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ベアマンの潜在能力をハース小松礼雄代表が称賛も…一方で「感覚が無い」繊細さに欠ける“危うさ”は表裏一体|WEDNESDAY F1 TIME

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ハースの小松礼雄代表が、自チームのオリヴァー・ベアマン、エステバン・オコンについて言及した。

『DAZN』のF1中継で解説を務めるレーシングドライバーの中野信治氏、実況担当のサッシャ氏は、シンガポールGPにおいて現地から公式セッションを生中継した。その現地シンガポールのパドック内で、ハースの小松代表を直撃。インタビューの様子は『DAZN』の『WEDNESDAY F1 TIME #30』で公開されている。

小松代表はベアマンの才能を高く評価していると明かした。

「基本的にオリー(ベアマンの愛称)はどんなクルマでも乗れちゃうんですよ。だからすごい」

「自分でアダプト(適応)していると分からずにアダプトしているタイプ。僕が(ベアマンに対して)言うのは“もっとダメ出ししろ”と。そうじゃないとクルマを良くできないから。そうじゃないと絶対的なパフォーマンスが上がらない」

2025-10-15 Nakano Shinji Komatsu Ayao Sascha F1 Formula 1DAZN

マシンを乗りこなすという点で、ベアマンの許容範囲が広い点も特徴とのこと。

「ベアマンはパフォーマンスが下のクルマでも限界を出せるし、上のクルマでも出せる。(僚友の)エステバン(オコン)は上に揃っていないとパフォーマンスを全部出せない」」

「だから(マシンに対する)懐はオリーのほうが(オコンよりも)広い」

ただ、その資質は表裏一体でチームとしてはベアマンの“安定感”については悩ましい点もあるという。

「悪い言い方をしちゃえば(ベアマンにはマシンコントロールの繊細な)感覚が無いわけですよ」

2024年までハースでともに戦ったベテランドイツ人ドライバーの例も挙げ「ニコ(ヒュルケンベルグ)はすごく繊細なんです。これ以上いったらリアが出てくる(グリップを失う)と(ヒュルケンベルグなら)感じるところで、オリーは感じない」と続けた。

「良い面もあるけど、悪い面もある。スパ(フランコルシャン/ベルギーGP)もそうだったけど、ターン14でクラッシュしたんです。ターン13まではむちゃくちゃ速いわけですよ。何の警告もなくクラッシュした」

「でもコーナーの進入速度を(データ上で)見たら明らかに速すぎるわけです。(ベアマンは)感じないわけですよね。ここがギリギリだなって。エステバンやニコはもっと(繊細に限界点を)感じるわけです」

2025-02-18 Ocon Bearman Oliver Komatsu Ayao Haas F1 Formula 1Getty Images

マシンの限界を引き出しながらも、その一線を超えてしまうこともある模様。

「ニコはエステバンよりも(さらに幅広く)適応できるから、しっくりこなくても走ることができる。エステバンはしっくりこないとなかなか走ることができない」

「でもオリーの場合はクラッシュして初めて“なんでクラッシュしたんだ?”になるんです。でもデータを見ると“お前、恐ろしいスピードだよこれ? フェラーリよりも突っ込んでるよ”って。“あっ!”ってそこで気づくわけです」

小松代表はベアマンがクラッシュしてしまうケースが多く、それが悩みのタネになっている一方で「でもそれで1周まとめた時は誰も敵わない」と、潜在能力とハマった時の速さは突出していると強調した。

2024-04-26 Hulkenberg Nico Ayao Komatsu Haas F1 Formula 1Getty Images

中野信治氏が“スピードセンスがあるってことですね”と聞くと、小松氏はこう返答する。

「昨年のサンパウロGPで(ベアマンは)ニコより予選が上だったじゃないですか。あれは1周まとめたのがうまくいった例」

2024年のサンパウロGPは、ケビン・マグヌッセンが体調不良のため、リザーブのベアマンが突如参戦することに。ベアマンにとってはフェラーリでのサウジアラビアGP、ハースでのアゼルバイジャンGPに続く、F1キャリア3戦目だった。

同予選は、雨のために土曜午後から日曜午前にスライドとなったが、日曜の午前も雨でウェットコンディションと、難しい走行条件だった。

そんな中、予選でベアマン17番手(1:31.229)、ヒュルケンベルグ19番手(1:31.623)と、F1キャリア3戦目のベアマンは百戦錬磨のドイツ人ドライバーを0.394秒上回った。

2010年からF1で戦い続けているヒュルケンベルグも、若手ベアマンの走りには驚愕していたようだ。小松代表はこう明かす。

「ニコは(ベアマンのデータを見て)“本当にありえない”と言っていた。“俺がコンマ3秒つけるべき。相手はルーキーだから。俺の予選ラップはこんな進入速度じゃこれ以上いけないと思ってしまう。でもあいつ(ベアマン)はこれを感じてないから、こんなスピードが出せるんだ”と言っていたけど、それはニコにはできないことなんです」

2025-10-18 Tsunoda Yuki Bearman F1 Formula 1Red Bull Content Pool

「だから1周まとめられたらそうなるんですけど、(ベアマンの攻め方は)常にクラッシュの一歩手前なんです。だから安定して結果を出せない」

小松代表は天才肌であるベアマンのアグレッシブさは最大の武器であると述べつつ、表裏一体で不安定なところが改善点だと見解を示した。

先日のアメリカGPでベアマンは複数回角田裕毅とバトルを繰り広げ、34ラップのターン15では角田のイン側を突こうとしてスペースがなく失敗。グラスにタイヤを乗り上げてスピンしてしまうという場面があった。前述の言葉“なんでクラッシュしたんだ?”となり得る、あわやのケースだったと言える。

小松代表は表に出てこないチームの内部データを把握している。それだけにベアマンについてはマシンの限界を引き出すことに長けた一方、アグレッシブに攻め過ぎる点は“玉に瑕”と見ているようだ。

 

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