試合途中からピッチから乗り込んでくる重戦車は、止めるのが本当に難しいのかもしれない。アトレティコ・デ・マドリードFWアレクサンドル・スルロットのことである。
昨夏、移籍金3200万ユーロでビジャレアルからアトレティコに加入したスルロット。アトレティコの新エース候補ともされたノルウェー代表FWだが、蓋を開けてみればスーパーサブとして猛威を振るっており、25日のコパ・デル・レイ準決勝1stレグ、アウェーでのバルセロナ戦(4-4)でも93分に劇的同点弾を決めている。
シーズン序盤こそレギュラーとしてプレーしていたスルロットだが、その得点数はなかなか伸びなかった。だがベンチを定位置に後半途中から出場するようになると抜群の効果を発揮。FWフリアン・アルバレスらスピード型のFWに対応していた対戦相手は、空中戦を最たる強みとして、さらに馬力あるドリブルや抜け出しも見せる重戦車型のスルロットの対応に苦慮し、ゴールを許してしまう。
スーパーサブ・スルロットが残す成績は。まさに圧倒的だ。ここまで1400分の出場時間で13得点(ラ・リーガ9得点、コパ・デル・レイ4得点)と、107分毎に1点を決めている計算。そしてその13得点の内、じつに8得点を途中出場から記録しているが、これは今季欧州主要リーグの途中出場からの得点数として最多となるだけでなく、アトレティコの歴代最多記録でもある。
アトレティコを率いるディエゴ・シメオネ監督は以前、スルロットがスーパーサブの方が輝けると確信し、同選手を説得したことを明かしていた。
「スルロットはクールだ。ゴラッソを決めても、『ゴールだ』と言うだけなのさ。彼とは数週間前に話し合いの場を持ち、自分の考えを伝えた。(途中出場からの方が力を発揮できると)気づくのが遅ければ、私たちはシーズン終了までの6カ月間を無駄にしていただろう。話し合いの後、スルロットは自分の役割を見事に解釈してくれた。20、30、40分間の出場で並外れたプレーを見せてくれている。後方からボールを引き出し、チャンスをつくれるという感覚を与え、勝利を導くんだよ」
途中からスルロットが出てくるアトレティコの“二段構えの攻撃”は、今後も対戦相手にとって脅威となりそうだ。
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