ベリンガム一家のサッカーにおける軌跡は、ブンデスリーガのボルシア・ドルトムントと切っても切り離せない。ヴェストファーレンのビッグクラブがジュードを迎え入れたのは2020年、17歳という若さでバーミンガム・シティからの移籍だった。世界的スター選手となり、イングランド代表にも定着した彼は、2023/24シーズン前に欧州の巨人レアル・マドリードCFへと移っていった。
一方で弟のジョーブはその頃、兄のバーミンガム時代と同じくイングランド・チャンピオンシップを舞台とし、サンダーランドで頭角を現しつつあった。ジョーブが“ブラック・キャッツ”で見せたパフォーマンスはドルトムントの関心を引き付け、ノルトラインのクラブは今年6月10日に彼とサインを交わす。FIFAクラブワールドカップでもメンバーに加えることを見据えての補強だった。
ジュードのレアル・マドリードとジョーブのボルシア・ドルトムントは、7月5日土曜日にニューヨーク・ニュージャージーのメットライフ・スタジアムで激突。非常に見応えある準々決勝となりそうだ。しかし、兄弟の直接対決が実現することはない。弟ジョーブはCFモンテレイに勝利したラウンド16の試合で二度目の警告を受けてしまい、“白い巨人”と戦うチームメイトたちを見守りながら1試合の出場停止処分を消化しなければならない。
ジョーブとの対決はなくとも、ジュードにとっては現在のスター選手となった彼を形作ったクラブとの再会であることに変わりはない。当時、世界で最も将来有望な選手の一人と評されていた彼をめぐって欧州のいくつかのエリートクラブが契約を試みたが、彼と家族は若手育成プログラムに定評のあるドルトムントを選んだ。
ベリンガムは2020/21シーズンに向けてジグナル・イドゥナ・パルクに到着し、そこからの3年間で世界屈指の司令塔へと成長を遂げた。DFBポカールでは二度の優勝を飾り、ブンデスリーガでも2位が2回。レアル・マドリードへと移るまでに、“ブラック・アンド・イエロー”在籍期間を通して132試合に出場して24ゴールを挙げた。
16強のモンテレイ戦でニコ・コヴァッチのチームのスター選手の一人となったスイス人GKグレゴール・コベルは、ジュードが在籍していた頃のチームメイトでもあった。現在のメンバーの中でジュードと共演したのは彼だけではない。ディフェンダーのユリアン・リエルソンとニクラス・ジューレ、中盤のユリアン・ブラント、フェリックス・ヌメチャ、ジョヴァンニ・レイナ、前線のカリム・アデイェミも若きダイナモとともにプレーしていた。
「彼とまた会えるのは嬉しいことだ。ドルトムントで素晴らしい2年間を一緒に過ごした。とてもいいヤツで、素晴らしい家族もいる。両親も知っているし、今は弟も知っている。2人ともすごく強いメンタリティを持って完全に集中しているが、人間的にも家族としても素晴らしい」とコベルはFIFAに語った。
ジュードがマドリーのユニフォームを着てドルトムントと戦うのは今回が三度目であり、両者の物語にまた新たな一章が書き加えられることとなる。スペインの首都にやってきて1年目には、ウェンブリーで行われたUEFAチャンピオンズリーグ決勝で古巣と激突。カルロ・アンチェロッティのチームがダニ・カルバハルとヴィニシウス・ジュニオールの得点により1996/97シーズンの王者に快勝を飾った。ジュードは決勝の先発に名を連ねて85分間プレーし、大会の最優秀若手選手賞に選ばれた。
それから数カ月後、両チームは2024/25シーズンより大会方式が変更されたチャンピオンズリーグのリーグフェーズでも再び対戦することになった。アンチェロッティはこの試合でもジュードを先発に起用。ハーフタイムの時点ではドニエル・マレンとジェイミー・ギッテンスのゴールでドルトムントがリードを奪っていたが、ベルナベウのクラブは反撃に転じて5-2の勝利。ハットトリックを達成したヴィニシウスの圧倒的活躍に負う部分が大きかった。
マドリーの指揮を引き継いだシャビ・アロンソ新監督はジュードの役割に手を加え、ボックス・トゥ・ボックスのミッドフィールダーから強力なクリエイターへとコンバートしている。一方のジョーブはアメリカでの準々決勝の対決に参加できないとしても、ドルトムントのファンは彼が新たな環境に馴染み、カリム・アデイェミおよびセール・ギラシと息の合ったプレーでコヴァッチの前線トリオを担う姿を見て喜んでいることだろう。
ジョーブのユニフォームの背中には、背番号77の上に一般的な姓ではなくファーストネームが入れられている。加入決定後に語ったところによれば、彼は兄の在籍時にドルトムントを訪れ、その場所が「頭から離れなくなった」という。さらに19歳の彼は、「誰かの後に続くため来たわけじゃない」とも語る。年下のベリンガムは、自らの爪痕を残して自らの物語を書き上げる決意を固めている。