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レアル・マドリードは欧州王者に何を教わったか…スペイン人ジャーナリストが大敗に終わった試合を分析|FIFAクラブワールドカップ2025

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新監督シャビ・アロンソが、FIFAクラブワールドカップのトロフィーを掲げる姿は夢に終わった。準決勝でパリ・サンジェルマンに0-4の大敗を喫したレアル・マドリードは、この試合で何を得たのか。

文=ハビエル・シジェス(スペイン紙『as』副編集長) 翻訳=江間慎一郎

 

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レアル・マドリードは準々決勝まで、素晴らしい時間を過ごしていた。しかし準決勝パリ・サンジェルマン戦の失態によって、輝きは一気にかき消えている。

シャビ・アロンソがわずかな時間で築いてきたものは、“最高のチームと最高の監督”を前に脆くも崩れ落ちた。PSGはあらゆる面で圧倒的であり、マドリーにとっても模範にすべき存在だった。これ以上ないほどの惨敗だった。1失点目でラウール・アセンシオ、2失点目でアントニオ・リュディガーがミスを犯したが、それらも言い訳にはならない。マドリーが0-4で敗れた理由は、何も機能していなかったからだ。

 

攻守のバランスが崩壊

シャビ・アロンソが何をしたかったのか、正直よく分からない。いずれにしても、トレント・アレクサンダー=アーノルドの負傷によりフェデリコ・バルベルデを中盤ではなく右サイドバックで起用したこと、また急性胃腸炎から復活したキリアン・エンバペを無理にでも先発に含めたことで、攻守のバランスは完全に崩れてしまった。

シャビ・アロンソは今回、前指揮官カルロ・アンチェロッティが使ってきた1-4-3-3(スペインのフォーメーションはGKから表記)を採用した。だがエンバペ、ヴィニシウス・ジュニオール、ゴンサロ・ガルシアの前線3枚は守備で全く貢献せず、マドリーのFW、MF、DFの各ラインは今大会で初めて間延びした。コンパクトな守備ブロックを形成できなければ、もちろんプレスも機能しない。アクラフ・ハキミ、ヴィティーニャ、デジレ・ドゥエ、ウスマン・デンベレへのプレスは、すべて後手に回っていた。

マドリーの選手たちは全員が然るべきポジションを取れず、PSGはいとも簡単にビルドアップを成功させて、彼らの各ラインを突破していった。ドゥエは相対するフラン・ガルシアを圧倒し、デンベレはラウール・アセンシオとリュディガーをぶっちぎり、ファビアンは2列目からの飛び出しでペナルティーエリア内を完全に制圧している。

屈辱的なほどPSGにゲームを支配されたが、誰も修正を施すことはできなかった。前線3枚が下がってこないために彼らは1-4-3で守っているようなものだったし、ディフェンスラインのフラン・ガルシアとラウール・アセンシオは、このレベルの試合では力量が不足していた。

 

プレスの質に大きな差があった

スコアの差は、両チームのプレスの質の差とイコールだった。マドリーがうまく攻守を切り替えられず、後退守備を放棄していた一方で、PSGはマドリーのビルドアップを常に阻害していた。とりわけハイプレスでは急先鋒となり、全力でボールホルダーを追いかけるデンベレは、彼一人でプレーシステムとして成立している。チームプレーや献身という概念をいまだ理解できていないヴィニシウスとエンバペは、デンベレをお手本にすべきだろう。

マドリーはPSGの激しいプレスを前に後方からボールをつなげられず、ティボー・クルトワはロングボールに頼るしかなかった。シャビ・アロンソはボールが空を高く飛ぶたびに、苛立ちをあらわにしていた。数字はときに真実を歪めてしまうが、今回に限っては試合内容を如実に表している。PSGはボールを保持し続け、ポゼッション率は68%を記録。ヴィティーニャが121回プレーに関与したのに対して、シャビ・アロンソがゲームメーカーに仕立てようとしているアルダ・ギュレルは49回しか関与できなかった。あらゆる面で、PSGはマドリーのはるか先を行っていた。

マドリーにとって幸運だったのは、後半のPSGがさらなる血を求めず、もう1失点するだけで済んだことだろうか。いや、ルイス・エンリケは決勝のチェルシー戦に頭を切り替え、まるでシャビ・アロンソに情けをかけるように選手交代を敢行していったが、これもまた屈辱的なことだったかもしれない。マドリーは「32チーム形式のFIFAクラブワールドカップで初代王者になる」という野望をかなえられず、スペインへの帰路につくことになった。

 

PSGに教えられたこと

real madrid xabi alonso(C)Getty Images

シャビ・アロンソはマドリー監督就任から約1カ月で、組織的・戦術的なパフォーマンスをチームに植えつけた。しかし、それがまだトップレベルでは通用しないことを露呈したことになる。

バスク出身の指揮官の前には、課題が山積みになっている。チームに合ったシステムの選定(3バックなのか4バックなのか)、ヴィニシウスとエンバペの併用問題(攻守の安定を取ろうとすれば1人起用するだけでも厳しい)とそれに伴うハイプレス使用の可否。現状のマドリーはPSGだけでなく、バルセロナやバイエルンと比べても見劣りしている。しかし、ここが本当のスタート地点だ。シャビ・アロンソはこれから、欧州最強の座に君臨するPSGとの距離をどこまで縮めていけるのだろうか。現時点でのその距離を教えたのも、そして追いつくための道を指し示したのも、この試合のPSGにほかならなかった。

 


 

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