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【インタビュー】「気づきばかりだった」…NPB一軍実況デビューを終えた中島彩さんが目指す“信頼される実況者”

DAZN

昨年行われたDAZN主催のスポーツ実況者オーディション「THE ANNOUNCER」で初代グランプリに輝いた中島彩さんが、5月24日、横浜スタジアムで行われたDeNA対ヤクルト戦でNPB一軍実況デビューを果たした。

実況を終えた直後の中島さんに、初めて一軍の試合を伝えた実感、そしてこれから目指す実況者像を聞いた。

取材・文=勝田聡


■投手戦で感じた難しさ

中島さんが初めて一軍実況を担当した試合は、DeNAが1―0で勝利する緊迫した投手戦となった。試合終了後、率直な感想を尋ねると、まず口にしたのは試合展開を伝える難しさだった。

「あまり点が入らない時に、どう伝えるかという練習が圧倒的に足りていなかったと思います」

野球の知識がほとんどないところから始まった今回の挑戦。一軍デビューの舞台は、わずかな得点をめぐって緊張感が続く試合となった。そうした展開を伝えるうえで大きな支えとなったのが、解説を務めた三嶋一輝さんの存在だ。

「三嶋さんがいなかったら成り立たなかったくらい、本当に助けていただいたという気持ちです」

放送中には、野球の状況判断に関わる表現について、三嶋さんに修正してもらった場面もあった。中島さんは、その経験を「一生忘れないと思います」と受け止めている。

■使える時間をすべて使って臨んだ一軍デビュー

nakajima aya

ファームでのNPB実況デビューから、一軍戦での実況デビューまでわずか1週間。その期間で、中島さんはこれまでの練習方法を見直した。

「これまでは資料を作りながら、誰かがしゃべっている実況を聞いて、自分もしゃべるという練習をしていました。でも、この1週間は音を消して、無音の状態で一人で1試合をしゃべり抜く練習をずっとしてきました」

1試合を伝え切る練習を重ねたことで、「スタミナ面では保てた」と振り返る。仕事や育児と両立しながら、初めて一軍の試合を伝える大舞台に向け、使える時間を準備に充てて本番を迎えた。

「今の私ができる準備、使える時間は全部使って準備してきました。もうこれ以上できないというところまでは、やってきたつもりでした」

グランプリ獲得から約5カ月、仕事と育児以外の時間は準備に注ぎ、今出せる自分の力を全て出し切った。しかし、できる限りの準備を重ねたことと、実際の放送席で正確に伝え切ることは同じではなかった。一人での練習では、自分が正しいと思って使っている言葉や知識に誤りがあっても、それに気づけないことがある。

「一人で野球を見て、自分でしゃべっていると、どこが間違っているのかが分からないまま練習していた部分もありました。録音したものを野球に詳しい方に聞いてもらうなど、人の力を借りながら勉強していくことも、今後は大事なんだと感じました」

一軍実況を終えた今の実感を尋ねると、中島さんは、こう振り返った。

「気づきばかりだったかもしれないです」

その言葉が示すのは、単なる反省ではない。限られた時間の中で準備を積み重ねたからこそ、試合展開に応じて言葉を選ぶ難しさ、自分一人では見つけられない課題、そして正しい情報を伝える責任の重さが見えた。

■ファンの熱量を、もっと言葉にできる人に

nakajima aya

一軍の現場に立ったからこそ、得られた実感もあった。

デビュー前、中島さんは「ファンの方の熱量を感じながら、同じ目線で野球を見て、一緒に試合を楽しむ感覚で実況したい」と話していた。横浜スタジアムの放送席で、その思いをあらためて実感したという。

「スタジオで1人で実況した二軍戦と違って、スタジアムの放送席での実況はファンの方の熱量をより近くで感じることができました。そういう現地でしか感じられないものを、もっと言語化できる人になっていきたいです」

スポーツ実況は、中島さんがかねてから挑戦したいと願っていた仕事だった。初めて一軍の試合を伝えた経験は、再びその舞台に立ちたいという思いにもつながっている。

「スポーツ実況はずっとやりたかったことなので、続けられる機会があるなら、やっていきたいです」

最後に、これから目指すしゃべり手の姿を尋ねると、中島さんは、デビュー戦で得た気づきを踏まえながら言葉にした。

「女性の実況は、まだ耳なじみがないと感じる方も多いと思います。だからこそ、間違えないこと、正しい情報を伝えることを大切にして、信頼される実況者、しゃべり手になっていきたいです」

初めて一軍の試合を伝えた経験は、中島さんにとって、“信頼される実況者”へ近づくための大きな一歩となった。


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