チェルシーFCのファンが今ほど新たなシーズンを楽しみに待ちわびているのは、ジョゼ・モウリーニョがキングス・ロードを闊歩し、「スペシャル・ワン」を自称した21年前以来のことだ。
今月行われたFIFAクラブワールドカップ2025決勝で、現世代最高のタレント軍団と評されたパリ・サンジェルマンに3-0の衝撃的勝利を飾ったチェルシー。イングランド・プレミアリーグとUEFAチャンピオンズリーグでの成功を狙いにいく新シーズンに向けて、エンツォ・マレスカのチームに対するファンの期待は際限ないほど高まっている。
6月に大会がスタートした時点では、チェルシーは優勝候補の一角に挙げられるチームではなかった。
イングランド・プレミアリーグでは期待の持てるスタートを切りながらも、クリスマス頃にかけて調子を落としたブルーズは5試合連続で白星のない時期を過ごし、驚異的なペースで首位を走るリヴァプールとタイトルを争う望みは絶たれてしまった。
それでもメンバーは十分に揃っていた。チェルシーは良い形でアメリカへ乗り込むことになる。
国内のシーズンを上り調子で終え、リーグ戦のラスト6試合で5勝。最終日にはノッティンガム・フォレストに1-0の勝利を収め、3年ぶりにチャンピオンズリーグ出場権を確保することができた。
さらにUEFAヨーロッパカンファレンスリーグのタイトルも獲得。ポーランドのヴロツワフで行われた決勝ではレアル・ベティスに4-1で快勝し、二度のUEFAチャンピオンズリーグ優勝や二度のUEFAヨーロッパリーグ優勝などを含む豊富な欧州トロフィーのコレクションに新たなひとつを加えることができた。
アメリカでの戦いは安定しない船出となり、ロサンゼルス・フットボール・クラブ(LAFC)を撃破したものの、第2戦ではCRフラメンゴに敗れた。
そこからチェルシーはギアを上げ、エスペランス・ドゥ・チュニス、SLベンフィカ、パルメイラス、そして準決勝ではフルミネンセFCを破って決勝にまで勝ち進む。最終決戦の相手はあらゆるタイトルを獲得する圧倒的な戦いを見せてきたPSG。
ルイス・エンリケのチームはUEFAチャンピオンズリーグ決勝でFCインテル・ミラノを5-0と一方的に粉砕する圧勝を飾って世界からの注目を集めていた。クラブワールドカップでも準決勝でレアル・マドリードCFを4-0と一蹴し、点差はさらに広がっていてもおかしくなかった。どう見ても止めようがないかのようだった。
しかし、PSGをチャンピオンとして称える言葉を準備していた評論家たちは、マレスカの戦術的天才性を考慮に入れていなかった。イタリア人指揮官にはプランがあった。
「最初の10分で試合に勝つことができた。それで流れが決まった」とマレスカは言う。その通りだった。
ハイプレスのアグレッシブな戦い方を選択することで、普段であれば魅力的なパリのサッカーは完全にペースを乱され振り回された。いつもなら相手に襲いかかる両サイドバックは、それまで抑えようのなかった前線にボールを供給できない。PSGは驚くほど何度もミスを誘われ、ハーフタイムを迎えた時点で勝負はほぼ決していた。
見事な活躍を見せたコール・パーマーの2得点と、大会中に補強したジョアン・ペドロによる絶品の3点目により、もはや最終結果に疑いの余地はなかった。「立ち上がりから我々にとっては難しかった。私はチェルシーは良いチームだと言っていたが、彼らはその通りだと示した」とルイス・エンリケは語った。
全公式戦を通してラスト16試合で14勝を挙げてシーズンを終えたチェルシーは、新たなシーズンに向けて自信に満ちあふれている。
2017年には12年間で5度目となるイングランド王者に輝いたブルーズだが、以後はタイトルがない。来季は少なくとも王者リヴァプールとの差を縮めることが優先事項となる。昨季はアンフィールドのチームに15ポイントの差をつけられていた。同じくタイトルを狙うマンチェスター・シティやアーセナルとの差も埋めなければならない。
メンバーの規模について一部から批判はあるとしても、夏の補強が示すように、マレスカはいまやイングランド屈指の若くハングリーなチームを揃えることができた。
夏の移籍市場ではこれまで8人の選手が加入。マイク・ペンダース(19)、ダリオ・エスーゴ(20)、リアム・デラップ(22)、ママドゥ・サール(19)、ケンドリー・パエス(18)、ジョアン・ペドロ(23)、ジェイミー・ギッテンス(20)、エステバン(18)を獲得している。
若い新戦力はリース・ジェームズ、モイセス・カイセド、エンソ・フェルナンデス、マルク・ククレジャ、マロ・ギュスト、そしてadidasゴールデンボールに輝いたチームの中心パーマーらを補完する形となる。
ペドロとデラップの2人合わせて昨季プレミアリーグで22ゴールを挙げていることを考えれば、火力は問題にならないだろう。
昨シーズンを通してファーストチョイスではなかったゴールキーパーのロベルト・サンチェスも生まれ変わったようであり、決勝で際立った活躍を見せてFIFAクラブワールドカップゴールデングローブ賞に輝いた。
マレスカは試合を終えたあと、PSG戦の勝利はさらなる成功へのジャンプ台だと考えていることを明確に示した。「チャンピオンズリーグと同じくらい重要なものになると思う。(チャンピオンズリーグ)優勝と同じくらい価値があると思っている」
プレミアリーグ制覇に向けた挑戦は、8月17日のクリスタル・パレス戦でスタート。チェルシーは国内のタイトルレースとUEFAチャンピオンズリーグの両方に挑戦できるとDFリーヴァイ・コルウィルは信じている。
「この大会の最初に優勝が目標だと言ったが、おかしなことを言っていると思われた。だから今も、プレミアリーグとチャンピオンズリーグについて同じことを言おうじゃないか」
「クラブワールドカップはこれからチャンピオンズリーグより大きなものになっていくと思う。僕らはその大会で優勝した最初のチームだ。力強いメッセージになる勝利だった。これから僕らがトロフィーを勝ち取り続けていけば、誰もが僕らのチームを好きになってくれるだろう」
「準備はできている。まずは次のシーズンからだ」
ブルーズの主将リース・ジェームズも声を揃えた。「大きな勝利宣言だ。クラブがこれほど前進してきたことを嬉しく思っている。来季はプレミアリーグで勝負し、タイトルを勝ち取り、チャンピオンズリーグでも勝負して勝ち進んでいけるだろう」