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アルゼンチンの名門と対戦する浦和レッズ、徹底した体調管理と対策でサプライズを起こせるか｜FIFAクラブワールドカップ2025
6月15日に開幕を迎えたFIFAクラブワールドカップ2025。日本から唯一、浦和レッズがこの大会に出場する。大会初戦を翌日に控える中、開催地アメリカで取材を行う記者からのレポートが到着。食事や日々のスケジュール、選手たちの意気込み、対戦相手のサポーターの動向——。決戦前夜の現地の様子をお届けする。
文＝木本新也（スポーツニッポン）
日本勢で唯一出場する浦和レッズがいよいよ初戦を迎える。キックオフは6月17日正午（日本時間18日午前4時）、アルゼンチンの名門リーベル・プレートに挑む。
浦和にとって4度目のFIFAクラブワールドカップ。初出場の2007年に3位に入っているが、新フォーマットに移行して参加クラブが7から32に拡大する今大会は16強入りが現実的な目標となる。
試合前日の公式会見でマチェイ・スコルジャ監督は「世界のベストチームと試合ができることにワクワクしている。具体的な目標は言いたくない。グループの大本命ではないことは分かっているが、質の高いプレー、チームスピリットを見せたい」と力を込めた。
1次リーグ突破に向けて初戦で最低でも勝ち点1を手にしたいが、リーベル・プレートは過去の公式戦で日本勢が4度対戦して1点も取れずに全敗している難敵。直近では2018年FIFAクラブW杯の3位決定戦で、鹿島が0－4の大敗を喫している。
アルゼンチン史上最高額の移籍金6320万ユーロ（約105億円）で大会後にレアル・マドリードに移籍する17歳のMFフランコ・マスタントゥオノや、2022年のカタールW杯優勝メンバーのDFマルコス・アクーニャら実力者がそろう。
サンフレッチェ広島時代を含めて自身4度目のFIFAクラブW杯となるGK西川周作は「攻め込まれる場面が数多くなることは覚悟している」と腹をくくった上で「リスクマネジメントは日本のチームほど徹底していない。隙はある」と指摘した。
今大会はJリーグとは違う公式球が採用されており「当たれば飛ぶし、当たらないと失速する分かりやすいボール。一発でチャンスになるボールを味方につなげたい」と得点に直結するロングフィードを狙うイメージを膨らませた。
マスタントゥオノ (C)Getty Images
決戦前日のシアトル市内にはリーベル・プレートのユニフォームを着た人々の姿が目立った。チームが宿泊するホテル前には数百人規模のサポーターが集結。選手を鼓舞するための大合唱を夜まで続けた。
北中南米で衛星放送サービスを提供する『ディレクTV』でプロデューサーを務めるフェルナンドさんは「1万人規模のサポーターがアルゼンチンから来る見通し」だと明かし「3－0でリーベルが勝つ」と自信満々で予想した。
リーベル・プレートは熱狂的なサポーターで知られ、2024年シーズンのホーム平均入場者数は世界最多の8万5000人を記録した。日本開催だった2015年のFIFAクラブW杯にも約1万5000人のファンが大挙。準決勝前には道頓堀を占拠してパトカー10台以上が出動する事態に発展している。
一方の浦和もサポーターの数、熱量ともに日本屈指。グループステージ3試合を通して5500人超のファンが米国に駆けつける見通しだ。日本とアルゼンチンの誇るサポーターの創り上げるスタジアムの雰囲気も注目に値する。
浦和は5日に米国入りし、オレゴン州ポートランドで事前合宿を張ってきた。第2戦のインテル（イタリア）戦、第3戦のモンテレイ（メキシコ）戦のことは考えず、リーベル・プレート対策を徹底。スコルジャ監督は「第1戦に集中してほしい。他の対戦相手のことは考えなくていい」と選手に呼びかけてきた。
国内では珍しい正午キックオフの初戦に合わせて、生活面の準備も徹底。米国入り後は午前6時に起床して朝食、午前10時練習開始、午後6時夕食、午後9時就寝のスケジュールで早い時間帯から体の動く状態を整えてきた。
遠征には日本代表の専属シェフを永年勤めた西芳照シェフが同行している。決戦3日前の14日夜にはウナギが振る舞われ、選手は舌鼓を打った。
ドイツで長年活躍し、2018年ロシアW杯でゴールを決めるなど経験豊富なMF原口元気は「16時間の時差があり、欧州を行ったり来たりするよりハードに感じた。適応するまでに3、4日かかったので、早くアメリカに入ったのは賢明な判断だった」と強調。「自分たちは格上の相手にサプライズを起こさないといけない存在。相手の嫌なことをやり続けることが大事になる」と大一番を見据えた。
今季UEFAチャンピオンズリーグ王者のパリ・サンジェルマン（フランス）など世界から強豪が集う賞金総額10億ドル（約1500億円）のメガイベント。来夏に北中米W杯を控える日本代表より一足先に、世界を驚かせるレッズの挑戦が幕を開ける。
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