2021年夏、インテルはチェルシーへ売却したFWロメル・ルカクの後釜探しに奔走していた。その時、ミラノのクラブにおいて、補強の具体的なターゲットとなっていたのが、FWマルクス・テュラムだった。
だが、移籍交渉が最終段階に差し掛かったところでひざを負傷し、戦線離脱を余儀なくされたテュラム。こうしてインテル行きの移籍話も破談となってしまった。しかし、あれから2年が経過した現在、25歳FWは見事に復活を遂げ、シモーネ・インザーギ指揮下において、チームへ貢献を見せてくれるだろう。
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父と似たフィジカルが特徴の2世選手
多くのサッカーファンは、“テュラム”という姓に目が行きがちかもしれない。マルクス・テュラムは、かつて歴史を刻んだ元フランス代表DFであり、セリエAでもユヴェントスやパルマで活躍した、あのリリアン・テュラム氏の血筋を引く2世選手なのだ。
マルクスは、リリアン氏がちょうどエミリア地方でプレーしていた時にパルマで誕生し、弟のケフレン・テュラムとともに、父と同じサッカー選手を志した。マルクスはFW、ケフレンはMFで、2人とも元ユーヴェDFとは異なるポジションを主戦場としている。
マルクスは、ゴールへの嗅覚を持つが故にストライカーとなったが、フィジカルは、父リリアン氏を想起させるものがある。192センチと恵まれた体格で、フィジカル面であらゆるマッチアップに耐えうる。さらに得点力に加えて、技術面でも不足はなく、まずまずの推進力も持っている。こうした特徴から完成されたFWと言え、あらゆるプレースタイルに適応できるはずだ。
フランスで歩み出したキャリア
マルクスは、父の背中を追い、フランスでサッカーの冒険へと踏み出した。下部組織から過ごしたソショー＝モンベリアルでトップチームに昇格すると、2015年にリーグ・ドゥで出場を果たした。2017年には、ギャンガンへと移籍し、リーグ・アンデビューも飾った。
2シーズンにわたったギャンガンでの経験をジャンプ台とし、2019年に移籍金1200万ユーロ（約19億円）でボルシアMGへ移籍。ドイツのチームでは、レギュラーの座を勝ち取った。
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一度は消滅したインテル移籍
そんなマルクスに対し、インテルは2021年夏にも熱視線を向けた。イタリアのビッグクラブとの契約サインは、あと一歩にまで迫っていたが、フランス人MFが右ひざ内側側副靱帯の部分断裂のケガを負ったことで、移籍話は立ち消えとなり、受難のシーズンとなった。
だが、残留したボルシアMGにおいて、ブンデスリーガ通算111試合に出場34ゴールをマークし、時と共にすべてを乗り越えて復活を遂げたマルクス。昨年は、フランス代表の一員としてFIFAワールドカップ（W杯）カタール2022のメンバーにも招集された。
世界王者のタイトルを懸けた一戦でリオネル・メッシを擁するアルゼンチンに敗れたが、決勝まで勝ち進む躍進を見せたフランス。マルクスは合計5試合に出場してチームに貢献し、重要な経験を得た。
フランス代表FWを巡っては、直近の数カ月間にわたってパリ・サンジェルマン（PSG）やライプツィヒがその動向を追っていたほか、インテルのライバルクラブであるミラン行きがあと一歩にまで迫った。
ミランはテュラムに最終オファーを提示すると、獲得に自信を見せていたが、ジュゼッペ・マロッタCEO率いるインテルがラストスパートをかけ、争奪戦で逆転に成功した。こうしてマルクスは、フリーでフェネルバフチェに移籍したエディン・ジェコの後釜として、シモーネ・インザーギのチームに加わった。
2代目テュラムは今夏、運命のいたずらにより先送りされたインテルでの挑戦をようやくスタートすることになる。
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