エラーコード %{errorCode}

ロベルト・マルティネス監督がここまでのクラブW杯の印象を語る

FIFA
  • ロベルト・マルティネスは、クラブワールドカップにおけるFIFAの技術研究グループの一員である
  • ポルトガル代表監督は、UEFAネーションズリーグ優勝から数日後にアメリカに到着
  • マルティネスはFIFAに対し、いくつかのタイトル争いの候補チームについて語り、アメリカでの驚きの点についても言及した

6月8日、FIFAクラブワールドカップの開幕を目前に控えたその日、ロベルト・マルティネスはまさに感情のジェットコースターを駆け抜けていた。

スペイン相手に2度のビハインドを跳ね返し、PK戦の末に勝利を収めたポルトガル代表。UEFAネーションズリーグのタイトルを手にした直後、マルティネス監督は歓喜と同時に、極度の疲労感をにじませていた。

待望のタイトル獲得。代表の次戦は9月までない。このタイミングなら、しばしの休暇を取り、家族と過ごし、美しい風景や冷たい祝杯に身を委ねる──誰もがそう予想したに違いない。むしろ、それが当然だった。

だが、スペイン人指揮官は違った。

優勝から間もなく、彼は大西洋を越えてアメリカ行きのフライトに飛び乗り、月間63試合にも及ぶFIFAクラブワールドカップの公式任務に就いたのだった。

transform-4a36c75d-03c9-4433-be4c-9005beeff4af--Roberto-Martinez-Manager-of-Portugal-poses-for-a-photo-with-the-UEFA-Nations-League-trophy-during-the-official-UEFA-Nations-League-2025-Winners-shoot-af

ネーションズリーグでの激闘を終えたばかりの男にとって、FIFAクラブワールドカップのテクニカル・スタディ・グループ(TSG)に加わるという選択は、一見意外にも思える。だがロベルト・マルティネスにとって、この役割は単なる“分析任務”ではなかった。

「これはスカウティングの一環でもあり、同時にサッカーへの純粋な情熱からくるものなんです」と、マルティネスはFIFA公式インタビューで語る。

「ポルトガル代表としての次の目標は、当然ワールドカップ予選を勝ち抜くことです。そして、アメリカが共催する次回大会を見据えたとき、この大会に現地で関わることは非常に貴重な機会になると思いました」

それだけではない。

「純粋に、サッカーを観るのが大好きなんです。しかもリラックスして、ニュートラルな立場で分析できる。2010年の南アフリカ・ワールドカップからこの仕事を始めて以来、ずっと大会に“現場で関わる”ことにこだわってきました。遠くから結果だけを追うのとは、まったく違うんですよ。現地で60試合以上を観る経験は、常に自分を刺激し、学び続ける最高の手段だと思っています」

そんな“ピッチサイドの視点”が、今回のクラブワールドカップでもマルティネスに独自の洞察をもたらしている。今回のFIFAの独占インタビューでは、その見解の一端が明かされた。


FIFA:ロベルト、このクラブワールドカップをここまで見て、どのような印象を持っていますか?

ロベルト・マルティネス:とても興味深いですね。私は常に、自分の代表チームでのワールドカップ経験と照らし合わせながら見ているのですが、今大会にもワールドカップで見られるようなダイナミズムがあります。ただ、同時にまったく異なる側面もたくさんあります。

全体として見ると、この大会には主に3つのタイプのチームが参加していると感じています。まず1つ目は、シーズンの真っ只中にあり、試合勘やコンディションが非常に高い状態で来ているチーム。特にブラジルのクラブがそうですね。

2つ目は、プレシーズン中のチーム。これは主にヨーロッパのクラブですが、そうしたチームでは初戦と3戦目で明らかな違いが見られました。試合を重ねるごとにパフォーマンスが上がっていくのが特徴です。

そして3つ目のグループは、新監督のもとで、初戦までにトレーニングがわずか4回ほどしかできなかったようなチームたち。このカテゴリーのチームは、ワールドカップでの代表チームと非常に似た状況に置かれています。

なので、ここまで本当に興味深く観ていますし、素晴らしい試合が多かった。そして、おそらくこれからが一番面白くなるフェーズじゃないかと思っています。

大会前にFIFAトレーニングセンターの取材で期待を語っていただきましたが、実際に大会が始まってみて、期待通りでしたか?それとも驚いた点がありましたか?

最初に驚いたのは、先ほど話したチームの分類による違いが、思っていた以上にはっきりと現れたことですね。つまり、どのような準備状況で大会に臨んでいるかによって、試合の入り方やパフォーマンスに明確な差が出ていた。ただ、今では各チームの立ち位置や状態がより明確になってきていると思います。

一番予想外だったのは、試合ごとのスタメンや交代策の違いですね。大会前は、そこまで差が出るとは思っていませんでした。

例えば、マンチェスター・シティは初戦の後に先発メンバーを11人全員入れ替えました。一方でアル・ヒラルは、最初の3試合でまったく同じ先発メンバーで臨んでいます。

この両極端の間には、さまざまなチームが存在しています。大きな選手層を持ち、誰が出ても戦えるチーム。試合ごとに大胆にローテーションを行うチーム。逆に、安定したスタメンを重視しながらも、試合終盤に影響を与えられるベンチ要員が5人いるようなチーム。そして、選手層の問題から交代で試合の流れを変える余地が少ないチームもいます。

この交代策の幅や選手層の厚さが、果たして大会の最終結果にどれだけ影響するのか──その点は今後非常に興味深く見ていきたいところです。

いくつかのチームは新監督を迎えて今大会に臨んでいますが、その中で興味深い取り組みは見られましたか?

間違いなく、面白い動きが見られています。まず、アル・アハリには非常に感銘を受けました。新監督が非常に短い準備期間の中で、チームに明確なアイデンティティを与え、それが試合を通じてしっかりと表現されていた。これは素晴らしいことです。

また、マメロディ・サンダウンズにも大きな印象を受けました。どんな相手と対戦しても、自信を持って自分たちのスタイルを貫いていました。結果としては、その内容にふさわしい成果が得られなかったかもしれませんが、彼らの姿勢は称賛に値します。

そして、レアル・マドリードではシャビ・アロンソが非常に興味深い存在です。彼はクラブの内情をよく理解しており、チームの現状を把握したうえで、徐々に変化を加えている印象です。急激に全てを変えるのではなく、選手の特性を見極めながら、段階的に進化させている。

たとえば、3試合目ではじめて、彼がレヴァークーゼン時代に用いていた[3-4-3]のシステムが採用されました。これは多くのマドリードの選手にとって初めての布陣だったにもかかわらず、見事にフィットしていたと思います。

シャビ・アロンソ監督のアプローチは、柔軟性とスピード感のバランスが非常にうまく取れていて、「チームを早く作り上げたい」という意志を持ちながらも、そのプロセスに対する敬意も忘れていない。とても興味深いですし、彼のレアル・マドリードでの旅路がどのように展開していくのか、これからの数試合が多くのことを教えてくれるはずです。

あなたは大規模なワールドカップを経験し、何週間にもわたって選手たちが一緒に過ごす中で、ピッチ外でチームをマネジメントする難しさもよくご存知です。その難しさは、クラブの監督にとっても同じだと思いますか?

10年前だったら、確かにこれはクラブにとって大きな衝撃だったと思います。でも今は、少なくともビッグクラブにとってはもうそれほど驚きではありません。というのも、最近ではプレシーズンにアジアやアメリカへ長期遠征に出ることが多く、自然とチーム全員が長い時間を共に過ごすようになっているからです。大会中に周囲を見渡すと、ワールドカップを選手として経験している監督が多く、そういった人たちは選手の「オフの時間」のマネジメントを非常にうまくやっているのが見て取れます。

クラブ監督として重要なのは、いかにして選手たちに“日常”を取り戻させ、切り替えの時間を与えるか。そのバランスを取ることが本当に大事だと思います。

その点でとても興味深いのは、選手たち自身がこの経験を楽しんでいること、そして互いに過ごす時間をポジティブに受け止めていることです。中には、この大会を最後にチームを離れる選手もいて、そういう選手たちにとってはキャリアを締めくくる特別な機会となっています。一方で、新たな顔ぶれが加わっているチームもあり、そこではすべてが新しく、選手たちはお互いに印象を残そうとしています。この“チームのサイクル”の違いもまた、大会を通して見えてくる魅力の一つですね。

transform-87eba0b8-8275-42e6-8246-e80a74a74841-SL-Benfica-v-FC-Bayern-Munchen-Group-C-FIFA-Club-World-Cup-2025

先ほど触れられた“新しい選手たち”についてですが、この大会が彼らのチームへの適応を加速させていると感じますか?

まさにその通りです。新加入の選手がチームに加わるとき、技術面・戦術面・フィジカル面での評価が移籍の理由になりますよね。でも本当に重要なのは、そういった要素に加えて、「新しいクラブでの期待をどう受け止めるか」、「新しいチームメイトとの関係をどう築くか」、「実際の試合でどうパフォーマンスを出すか」。それらの適応力なんです。

この大会のような国際的な舞台でいきなりプレーすることで、そうした適応のプロセスが一気に早まると思います。

例えば、レアル・マドリードのディーン・ハイセンや、バイエルン・ミュンヘンのヨナタン・ターのように、加入早々にクラブワールドカップでプレーしている選手たちは、すでに“新チームでの立ち位置”を大きく前進させていますよね。こうした選手たちはまさに、実戦を通じてチーム内での存在感を築きつつあると言えます。

PSGはチャンピオンズリーグ決勝での圧巻の勝利を経て、この大会に非常に良い流れで臨んできました。ルイス・エンリケ体制での彼らの成長について、どう見ていますか?

PSGは、まさに“お手本”のようなチームだと思います。チャンピオンズリーグ決勝でインテル相手にあれほどのスコアが出たのは、理由があります。それは、今シーズンを通して彼らがどれだけ成長してきたかに尽きます。国内タイトルをすべて手にし、チームとしてのクオリティを最大限に生かす方法を見つけたんです。

特に印象的なのは、中盤の選手を非常に流動的に使い、サイドではスピードを生かし、1対1の局面では観る者を魅了する個人の力がある点。そして、素早い守備、前からのプレッシング、ボール奪取の速さ。そうした徹底された戦術が、多くのチャンスを生み出しています。

個人的にも彼らのことはよく知っています。ポルトガル代表の選手が4人いますからね。そして、その選手たち自身にも大きな成長が見られました。

シーズン中には、チャンピオンズリーグのグループステージでは難しい時期もありましたが、そこを乗り越えてからの彼らは、まさに“別次元”のレベルに達していたと思います。自信と信念に満ちた、止めることができないようなチームへと変貌しましたね。

ルイス・エンリケ監督をはじめ、今大会にはあなたと似た視点でサッカーを捉えている監督もいるように感じますが、共感する部分はありますか?

それは自然なことだと思います。監督という職業は時に孤独ですが、それぞれの監督が異なるバックグラウンドや経験を持っていて、そこから生まれる考え方が選手の使い方にも違いを生み出します。

でも、結局たどり着く本質は同じです。監督の役割とは、選手がベストな状態でプレーできるようにすること、選手自身が成長できる環境を作ること、そして何よりピッチの上でサッカーを“楽しめる”ように導くことです。

この大会でも、それを実現する方法は監督ごとにさまざまだというのが見えてきました。でも私の感覚では、これから迎える準々決勝や準決勝では、あなたが挙げたようなタイプの監督たちが、試合を支配していくのではないかと思っています。彼らが描くビジョンが、ここからのベストゲームを生み出す鍵になるでしょうね。

ヨーロッパ以外のチームについて、今大会で特に楽しめた点や印象に残っている“違い”はありますか?

はい、彼らならではの特性や、それぞれの大陸連盟(コンフェデレーション)に根差した特徴を楽しんでいます。

たとえば、CONMEBOL(南米)のチームにおけるゴールキーパーの平均年齢は35歳以上なんです。これは文化的な要素であり、「GKは経験豊富で、安定感のある選手が味方を支えるべきだ」という信念があるからでしょう。

それと対照的なのが、一部のヨーロッパのチーム。たとえばザルツブルクでは、18歳のGKが守っている。こうした差は非常に興味深いです。

また、ブラジルのチームも印象的でした。パルメイラスとボタフォゴが対戦した試合では、どちらも“フラットな4バック+ダブルボランチ”という守備的で構造化された布陣を採用していて、非常に組織的かつ堅実な守備が見られました。このようなアプローチは、ヨーロッパのチームではあまり見られないものです。

戦術の多様性は非常に面白くて、このクラブワールドカップの魅力そのものだと思います。大会を通して、チーム同士や監督同士が互いに刺激を与え合う。異なる哲学や文化を共有しながら、それぞれが違うやり方で“勝負する”。この「多様性こそが、この大会を豊かにしている要素」だと強く感じます。


FIFAクラブワールドカップ2025をDAZNでライブで無料視聴

FIFAクラブワールドカップ2025のチケット購入はこちら