2023シーズンのF1は当初24戦で行われる見通しだったが、新型コロナウイルスの影響で中国GPが開催見送りとなり、全23戦で実施すると発表された。第6戦エミリア・ロマーニャGPを控えた5月17日、現地イモラが洪水で被災したことから、中止とアナウンスされた。代替開催は見通しが立っておらず、直近2シーズンと同様に3年連続での年間22レースが開催される見通しとなっている。
F1第20戦メキシコGP 概要
波乱のアメリカGPが終わり、早くも翌週にはメキシコGPが開催される。
スプリントフォーマットで行われたアメリカGPでは、週末を通してメルセデス、フェラーリ、マクラーレンらが好調で、圧倒的な強さを誇るレッドブルとの差を詰めたように見えた。
特にメルセデスのルイス・ハミルトンはスプリントでマックス・フェルスタッペンに次ぐ2位、決勝でもフェルスタッペンを僅か2秒差まで追いつめた。最終的にはマシンの規定違反が発覚し、失格処分となってしまったが、メルセデスが今季最も勝利に近づいた週末と言えるだろう。
同じくマクラーレンのランド・ノリスやフェラーリのチャールズ・ルクレールも印象的な走りを見せており、2位以下の順位争いは混とんとしている。
現在ドライバーズランキングで2位につけるのはセルジオ・ペレス。メキシコでのF1人気をけん引する母国の英雄は、今週末最も注目されるドライバーだが、ここ最近の戦績はぱっとしない。
フェルスタッペンが圧倒的な速さで勝利を重ねる一方で、第15戦のイタリアGP以来表彰台からも遠ざかっている。アメリカGPでは2位でフィニッシュしたハミルトンが失格処分になったことで命拾いしたが、それでもなお39ポイント差と、残りのラウンド数を考えると危険水域に入っている。何とか母国の熱狂的なファンの前で、シーズン序盤に見せていたような輝きを取り戻したいところだ。
ハミルトン以下を見てみても、58ポイントの間に6人がひしめく混戦で、残り4戦で活発な順位変動が起こる可能性は高い。
コンストラクターズランキングでも2位メルセデスと3位フェラーリの差は22ポイント、フェラーリと4位のマクラーレンの差は80ポイントと少し開きがあるが、4戦連続表彰台入りのノリスと驚異の新人オスカー・ピアストリの好調コンビであれば、挽回できない差ではない。シーズン終盤に向けて順位争いはさらに激化していくことだろう。
なお、現在最下位に甘んじるアルファタウリは、アメリカGPで上位2台が失格処分となったこともあり、角田裕毅の順位が10位から8位に繰り上がった。そしてファステストラップポイント1も獲得し、アルファタウリ(10点)とハース(12点)との差が2ポイントまで縮小している。前戦で復帰を果たしたダニエル・リカルドとともにコンストラクターズ最下位脱出を狙っており、こちらも目が離せない。
次戦メキシコGPの舞台は海抜2,200mにあるアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス。空気が薄いためパワーユニットの燃焼に必要な酸素の吸引や、パワーユニットやブレーキの冷却が難しくなりパフォーマンスに与える影響は大きい。
空気抵抗が減少するため最高速は上がるが、ダウンフォースが少ないためドライビングは難しく、各チームはセットアップのみならずボディワークを変更して臨む。ひとつでも上の順位に上がるため、総力戦となるチャレンジングなサーキットで1000分の1秒を争う熱い戦いが見られるだろう。
メキシコGPの成り立ち
Getty Images
メキシコの英雄的なレーサーの名が付けられたエルマノス・ロドリゲス(ロドリゲス兄弟)サーキット。当時のメキシコ大統領の顧問を務めていたロドリゲス兄弟の父親が進言したことで、1959年に建設がスタートした。
メキシコGPが正式にF1カレンダーに組み込まれたのは1963年。その後1970年まで8回連続で開催され、なかでも1965年の最終戦となったメキシコGPは、ホンダにとってF1初優勝の舞台になった。リッチー・ギンサーが駆るアイボリーホワイトの葉巻型マシンが、先頭でチェッカーフラッグを駆け抜けた後、チーム監督の故 中村良夫氏が、『Veni Vidi Vici (来た、見た、勝った)』と言うジュリアス・シーザーの言葉を引用して、Honda本社に勝利の電報を伝えたエピソードも残っている。
1986年に再びメキシコGPが復活するも、1992年まで7年間開催したのち、再度カレンダーから消滅。2015年に三度復活を果たし、シーズン終盤のタイトル争いの舞台として、人気を集めている。2015年の復活には、国民的な人気を誇るセルジオ・ペレス(レッドブル)の存在が非常に大きく、コース改修を経て、開催が決定。毎年多くの観客がサーキットを訪れ、母国の英雄に熱烈な声援を送っている。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により開催がキャンセルとなり、2021年から3年連続のメキシコGP実施となる。なお、2023年の今回は23回目のメキシコGPとなる。
レース開催日程・DAZN配信予定
第20戦 メキシコGP / エルマノス・ロドリゲス・サーキット
日時 | 内容 | 解説・実況 |
---|---|---|
10月28日(土) 3:30~ | フリー走行 1回目 | 実況:サッシャ 解説:柴田久仁夫 |
10月28日(土) 7:00~ | フリー走行 2回目 | 解説:田中健一 小倉茂徳 |
10月29日(日) 2:30~ | フリー走行 3回目 | 実況:サッシャ コメンテーター:浅木泰昭 |
10月29日(日) 6:00~ | 予選 | 実況:サッシャ 解説:中野信治 |
10月30日(月) 5:00~(配信開始4:10~) | 決勝 | 実況:サッシャ 解説:中野信治 |
サーキット(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)
Getty Images
標高2200mを超える高地に位置するこのサーキットは、他のサーキットよりも空気が薄く、マシンやドライバーの身体にも負担が多いことで知られている。
全長4.304kmとコース自体は比較的短く、そのため予選ではクリーンラップを取るのが難しく、決勝はモナコGPに次ぐ71周の周回数で行われる。
特徴的な1コーナーに向かうロングストレートは、現在のF1開催トラックでも屈指の長さで、ここでDRSを使うことが一番のオーバーテイクポイントになる。
その他にも、最終セクターには元々あった野球場のスタンドを活用したスタジアムセクションなど、特徴的なレイアウトが魅力で、多くの観客が詰めかけるため、例年は表彰台もそのエリアに設置される。
2022年メキシコシティGP結果
Getty Images
現地メキシコシティはドライコンディションとなり、決勝では第1スティントにソフトとミディアムで選ぶドライバーが分かれた。上位勢ではマックス・フェルスタッペンがソフト。ジョージ・ラッセル&ルイス・ハミルトンがミディアム。セルジオ・ペレスがソフト、カルロス・サインツ&チャールズ・ルクレールがソフト。13番グリッドスタートの角田裕毅もソフトを選択している。
ブラックアウト直後、ロングストレートからのターン1に向かってフェルスタッペンが先頭で飛び込む。2番手ハミルトン、3番手ペレス、4番手ラッセル、5番手サインツ、6番手ルクレールでオープニングラップを終えた。13番手からスタートの角田もソフトの良い蹴り出しを生かして、ミディアム勢のチョウ・グァンユ&ダニエル・リカルドをパスし11番手まで順位を上げた。
フェルスタッペンがレースを引っ張り、17/71周目時点で2番手ハミルトンとは2秒前後。3番手ペレスは4秒後方、4番手ラッセルはさらにそこから2秒後方という間隔になる。11番手角田も前にノリス、後ろにリカルドと、マクラーレンに挟まれながらのレースが続いた。
18周目に入るタイミングで、ランス・ストロールがミディアムからソフトにスイッチ。全車初のタイヤ交換を行った。
第1スティントにソフトを選んだマシンは想像以上にタイヤが持っていることもあり、20/71周時点でまだピットインを行わず、ミディアム勢とほぼ同等のペースを保持する。多くのドライバーはピットアウト後にトラフィックに引っかかることを懸念し、第1スティントからロングランする流れとなり、早期のピットインを避ける展開となった。
24周目、3番手ペレスがソフトからミディアムに変更し、フェラーリ勢の後ろ6番手でコースに戻る。
前方ではミディアムの2番手ハミルトンがペースを上げ、ソフトを履いたフェルスタッペンとの差を徐々に詰めていく。すると25周目、フェルスタッペンはミディアムの第2スティントに切り替え、フェラーリ勢の前となる3番手でトラックへと復帰した。
ミディアム勢のハミルトンは30/71周目にピットインを行い、ミディアムからハードに履き替える。実質1ストップで最後まで走り切る状況となった。ソフトで引っ張った角田もここでミディアムの第2スティントに入っている。
ラッセルはロングランから後でソフトに履き替えることを無線で示唆していたが、チーム戦略もあり35周目に入るタイミングでミディアムからハードに切り替えた。これで上位勢は全車がタイヤ交換を終え、トップはフェルスタッペン。7秒後方に2番手ハミルトン、そこから2秒差で3番手ペレス、8秒後ろに4番手ラッセルという順番になった。
51/71周目に11番手争い中、角田をリカルドがパスしようとして、ターン6でインを突く。リカルドの左フロントに角田の右リアタイヤが乗り上げる形になり、角田はこれで大きなダメージを負う。ピットまで戻ったがボディとフロアが破損していたこともあり、角田はそのまま無念のリタイアとなった。このレースでは20台中初めてのリタイアが角田となっている。そしてリカルドには10秒のタイムペナルティが課された。
レースが終盤に入り、58/71周目でトップはフェルスタッペン。2番手は12秒差でハミルトン、1.4秒差で3番手ペレス、その5秒後方にラッセルというトップ4の差になる。いずれも第2スティントながら、レッドブル勢はミディアム、メルセデス勢はハードを履き、ミディアムの持ちが良いことから、レッドブルはこのまま最後まで走り切る戦略へと切り替えた。
4番手ラッセルは70周目に入るタイミングでソフトタイヤを履き、ファステストラップ狙いに出る。
結局トップのフェルスタッペンは、第2スティントのミディアムを最後まで持たせ、2番手ハミルトンを15秒離しての完勝となった。年間14勝を達成し、ミハエル・シューマッハ(2004年)、セバスチャン・ベッテル(2013年)の13勝を抜いて、年間最多勝記録を樹立した。
2位ハミルトン、3位ペレスまでが表彰台に並び、2021年のメキシコGPと同じトップ3の顔ぶれとなっている。
4位ラッセル、5位サインツ、6位ルクレールと続き、10秒ペナルティの課されたリカルドが7位に入った。8位オコン、9位ノリス、10位ボッタスまでが入賞となっている。
2022年第20戦メキシコシティGP決勝結果
1/マックス・フェルスタッペン/レッドブル
2/ルイス・ハミルトン/メルセデス
3/セルジオ・ペレス/レッドブル
4/ジョージ・ラッセル/メルセデス
5/カルロス・サインツ/フェラーリ
6/チャールズ・ルクレール/フェラーリ
7/ダニエル・リカルド/マクラーレン
8/エステバン・オコン/アルピーヌ
9/ランド・ノリス/マクラーレン
10/バルテリ・ボッタス/アルファロメオ
11/ピエール・ガスリー/アルファタウリ
12/アレクサンダー・アルボン/ウィリアムズ
13/チョウ・グァンユ/アルファロメオ
14/セバスチャン・ベッテル/アストンマーティン
15/ランス・ストロール/アストンマーティン
16/ミック・シューマッハ/ハース
17/ケビン・マグヌッセン/ハース
18/ニコラス・ラティフィ/ウィリアムズ
19/フェルナンド・アロンソ/アルピーヌ
-/角田裕毅/アルファタウリ
関連記事
直近のDAZN番組表(F1)DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。
● 【番組表】直近の注目コンテンツは?
● 【お得】DAZNの料金・割引プランは?
チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |