で強力なコンビを形成している。チームの創造的なプレーの多くはフェルナンデスと、現在10番を着けるイングランド人コール・パーマーから生み出される。カイセドはかつてのカンテのポジションを務めている。
パーマーは、以前には地元出身のメイソン・マウントに任されていたのと似た役割を担っている。そのマウントは過去数シーズンをマンチェスター・ユナイテッドで過ごした。ティモ・ヴェルナーとカイ・ハフェルツのドイツコンビは、チャンピオンズリーグ優勝後に高い期待に応えきれず去っていった。チェルシーはレジェンドのディディエ・ドログバのような絶対的9番を探し続けており、リアム・デラップや、新たに獲得したばかりのジョアン・ペドロがその答えを提供してくれることを期待している。
ポルトの夢のような夜と比べれば、チェルシーのベンチの顔ぶれも一新された。クリスチャン・プリシッチ、オリヴィエ・ジルー、アンドレアス・クリステンセン、マテオ・コバチッチらに代わって、より若いロメオ・ラヴィア、マルク・ギウ、ニコラス・ジャクソン、トシン・アダラビオヨらがバックアップを務めている。
マレスカのチームはすでにタイトル獲得を経験。今季のUEFAカンファレンスリーグ優勝を飾った彼らは、“21年組”に続いてさらなる国際タイトルを手に入れることを見据えている。