パリ・サンジェルマンとチェルシーFCがFIFAクラブワールドカップ2025準決勝でそれぞれレアル・マドリードCFとフルミネンセFCを倒したとき、両クラブは決勝戦を戦う権利を手にしただけでなく、世界のトップ2クラブという栄誉ある地位も手に入れることができた。一方で、気がついていた者は多くはないが、フランスとイングランドの両者はひとつの特徴を共有する2チームでもあった。どちらも今大会屈指の若いメンバーを揃えたチームである。
最も若いメンバーで大会に臨んでいたのは平均22.7歳のFCザルツブルクだが、チェルシーとPSGもそれぞれ24.6歳と24.9歳で4番目と6番目に若いチームだった。ザルツブルクがグループステージ敗退に終わる一方で、エンツォ・マレスカとルイス・エンリケは若さが勝利への方程式となり得ることを証明し、決勝まで戦い抜いた。確かにクラブワールドカップはサッカー界の若きスターたちの大会だったと表現する理由は十分にある。だが一方で、すでにレジェンドとして名を馳せたベテラン選手たちも大会を通して力を見せつけた。
大舞台で戦い慣れた百戦錬磨のベテランたちは、過去1カ月間にアメリカのピッチで確かな足跡を残した。44歳9カ月で大会最年長選手だったフルミネンセのGKファビオは、チームが準決勝まで勝ち上がる快進撃に欠かせない存在だった。他にも今大会を語る上でセルヒオ・ラモス(39歳)、リオネル・メッシ(大会中に38歳の誕生日)、チアゴ・シウバ(40歳)、アンヘル・ディ・マリア(37歳)らに触れないわけにはいかないだろう。レジェンドたちは単なる思い出づくりのため大会に参加したわけではなく、真の実力を見せつけていた。
メッシはインテル・マイアミCFをラウンド16へ導き、最後はPSGによって0-4で粉砕された。フランス王者がグループステージでアトレティコ・デ・マドリードを粉砕し、のちに準決勝のレアル・マドリード戦でも再現したのと同じスコアである。グループステージではメッシは極上のフリーキックを沈め、FCポルトを2-1で破る歴史的勝利に決定的な貢献。38歳の誕生日を迎える5日前、6月19日のことだった。Concacafのチームが公式戦で欧州の相手を破った史上初の、そして現時点で唯一の勝利である。
2010 FIFAワールドカップ 南アフリカでスペイン代表として世界王者に輝いたセルヒオ・ラモスは、39歳にして健在ぶりを印象付け、CFモンテレイの最終ラインを堂々と率いていた。グループEの初戦ではFCインテル・ミラノに対して強烈なヘディング弾を叩き込み、大会を象徴するゴールのひとつとなった。メッシと同じくラモスもチームをラウンド16進出へ導いたが、モンテレイはボルシア・ドルトムントに敗れる結果となった。
37歳のディ・マリアは欧州での長きにわたるクラブキャリアを見事な形で終え、SLベンフィカの大会敗退後に少年時代の所属クラブであるロサリオ・セントラルへと戻った。アルゼンチンのウイングはCAボカ・ジュニアーズとチェルシーから各1点、オークランド・シティFCから2点をすべてPKで記録し、計4ゴールを挙げて有終の美を飾った。
フルミネンセはクラブワールドカップの最年長選手と2番目の年長選手を起用。PSG、チェルシー、ACミランで輝かしい欧州キャリアを過ごしたベテランセンターバックのチアゴ・シウバは、40歳9カ月にしてチームに落ち着きとリーダーシップをもたらしていた。その後方では44歳9カ月となっても衰えを知らないファビオがゴールを守る。2023年にフルミネンセでCONMEBOLリベルタドーレスのトロフィーも掲げたブラジルのレジェンドGKだ。
大会の年長選手トップ5にランクインした他の3人は、今大会がレアル・マドリードでの最後の戦いとなったルカ・モドリッチ(39歳9カ月)、CAリーベル・プレートのエンソ・ペレス(39歳4カ月)、そしてラモス(39歳3カ月)だった。
第1回クラブワールドカップの頂点を争ったのは2つの若いチームではあったが、サッカー界を代表するレジェンドたちがレジェンドと呼ばれる理由を見せつけた大会でもあったことは間違いない。