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【コラム】レスターを躍進に導くブレンダン・ロジャーズの巧みなマネジメント | 粕谷秀樹のNOT忖度 | プレミアリーグ

読了時間 6分
2021-01-09-rodgers-justin-leicester (C)Getty Images

とある動画配信で、私は「レスターが優勝候補筆頭」と断言している。リヴァプールマンチェスター・シティではなく、本稿執筆時点で首位を走るマンチェスター・ユナイテッドでもなく、だ。

レスターを推す最大の理由は、ブレンダン・ロジャーズ監督の巧みなマネジメントである。

リヴァプール戦やシティ戦はカウンター、ボトム10で苦しみもがく相手にはポゼッションと、対戦相手、試合状況に応じたゲームプランの使い分けが非常に柔軟だ。基本陣形の3-4-2-1にこだわらず、あるときは4-3-3、またあるときは5-4-1と、多彩な配置で闘いつづけている。

完成度の違いを見せつけ、2-0の快勝を収めた18節のチェルシー戦はとりわけ見事だった。

中盤センターのウィルフレッド・エンディディユーリ・ティーレマンスがセンターバックとの距離をコンパクトに保ちつつ、一本の縦パスすら許さない万全の構えで応対する。チェルシーのFWタミー・エイブラハムに、勝負するシーンは訪れなかった。両サイドは大半の一対一で主導権を握り、チェルシーのハキム・ツィエククリスティアン・プリシッチは、ほとんど何もできずに90分を浪費した。

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ジャスティンもマディソンも指揮官に感謝

さて、この一戦の4バックは右からジェイムズ・ジャスティンウェズレイ・フォファナ、ジョニー・エヴァンズ、ティモシー・カスターニュ。エヴァンズを除く3名は、シーズン開幕前にロジャーズが思い描いていたメンバーではおそらくない。

右サイドバックのレギュラーだったリカルド・ペレイラは、右膝十字靭帯の損傷からの回復に戸惑っている。ベン・チルウェルはチェルシーに移籍した。右膝の内転筋を痛めたチャーラル・ソユンジュも、過密日程に耐えうるコンディションには戻っていない。

チャンピオンズリーグ出場権獲得まであと一歩に迫った昨シーズンの主力が起用できないという、いうなれば非常事態である。

しかし、エヴァンズを軸とする最終ラインは統制されていた。GKカスパー・シュマイケルとDFクリスティアン・フックスも、長年の経験によって培ったコーチングで若いディフェンダーを支えていた。

不振にあえぐチェルシーが相手だとしても、移籍してきたばかりのフォファナとカスターニュ、プレミアリーグの経験が30試合にも満たないジャスティンが及第点以上の活躍を見せたのだから、ロジャーズは笑いが止まらなかっただろう。

「監督はいつも気を遣ってくれるし、いつも見てくれている。練習中の指示も簡潔で明快だから、どのような試合でも適応できる自信はあった」

チェルシー戦終了後、ジャスティンが笑顔を振りまきながら、ロジャーズへの信頼を明かしていた。また、MFジェイムズ・マディソンも指揮官に感謝するひとりだ。

「今シーズンはコンディションが上向かず、大きく出遅れた。なにしろ、初スタメンは10月のアーセナル戦(第6節)だからね。正直、焦ったよ。チームに迷惑はかけられないので、練習量を増やそうかなと思っていた。ところが監督が『焦るなよ。ペースを守って仕上げてくれさえすれば、それでいいから』と言ってくれたんだ。気持ちが楽になった」

二度目の優勝も考えられなくはない

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つねに選手を気遣い、その特性を最大限に生かすことが監督の仕事だとしても、一朝一夕にしてできるわけではない。

フットボールの歴史に名を残す名伯楽で、マンチェスター・ユナイテッドに数多くの栄冠をもたらしたサー・アレックス・ファーガソンですら、デイヴィッド・ベッカム、ロイ・キーン、ヤープ・スタム、ウェイン・ルーニーなどと少なからぬ遺恨を生んでいる。

しかし、ロジャーズは選手に寄り添い、決して偉ぶらずに接していることが、ジャスティンとマディソンのコメントからもうかがい知れる。34歳になったいまも若手のように溌溂としているジェイミー・ヴァーディからも、ロジャーズの巧みな人心掌握が聞こえてきた。

「プレーエリアを中央に絞ってくれ。サイドに出たボールは追わず、その分のエネルギーを試合終了まで溜めておいてくれるか……これが監督のアドバイスだ。終盤までスタミナが落ちなかったからこそ、昨シーズンは33歳で得点王になれた。今度は俺が、俺たちが恩返しする番だな」

監督との間に強固な信頼関係が築かれているからこそ、選手たちはハードワークが可能になる。基本陣形やゲームプランが頻繁に変わっても、対応できる。ビッグネームがいないレスターのストロングポイントは、精神面の充実だろう。

プレミアリーグ直近6試合は4勝2分け。首位ユナイテッドとは2ポイント差の3位(編集部・注/その後、27日のエヴァートン戦で1-1のドロー。28日時点で、レスターは消化試合が1つ少ない首位シティと勝ち点2差の3位)。順位表を気にする段階ではないものの、6シーズンぶり二度目の優勝も考えられなくはない。

今シーズンのレスターは、すこぶる良い。

文・粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

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