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【コラム】パトリック・ヴィエラ新監督率いるクリスタルパレスはこう変わる!!| 粕谷秀樹のNOT忖度 | プレミアリーグ

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2020-06-15-patrick vieira-nice-ligue 1 (C)Getty Images

「新しい時代の扉が開かれようとしている」

クリスタルパレスのスティーヴ・パリッシュ会長が、力強く語っていた。

7月4日、彼らは新監督にパトリック・ヴィエラを招聘した。現役時代はアーセナルの “闘うキャプテン” として知られ、怨敵マンチェスター・ユナイテッドのロイ・キーンとは、試合開始前から終了後まで、熱いライバル意識をぶつけ合っている。

2010-11シーズン終了後、マンチェスター・シティで現役を退いた後は同クラブのアカデミーやリザーブチームのコーチ、監督を務め、その後ニューヨーク・シティFC、ニースの監督を歴任。18年7月から2年5ヶ月ほど在籍したニースでは戦力不足を指摘されながら、若手を軸としたチームを作り、18-19シーズンにリーグ7位、19-20シーズンに同5位とまずまずの成績を収めている。

20年12月、公式戦5連敗の責任を取る形でニースを解雇されたものの、デンマーク代表のカスパー・ドルベア、18-19シーズンを最後にニューカッスルへ移籍したアラン・サン=マクシマンなどは、ヴィエラ監督によって才能を開花させた、という指摘も聞こえてくる。

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オールドタイプの限界を察した会長が

パリッシュ会長が語った新しい時代とは、世代交代を指しているに違いない。なにしろクリスタルパレスの監督は、“懐メロ” が過ぎていた。

13年11月以降、トニー・ピュリス、ニール・ウォーノック、アラン・パーデュー、サム・アラダイスと “ガラパゴス系” の監督が相次いで就任し、17年7月からわずか2ヶ月で解雇されたフランク・デ・ブールを挟み、その後はロイ・ホジソンに指揮権が委ねられている。

プレミアリーグに昇格した13-14シーズン以降、一度も降格していない。ただ、14-15シーズンの10位が最高ランクで、そのほか7年間は残留争いにドップリ浸かるわけでもなく、ヨーロッパリーグの出場権にも手が届きそうにない、プロらしからぬ “低値安定” のシーズンが続いている。タイトルに近づいたのは、FAカップ決勝で延長戦の末ユナイテッドに1-2の敗北を喫した15-16シーズンだけだ。

もちろん、戦力値を踏まえれば及第点だ。ただし、クラブの規模では大差のないレスターがチャンピオンズリーグ出場権争いの常連になり、20-21シーズン、プレミアリーグに昇格したリーズはリヴァプールと互角に渡り合い、シティに1勝1分。世界中から称賛されている。

こうした事実を踏まえ、パリッシュ会長はオールドタイプの限界を察したのだろう。ともに40代のチェルシーのフランク・ランパード前監督、ボーンマスのエディ・ハウ元監督との接触も噂されたように、世代交代を強く望んでいたふしがある。そして45歳のヴィエラ監督を迎え入れたのだ。

世代交代とポゼッションへの転換

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さて、新体制の発足は、チーム内のヒエラルキーにも少なからぬ影響を及ぼすはずだ。20-21シーズン、クリスタルパレスの先発平均年齢は、リーグ最高齢の29歳213日だった。

パリッシュ会長に世代交代を託されたヴィエラ監督は、ニースを改革したように若手を積極的に起用するものと考えられている。6月末日に契約満了を迎えたアンドロス・タウンゼン、ギャリー・ケイヒル、ママドゥ・サコー、ジョエル・ウォード、スコット・ダンといった主力の去就が不透明なことは、新監督の方針を表しているのかもしれない。

また、新生クリスタルパレスは、カウンターからポゼッションへのモデルチェンジも図るという。19-20シーズンの平均ボール支配率が44.3%、20-21シーズンは同39.9%。このデータからも守備重視がハッキリと分かる。ゴール数も31(19位)→41(14位)と芳しくない。

一方、ニースのポゼッションは18-19シーズンから54.6%→54.2%→53.4%と推移。ヴィエラはポゼッションを重視していた。少なくとも、守備偏重ではない。

「リーグアンとプレミアリーグではレベルが違う」「現実は甘くない」などなど、数多くの疑問と不安が舞い込んでくる確率が極めて高いとはいえ、守備重視では上位との差が広がるばかりだと判断したパリッシュ会長が、ヴィエラ監督にクラブの運命を託したのだ。失敗を恐れずに、チャレンジすればいいのである。

低値安定に満足せず、パリッシュ会長は大胆なリスクを買って出た。組織のトップに野心が感じられるのだから、サポーターも新シーズンの開幕が例年以上に楽しみになって来た。

開幕節はヨーロッパチャンピオン、チェルシーとのアウェーゲームだ。高く、厳しすぎるハードル……いやいや、相手にとって不足なし。ヴィエラ新監督率いるクリスタルパレスがどのような闘いを見せるのか、ポゼッションで驚かせるのか、興味津々である。

文・粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

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