水戸ホーリーホック 対 清水エスパルス の見どころ
運命の最終節、ケーズデンキスタジアムでは水戸ホーリーホックと清水エスパルスが激突する。ホーム最終戦を勝利で飾り、よい形でシーズンを締めくくりたい水戸に対し、２位の清水は勝てば文句なしでJ１昇格が決まる状況。水戸がホームで意地を見せるか、清水のJ１への思いが上回るか。お互いにとって勝利しか欲していない白熱の90分の幕が上がる。
水戸はここまで11勝13分17敗の勝点46で17位。J2残留こそつかんだが、満足のいく結果でなかったのは数字を見れば明らかである。濱崎芳己監督体制１年目は悔しさの残るシーズンとなった。
さらに現在は1分5敗と6試合勝ちなし。このまま今季を終えてしまうのは後味が悪い。来季以降に何かをつなげるためにも最終節で勝利を飾りたい。9月9日の第34節・ツエーゲン金沢戦以来、２か月ぶりにホームゲームでファン・サポーターと喜びを分かち合い、今季の戦いを締めくくりたい。
清水は、１年でのJ１復帰を掲げていた中、シーズン序盤は大苦戦だった。開幕から5試合連続ドローが続き、第6節と第7節で連敗。ゼ・リカルド監督は未勝利のまま、チームを去った。それでも、その後を継いだ秋葉忠弘新監督がチームを蘇らせる。就任直後から8試合負けなしを記録するなど順位を上げていき、昇格争いの位置まで押し上げた。
そして迎える最終節、勝てば悲願達成となる無題が、昨季まで3年間指揮を執っていた水戸のホームであるのは、何かの因縁か。これ以上ない舞台が用意されたと言っていい。かつての教え子たちも多くいる相手に勝利し、J1昇格を決めることができれば、これ以上ない喜びとなるだろう。
チームとしても前節・大宮アルディージャ戦は盤石の戦いぶりを披露した。チアゴ・サンタナとカルリーニョス・ジュニオの両エースにゴールが飛び出したのに加え、攻撃の中心である乾貴士が10ゴール10アシストを達成。ホーム最終戦で4－0の大勝を飾り、機運を高めた。
歓喜の瞬間を見届けようと、水戸の地にも数多くのファン・サポーターが来るはず。最終節も攻撃的なサッカーを貫き、気持ち良くJ1昇格を達成したい。
他会場のカード
11月12日（日）
13:00 ベガルタ仙台 vs FC町田ゼルビア（J2）
今季の仙台は第22節終了時点の8位を最後に、ボトムハーフから抜け出すことができず。11戦未勝利も経験するなど低空飛行を強いられた。最終節の相手は、開幕節に0-0で引き分けた町田。以後の成績は対照的なものとなったが、ホームでの今季最終戦は意地の見せどころだ。
町田は4連勝で勝点を『84』に。今節も勝って『87』とした場合は、2015年以降では2021年のジュビロ磐田（勝点91）に次ぐ成績となる。注目はここまで唯一全試合に出場しているFW荒木駿太。絶え間なくプレスを敢行する姿は、まさに町田のスタイルの体現者だ。
13:00 ブラウブリッツ秋田 vs 徳島ヴォルティス（J2）
秋田は前節、連敗を『3』でストップ。最終ラインの再構成を余儀なくされた中でも、ぶれることなく2-0の快勝を収めた。5月7日を最後にホームでは14試合勝利がなく、今節はその呪縛を断ち切るラストチャンス。2戦連発と好調のFW齋藤恵太を軸に相手ゴールへ迫りたい。
対する徳島は前節0-0の引き分け。勝点2差で先行する秋田を下せば、最終順位は入れ替わる。このカードでは過去3試合すべてスコアレスドローに終わっており、カギを握るのは攻撃陣。第30節の得点を最後に沈黙が続くFW森海渡には豪快な一撃を期待したい。
13:00 モンテディオ山形 vs ヴァンフォーレ甲府（J2）
最後の一枠をかけた文字通りの大一番だ。7位・山形は、勝てば昇格プレーオフ進出が決定。引き分け以下の場合はその時点で“終戦”が告げられる。今季は大型連敗もあった一方、ここまで二度の5連勝を記録。終盤戦で雰囲気は最高潮にある中、三度目の5連勝で滑り込みを果たすことができるか。
その山形を得失点差で上回るのが6位の甲府。山形と異なり、引き分けでもプレーオフ進出の可能性が残るが、他会場で8位のV・ファーレン長崎が勝った場合は甲府も圏外に転落する。こちらも2連勝、9戦負けなしと好調を維持。FWピーター・ウタカが7月以来のゴールを決めたことも、追い風となるはずだ。
13:00 栃木SC vs ジュビロ磐田（J2）
栃木は前節10人の東京ヴェルディに0-1で敗戦。J2残留は確定したものの、最終節を前に時崎悠監督の今季限りでの退任が発表された。今節も上位との対戦となる中、注目選手はFWイスマイラ。時崎監督にはJ3・福島ユナイテッドFC時代から指導を受けており、恩返しのゴールを届けたい。
3位・磐田は2位の清水エスパルスと勝点1差をキープして今節へ。得失点差で大きく遅れをとっているため、自動昇格を果たすには栃木戦の白星と清水の引き分け以下が最低条件となる。“補強禁止”で幕を開けた今シーズンもついに最終節。その先に待っているのは逆転でのJ1か、昇格プレーオフか。
13:00 大宮アルディージャ vs 東京ヴェルディ（J2）
大宮は前節の敗戦で21位が確定。J3降格こそまだ決まっていないものの、終盤戦での追い上げは一歩及ばなかった。前節同様に東京Vも自動昇格争い真っ只中の相手。厳しい試合が予想されるが、今季限りでの引退を発表しているGK南雄太の花道を勝利で飾りたい。
4位・東京Vは2位の清水エスパルスと勝点1差、3位のジュビロ磐田とは勝点で並ぶ状況。得失点差で両チームを下回っており、自動昇格に向けては大宮に勝利した上で静岡勢の取りこぼしを待つ形となる。昇格とプレーオフ、両方の道を受け入れる覚悟を持って敵地へ乗り込む。
13:00 ジェフユナイテッド千葉 vs V・ファーレン長崎（J2）
千葉は前節の逆転勝利で昇格プレーオフ進出が決定。8勝2分と後半戦に入ってまだ負けのない『フクダ電子アリーナ』で、“今後の2試合”へ向けて弾みをつけたい。13得点のFW小森飛絢に加え、終盤戦ではFW呉屋大翔も量産体制に突入。頼もしいCFの活躍にも注目だ。
対する長崎は8位で最終節へ。この試合で勝ち、他会場の山形対甲府が引き分けに終わることのみがプレーオフ進出の条件となる。キープレーヤーは得点王を確実なものとしているFWフアンマ・デルガド。2得点の前節同様に今季も勝利の立役者となり、吉報を待ちたい。
13:00 ツエーゲン金沢 vs ファジアーノ岡山（J2）
来季から新スタジアムで戦う金沢は、『石川県西部緑地公園陸上競技場』でのラストマッチ。また、すでに契約満了が発表された柳下正明監督にとっても最後のゲームとなる。最下位でのJ3降格と苦しいシーズンとなったが、7年にわたる柳下体制の集大成を見せたい。
昇格プレーオフ進出の可能性が消滅した岡山は、前節の敗戦で5戦勝ちなし。過去4シーズン石川西部では勝利がなく、2018年以来の勝点3獲得を目指す。注目はFWチアゴ・アウベス。今季は6得点と不本意な数字になっている中、9試合ぶりのゴールで存在感を示したい。
13:00 藤枝MYFC vs いわきFC（J2）
藤枝の前節は、前半39分に退場者を出しながらもスコアレスドロー。無失点は2試合連続となった。最終節の相手は今季ともに昇格した“同期”のいわき。互いに確固たるフィロソフィーを持つ中、“超攻撃的エンターテインメントサッカー”を見せつけて最終戦を飾れるか。
対するいわきは昇格争いを戦う相手に3連敗。前節は56分にFW有馬幸太郎が先制点を奪ったものの、手痛い逆転負けを喫した。第1節の藤枝戦では前半に3点を先行され、猛追及ばず2-3の黒星。リベンジを誓う今節は、出場停止明けのMF下田栄祐に期待がかかる。
13:00 ロアッソ熊本 vs レノファ山口FC（J2）
熊本は最終節を前に、大木武監督との契約更新を発表。今季は後半戦初戦から13試合未勝利という泥沼を経験して残留争いにも巻き込まれたが、今節は来季へのスタートともいえる一戦だ。一つでも上の順位を目指すべく、ホームのサポーターとともに勝利をつかみにいく。
山口はJ2残留が確定。6月から指揮をとるフアン・エスナイデル監督の下、最低限の目標を達成した。注目選手は2018年に熊本でプレーしたFW皆川佑介。自身が得点を量産した『えがお健康スタジアム』で迎える最終節は、第13節以来のゴールを期待したい。
13:00 大分トリニータ vs ザスパクサツ群馬（J2）
前節引き分けた9位・大分は昇格プレーオフ進出の可能性が消滅。二度リードを奪いながらも簡単に失点をして逃げきれず、今季の課題を象徴するような展開になってしまった。今節敗れた場合はボトムハーフに転落する可能性も。ホームでの最終節は何とか意地を見せたい。
10位の群馬も、前節の試合前の時点でプレーオフ進出が消滅。ホーム最終戦では悔しい逆転負けを喫した。とはいえ、シーズン当初の目標を早々に達成し、“新しい景色”へと上方修正するなど、今季の躍進は見事。勝点2差で先行する大分を下し、一桁順位でのフィニッシュを狙う。
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