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【コラム】首位奪還を目指すホークスのキーマンは東浜巨。肘の手術、肩の不調、新型コロナ感染…苦難を乗り越え復活したノーヒッター|プロ野球

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20220616_NPB_Hawks (C)球団提供


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史上4人目となった打者27人でのノーノー達成

快挙達成からもう1カ月を過ぎたが、その熱はまだ冷めていないようだ。

ついに先日もホークス球団公式サイトには「東浜巨投手が2022年5月11日(水)にノーヒットノーランを達成した記念として、日本郵便株式会社が運営する『郵便局のネットショップ』にて、『2コインフォトミント』を数量限定で販売」とのニュースが掲載されていた。

やたら「ノーノー」が頻発している今シーズンのプロ野球だが、偉業の価値の大きさは変わらない。

東浜は、佐々木朗希の完全試合に次いで今季2人目の達成者だった。本人はその日のことを「状態はいいなと思って投げていましたが、それがいつもに比べて特別だとは思わなかった」と振り返るが、あれは今思い出しても惚れ惚れする投球だった。

どちらかというと丁寧に投げて、球数を要しながらでも抑えていくタイプの投手だと思う。だが、あの日は特に制球が素晴らしかった。だから相手の西武の早打ちに助けられたというより、バットを出すしかないという状況を作り上げたことでより優位な攻めが成り立った。そして直球は切れて、シンカーも鋭く落ちる。敵はもうお手上げだった。

終わってみれば97球という省エネで27個のアウトを重ねた。100球未満でノーヒットノーランは2006年9月16日山本昌(中日ドラゴンズ=97球)以来であり、パ・リーグでは1990年4月25日柴田保光(日本ハムファイターズ=94球)以来で32年ぶり。さらに、東浜は四球の走者を2人出したが、ともに次打者を併殺で仕留めて残塁が0だった。完全試合を除き、打者27人で終わったノーヒットノーランは史上4人目。快挙と共に珍しい記録もついてきた。

記念のウイニングボールは福岡の自宅に飾るのだと言っていた。

「沖縄の実家にはボールとか記念の盾とかいっぱいあるんですけど、自分の住んでいる家には野球関連のものって基本的にまったくない。優勝リングくらいかな。だから、その隣に並べて飾ろうと思っています」

周りが想像するのとは違って、東浜本人はまるで執着がない。モノだけではない。自身の白星に対する考え方もそうだ。

「毎登板ですが自分の勝ち星のことは本当に意識していなくて、その日できることを最大限やってチームが勝つ可能性を高めることだけを考えています。個人のことより、チームが勝つチャンスを作るのが僕の役目です」

そのように語ったのは6月8日、阪神戦の試合後だった。今季10度目の先発マウンドに上がると6回3安打無失点の好投。「結果的に0点で抑えられてよかったと思いますけど、もっと長いイニングを投げないといけない」と反省を口にしたが、この日でリーグトップタイに立つ今季6勝目(1敗)をマークした。防御率は2.13。どうしてもノーヒットノーランという派手な記録ばかりに目が向いてしまうが、東浜の安定感は今季序盤を通して見るとチームナンバーワンだと言っていい。

今季最初の登板は開幕2戦目、3月26日の日本ハム戦だった。7回2失点にまとめて白星。その後自身3戦目だった4月17日の楽天戦は、鹿児島・平和リース球場の柔らかい不慣れなマウンドに苦戦して4回途中5安打4四球で6失点と乱調だったが、大きく乱れたのは本当にその試合だけだった。

ノーヒットノーランを達成した翌週の5月17日には、故郷沖縄で〝凱旋登板″を果たした。2週連続対戦となった西武を相手に7回2安打無失点とまた快投。白星は付かなかったが、異例のヒーローインタビューを受けて地元沖縄のファンへ肉声を届けた。

「忘れられない試合になった。改めて沖縄っていいところだなと思います」

今季の好調について、東浜はこのように自己分析をする。

「しっかりキャンプから練習に入っていけたというか、自分のやりたいこととか、練習をしっかりみっちりやれたのが去年とは大きく違うと思います」

故障やアクシデントを乗り越え『攻めの投球』を貫く

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東浜は元々かなりの実力者だ。高校時代(沖縄尚学高校)では3年生春のセンバツ甲子園で全国制覇に導く活躍。大学(亜細亜大学)に進学すると1年生春から主戦を担い、伝統ある東都大学リーグで歴代1位の22完封や通算420奪三振の記録を引っ提げてドラフト1位でプロ入りした。

そして入団5年目だった2017年には16勝を挙げて最多勝タイトルに輝いている。

しかし、近年は故障やアクシデントに泣かされた。

2019年はシーズン中に右肘を手術。2020年には日本シリーズ直前に右肩不調を訴えた。そのオフには新型コロナウイルス感染もあり、復帰を目指すリハビリのスケジュールが大幅に狂ってしまった。昨シーズンは4勝4敗、防御率3.70と平凡な成績に終わってしまった。オフ期間のトレーニングや準備がどれだけ大切なのかを改めて痛感させられた。

かねてより練習の虫だったが、本人が言うように「しっかりみっちり」と練習やトレーニングを積んできたことが今につながっている。また、心身に不安がなくイメージに近いボールを投げて、さらに操れることから大胆に攻める投球ができている。

「昨シーズンだとコースを狙いすぎている感があった。昨年は相手打者ではなく、自分に目が向くことが多かった。今年は『打たれてもいい』くらいの気持ちでゾーンに投げ込むことが出来ています」

開き直ったきっかけもあった。3月12日のオープン戦・ヤクルト戦で3回11安打9失点と大炎上した。「正直、心が折れるくらいきつかったですけど、吹っ切れたというか自分の悪いところが見つかったのはありましたね」。怪我やアクシデント、そしてマウンドで味わった悔しさ。東浜はその1つ1つを乗り越えるたびに、強くたくましくなっていった。

プロ野球は交流戦が終わり、17日の金曜日からリーグ戦が再開される。

ホークスは、パ・リーグ2強状態で首位争いをするイーグルスを本拠地PayPayドームに迎えての3連戦に臨む。2年ぶりのリーグ優勝に向けた最大のライバルはこのチームとなりそうだ。

ただ、東浜は唯一イーグルス戦を苦手としている。今季ここまでの1敗が先述した鹿児島でのイーグルス戦だったし、昨季も0勝3敗で防御率8.16と苦戦を強いられた。

だが、今後の戦いにおいて東浜は先発陣の軸としての働きが期待される。相性を考慮して対戦を避け続けるというのは考えにくい。

いくつもの壁を乗り越えてきた東浜だ。難敵だって、必ずやクリアしてくれるに違いない。

文・ 田尻耕太郎

1978年生まれ、熊本市出身。法政大学卒。ホークス球団誌の編集を経て、2004年夏にフリーに。一貫して「タカ番」スタイルの現場主義を大切に取材活動を続けており、2021年にちょうど20年目のシーズンを迎えた。「Number」など雑誌・ウェブ媒体への執筆のほか、ラジオ出演やデイリースポーツ特約記者も務める。

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