ラ・リーガのタイトル争いを左右するエル・クラシコになると誰が予想したことだろう。
年明け以降のアトレティコ・マドリードの失速も手伝って、首位アトレティコとの勝ち点差は2位バルセロナが1、3位レアル・マドリードが3。伝統の一戦は、今季の優勝争いに直接的な影響を与える大一番となる。
両チームの状況も今季序盤からの不安定な戦いと結果からは打って変わって良くなっている。
マドリーはレバンテに1-2で敗れた1月後半の21節以降、12試合負けなし。冬の移籍市場でルカ・ヨビッチ(→フランクフルト)、マルティン・ウーデゴール(→アーセナル)をローンで放出したこともあり、例年以上に選手層の薄くなったうえ、シーズンを通して主力に負傷離脱者が相次ぐ中で結果を残している。
クラシコまで1週間を切ったタイミングで、ダニエル・カルバハル、エデン・アザールが全体練習に復帰したものの、大一番での先発はおろか戦力としての目処は立っていない。決まっているのは、怪我のセルヒオ・ラモスとコロナウイルス陽性反応の出たラファエル・ヴァランの欠場だ。
ただし、代えの利かないティトゥラリッシモ(絶対的レギュラー)のパフォーマンスは安定感抜群で、特にカゼミーロ、トニ・クロース、ルカ・モドリッチはラ・リーガのみならず欧州全体を見渡しても、いま最高レベルの中盤を構成している。

一方のバルセロナもパリ・サンジェルマンに1-4で敗れたチャンピオンズリーグ(CL)のラウンド16第1戦以降、公式戦は9戦負けなし。ラ・リーガの戦いに限定すれば、ここ19戦無敗となっている。
今季は何と言ってもシーズン開幕のリオネル・メッシ退団騒動に揺れ、10月終わりにはジョゼップ・マリア・バルトメウ前会長が辞任。3月の会長選挙までトップ不在の無政府状況が長く続き、チーム周辺には常にネガティブな話題やニュースがつきまとってきた。
開幕ダッシュを支えたアンス・ファティ、フィリペ・コウチーニョらの長期離脱も重なり、昨季同様無冠のシーズンとなりそうな予感が漂う中、ロナルド・クーマン監督が導入した3バックの新システムとペドリを筆頭とする若手の台頭によって、年明け以降は一気に試合内容が改善。そこに結果もついてきた。
ここ数年のバルサ最大の課題は守備免除されたメッシを抱えながらの守備構築にあったが、3-5-2か3-4-2-1の3バックシステムを用いることで全体的な選手の配置と3ラインの設定が高くなり、エースがハイプレスに加わらずとも前線でのプレッシングが実行できるようになった。
最終ライン背後にスペースが空きやすくなったものの、ジェラール・ピケが故障離脱する中でBチーム上がりのオスカル・ミンゲーサとロナルド・アラウーホという若手がスピードとカバーエリアの広さを武器に急成長して3バックをメリットに変えている。
3バックについてはマドリーも2月のヘタフェ戦から採用しはじめ、ここ最近ではベースシステムとなってきている。しかし、直近のCLリヴァプール戦では4バックを用いて快勝しているだけに、今回のエル・クラシコも現時点では4バックでのスタートが予想される。

両チームの好調の立役者は1人でカウンターを成立させられるヴィニシウス(マドリー)とウスマン・デンベレ(バルセロナ)だ。
どちらも3バックシステムのFWで起用されることで再びその才能を開花させた感があり、間違いなくこの試合でもキーマンとなる。展開としてはマドリーがあえてバルセロナにボールを持たせ、自陣に引き込んでからヴィニシウスのスピードとクロースの高精度のロングパスを活用したカウンターを狙っていく形になるはず。
バルセロナとしてはマドリーにスペースを埋められた状態で、パス循環からどれだけ上手くスペースを作り出せるかが鍵になる。その意味でも直近の試合で3バックの中央CBを務めてきたフレンキー・デ・ヨングが本来の中盤に配置される可能性は高い。
もちろん、攻撃の中心はメッシであり、S・ラモスが持つエル・クラシコ最多出場記録(45回)に並ぶエースがどういうプレーを見せるのかにも注目したい。
世界中が固唾を呑んで見守るエル・クラシコは今回も無観客開催となるが、両チームが最高に近い状態となり、ラ・リーガのタイトル争いが佳境を迎える今だからこそ、前半戦以上に激しく質の高い最高の試合になるだろう。
サッカーの歴史に新たな1ページを刻むことになる、エル・クラシコを絶対に見逃すことはできない。
文・小澤一郎
1977年生まれ、京都府出身。サッカージャーナリスト。社会人経験を経て2004年にスペインに移住。バレンシア在住歴5年、スペインでは育成年代の指導者経験もあり。現在は、DAZNでラ・リーガ中継の解説も務める。(株)アレナトーレ所属。
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