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【コラム】イングランド代表の正GKに相応しいのは?「ラムズデールをテストすべき」| 粕谷秀樹のNOT忖度 |ワールドカップ欧州予選

読了時間 6分
2021-09-28-Aaron Ramsdale-Arsenal-David Seaman (C)Getty Images

ピックフォードは時代に即さない

1960年代中期からおよそ30年、イングランドのGKは3人でまかなってきた。ゴードン・バンクス、レイ・クレメンス、ピーター・シルトン……。フィールドプレーヤーに比べると選手寿命の長いポジションだが、彼らに代わる人材が現われなかったことも事実である。

デイヴィッド・シーマン、ロバート・グリーン、デイヴィッド・ジェイムズ、ジョー・ハートなどは帯に短し襷に長し。世界の列強に比べると、明らかに見劣りしていた。

その要因はただひとつ。時代後れのトレーニングだ。シュートストップやクロスの対応に時間を費やし、近代GKの要素として欠かせないキック、スローイングの精度を磨いていなかった。

現イングランド代表の第一GKジョーダン・ピックフォード(エヴァートン)も、時代に即したタイプではない。さきのEURO2020でも、なにかにつけてロングボールを蹴りたがっていた。チームのコンセプトがポゼッションであるにもかかわらず、だ。ジョン・ストーンズやハリー・マグァイアに、渋々ボールを渡すケースも散見されている。

また、ピックフォードは試合の入り方を誤ると、90分間ズーーッと引きずる。どちらかというと感情的になりやすい。メンタルに左右されるGK? 危なっかしくて仕方がない。

したがって、よほどのアクシデントが生じないかぎり3ポイントを得られるアンドラ戦(現地9日|アウェー)では、アーロン・ラムズデールをテストすべきではないだろうか。

名GKが推す「トライすべき人材」

2021-09-26-Aaron Ramsdale-Arsenal-Premier League

ラムズデール(写真)はクラブレベルの経験則も不足している。今夏にアーセナルに移籍するまで、サウサンプトンやシェフィールド・ユナイテッドでプレー。国際舞台に立ったことすらない。ただ、ポゼッションというイングランド代表のコンセプトを踏まえると、ピックフォードをはるかに上回っている。

とくにミドルレンジのキックは正確で、一つひとつのプレーに備えたステップワークも非常に丁寧だ。

かつて、マンチェスター・ユナイテッドの名GKとして鳴らしたペーター・シュマイケルもこう言った。

「ピックフォードの守りはセオリー度外視。勢いに任せている。GKは最も安定感が求められるポジションだ。ラムズデールはトライすべき人材のひとりだと思う」

さて、本来ならディーン・ヘンダーソンが、ピックフォードに代わって一番手に居座るはずだった。ところが8月の新型コロナウイルス感染後、コンディショニングに大苦戦。所属するユナイテッドでは定位置をダビド・デ・ヘアに奪われてしまった。

「所属クラブで常時プレーしていること」

イングランド代表のガレス・サウスゲイト監督は、選考条件を常日ごろから明らかにしている。フィールドプレーヤーと異なり、GKはゲームプランの変更が影響を及ぼさないポジションだ。二番手では常時プレーできない。だからこそ今回も、ウェストブロム(チャンピオンシップ=実質2部)のサム・ジョンストンが選ばれている。

現在のプレミアリーグは外国人GKが幅を利かせ、イングランド人で定位置をつかんでいるのは、ピックフォードとニック・ポープ(バーンリー)だけだ。

昇格してきたノリッジでさえオランダ代表歴を持つティム・クルル、ワトフォードがオーストリア代表のダニエル・バッハマン、ブレントフォードもスペイン人のダビド・ラジャ(ブラックバーンの下部組織出身ではあるが……)だ。イングランド人はいない。

さらにリヴァプールはクイーヴィン・ケレハー(アイルランド)、、マンチェスター・シティはザック・ステッフェン(アメリカ)、チェルシーはケパ・アリサバラガ(スペイン)と、上位三強では二番手も外国人によって抑えられている。

サウスゲイト監督に選択肢がない

2021-09-22-Dean Henderson-Manchester United-Carabao Cup

要するにサウスゲイト監督は、ピックフォードとラムズデールしか選択肢を持たない。ヘンダーソン(写真)が意を決し、レギュラーポジションを求めて来年1月に移籍するとしても、彼に居場所は見つかるのだろうか。

ウェストハムはポーランド代表のルカシュ・ファビアンスキとフランス代表のアルフォンス・アレオラを擁している。クリスタルパレスはスペイン人のビセンタ・グアイタが正GKで、アストンヴィラにはプレミリーグ屈指の名手エミリアーノ・マルティネス(アルゼンチン代表)が君臨している。

唯一の選択肢はサウサンプトンだ。アレックス・マッカーシーはイングランド人だが、これといった特徴がない。ヘンダーソンなら即座にレギュラーの座を奪取できる。イングランド代表とサウスゲイト監督、そしてヘンダーソン本人のためにも、ユナイテッドに留まる理由はこれっぽっちもない。

EURO2020で準優勝。イングランド代表は自信を深めた。メイソン・マウント、フィル・フォーデン、ブカヨ・サカ、ジュード・ベリンガムといった若手が急成長し、来年12月のカタール・ワールドカップでは優勝候補にも数えられるだろう。

だが、GKはあまりにも人材不足だ。イタリアはジャンルイジ・ドンナルンマ、ベルギーはティボー・クルトワ、ドイツはマヌエル・ノイアー……。ブラジルはアリソン、エデルソンという贅沢すぎる二者択一じゃないか! せめてひとり、イングランド人だったなら……。

隣の芝生が、やけに青く見えてきた。

文・ 粕谷秀樹

1994年、日本スポーツ企画出版社刊の『ワールドサッカーダイジェスト』編集長に就任。その後、同社の編集局次長を務め、01年に独立。以降、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、情報番組、さらに月平均15本のコラムでも、エッジの利いた発信を続ける。東京・下北沢生まれ。

配信情報

W杯欧州予選  グループI 第7節
アンドラ対イングランド

  • 配信: DAZN
  • 配信開始:日本時間10月10日(日)3:45
  • 実況:野村明弘 会場:エスタディ・ナシオナル

W杯欧州予選  グループI 第8節
イングランド対ハンガリー

  • 配信: DAZN
  • 配信開始:日本時間10月13日(水)3:45
  • 実況:野村明弘 会場:ウェンブリー

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