10月6日(月)から宮崎県内で「第22回みやざきフェニックス・リーグ」が開催される。過去には、柳田悠岐(ソフトバンク)や村上宗隆(ヤクルト)といった強打者たちも、この場で結果を残してきた。そんな鍛錬の場でもあるフェニックス・リーグで、今年注目したい野手を紹介する。
高卒4年目を迎えた右の大砲候補・有薗は、今シーズン大きな飛躍を遂げた。2年ぶりとなった一軍の舞台では、プロ初安打を含む7安打をマークし、打点も記録。本塁打こそ生まれなかったものの、“あわや”の大飛球を放ち、その非凡なパワーを見せた。二軍ではリーグ唯一の3割打者として首位打者を獲得。本塁打も18本放ち、2位に7本差をつけて本塁打王に輝いた。
打撃で光るものを見せている有薗のメインポジションは三塁だ。一軍では清宮幸太郎(89試合)と郡司裕也(46試合)が主にスタメンで起用されているポジションでもある。そんな2人を超えるためにも、武器である長打力にさらに磨きをかけ、ブレイク寸前の段階から完全開花へのきっかけを掴むことが期待される。
ヤクルトには、7年周期で野手の中心選手が指名されるというジンクスがある。1989年の古田敦也、1996年の岩村明憲、2003年の青木宣親、2010年の山田哲人、2017年の村上宗隆──。その系譜を継ぐ筆頭候補となりそうなのが、2024年ドラフト4位で入団した田中陽翔だ。
田中は、二軍で規定打席にこそ到達しなかったが、274打席で打率.254、2本塁打、20打点、OPS.705と、いきなり結果を残した。一軍では、シーズン最終盤に高卒ルーキーとして球団58年ぶりの猛打賞を記録。その存在感を見せた。
高卒1年目から二軍で250打席以上に立ち、OPSが.700を超えたのは、両リーグで田中ただ一人。令和の三冠王でもあるチームの大先輩・村上宗隆は、高卒1年目に二軍でOPS.879(427打席)を記録したが、それはまさに例外的な数字だ。長岡秀樹はOPS.585(268打席)、山田哲人もOPS.642(460打席)と、打席数に差はあれどOPS.700を超えることはなかった。この事実からも、田中の非凡さが際立っている。
田中の主戦場であるショートのポジションには長岡が君臨し、今年頭角を現した伊藤琉偉もその座を狙っている。まずはこの争いに加わるべく、フェニックス・リーグで鍛錬を積みたいところだ。
今年、二軍でもっとも本塁打を放った新人は、高卒の森駿太だった。二軍で9発を放った左の大砲候補は、9月下旬に待望の一軍初出場を果たすと、2打席目にプロ初安打を記録。本塁打こそ生まれなかったものの、6試合で4本のヒットを放った。
フルスイングが魅力のスラッガーは、サードが主戦場となる。今年の中日はサードを固定できなかった。スタメン起用された人数は、なんと10人。途中加入のチェイビスが30試合に起用されたのが最多とあって、チームは苦しんだ。
こうしたチーム事情を見ても、森がレギュラー争いに加わっていくことは決して非現実的な話ではない。来年からは本拠地・バンテリンドームにテラス席が設置されることも、長距離砲の森にとっては追い風となる。まずは争いの土俵に乗るためにも、フェニックス・リーグで結果を出すことが求められる。
ここまに取り上げた有薗、田中、森以外にも齋藤大翔(西武)や石塚裕惺(巨人)、三塚琉生(巨人)ら期待される若手選手は多い。今年、DAZNで38試合が配信されるフェニックス・リーグからも、ニューヒーローが誕生するだろうか。
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