フランスの著名な詩人・評論家ポール・ヴァレリーはかつてこう書いたことがあった。「歴史とは、決して二度起こりはしないことの科学である」。その言葉に従えば、パリ・サンジェルマンが今季成し遂げようとしていることはまさに並外れた何かに他ならない。同じ機会が再び巡ってくる可能性は低いと理解し、この瞬間を掴もうとするのも当然だろう。
リーグアン、クープ・ドゥ・フランス、トロフェ・デ・シャンピオン、そしてUEFAチャンピオンズリーグでも悲願の優勝を飾り、今シーズンに獲得可能なトロフィーをすべて手に入れてきたPSG。次は世界チャンピオンへの戴冠を視野に捉えている。
すでに大きなことを成し遂げてきたPSGだが、クラブだけでなく世界的にも新たな高みに到達するチャンスとなる。FIFAクラブワールドカップのトロフィーを掲げる史上初のチームとなることができるのだ。
7月13日日曜日に行われるチェルシーFCとの決勝で、フランス王者はそのトロフィーに手をかけようとする。ロンドンのクラブとの決戦を前に、選手たちの頭の中にあるのはただひとつのことだった。
「自分たちの名前を歴史に残すチャンスがあるように、できる限り最高の準備をするつもりだ」。ブラジル人ディフェンダーのルーカス・ベラウドは記者たちにそう語った。「僕らにとってここまで進んできたのは前例のないことだった。いくつかのトロフィーを勝ち取り、この決勝にまでたどり着いたのは信じられないような経験だ。このクラブに長く残るような印象を生み出せるのは滅多にない独特なチャンスとなる」
5冠を達成したクラブはわずかしかなく、6冠ともなればなおさらだ。たとえば欧州では、ペップ・グアルディオラの率いる2009年のFCバルセロナがラ・リーガ、コパ・デル・レイ、スペイン・スーパーカップ、チャンピオンズリーグ、UEFAスーパーカップ、FIFAインターコンチネンタルカップの全タイトル制覇を成し遂げた。2020年にはドイツの強豪FCバイエルン・ミュンヘンもその偉業に迫り、決勝でPSGを破っての欧州クラブ大会制覇も含めて5冠を獲得した。
好調な戦いを続けてきたPSGは、その締めくくりとして5つ目のタイトルを加えることができるチャンスを迎えている。年末に行われるインターコンチネンタルカップで6冠目を加えることもできるかもしれない。このクラブで500試合近い出場を重ねてきた男は、決して飽くことなく新境地を拓き続けようとしている。
「今シーズン学んだのは、勝つことは素晴らしい気分だということだ」と話すのはマルキーニョス。ブラジル人センターバックとチームメイトたちは、世界大会が始まって以来これまでわずか1失点。グループステージでボタフォゴに0-1で敗れた試合の1点のみだ。
「僕らは勝ち続けたい。トップに居続けることがどれほど大変かはわかっている。このトロフィーに向けて突き進んでいるのは、どうしても自分たちの名前を歴史に残したいからだ。このチームには勝利へのハングリーさがある。勝利を味わってきて、どれほど甘美であるかわかっている。最高の形で終えたい」
ボタフォゴ相手につまずいたことを除けば、欧州王者はアメリカでの大会を大いに持ち上げてきた。これまで戦った6試合のうち3試合は、アトレティコ・デ・マドリード、リオネル・メッシのインテル・マイアミCF、そして前欧州王者のレアル・マドリードCFに対して4-0というスコアで大勝。「無敵」とも評されるほど称賛を集める彼らのパフォーマンスは、間違いなく新たなファンの獲得にも繋がっている。
「素晴らしいことだ。僕らがピッチ上で自分たちの仕事をできていて、観てくれるファンに何か楽しいものを与えられているということだ。自分たちのサッカーで、誰もがPSGのことを大好きになるようにするのが僕らの目標のひとつだ」と、際立った活躍を見せている選手の一人であるデジレ・ドゥエは語った。
「我々のプレーを見て楽しんでくれているというなら、それは最高の褒め言葉だ」と、ルイス・エンリケ監督も言う。「このチームに揃っている選手たちの力により、我々のサポーターだけでなくすべてのスポーツファンを楽しませることができるような、魅力的なプレースタイルを提供できる。それができれば嬉しく思う」
さらにチェルシー戦での結果も彼のチームが望むものになったとすれば、指揮官はそれ以上に嬉しいことだろう。「この歴史的なシーズンを最高の形で終えたい」とスペイン人監督は締めくくった。
完璧なエンディングを迎えたとしても、それも新たな物語の始まりに過ぎないかもしれない。PSGがヴァレリーの理論を覆し、今季のような偉業を何度も何度も繰り返すことがないと言い切れるだろうか?