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オランダ国境に接するドイツ・クレーヴェ郡出身のニコ・ヒュルケンベルグ。10歳でカートの世界に足を踏み入れると、15歳でドイツ・ジュニア・カート選手権チャンピオンに輝き、フォーミュラの世界へとステップアップした。
2005年、18歳のヒュルケンベルグは若手の登竜門であるフォーミュラ・BMWで初参戦ながらチャンピオンを獲得。このシリーズには、後にF1でも競い合ったセバスチャン・ブエミやセルジオ・ペレスも名を連ねていた。
その後も快進撃は続き、2007年には国別対抗戦のA1グランプリ、翌年にはF3・ユーロシリーズを制覇。さらに2009年にはGP2(現在のF2)を制してついに2010年にウィリアムズからF1デビューを飾った。
また同郷であるミハエル・シューマッハのマネージャーも務めたウィリー・ウェーバーのサポートを受けており、ドイツの新たなスター候補として、鳴り物入りでのF1参戦でもあった。
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デビュー前からテストドライバーとして、F1マシンの走行経験があったヒュルケンベルグは、第3戦マレーシアGPで予選5番手から決勝は10位となり、早くも初ポイントを獲得。ウィリアムズではベテランのチームメイト、ルーベンス・バリチェロと共に健闘し、第12戦ハンガリーGPでは6位入賞を果たした。
さらに雨模様となった第18節ブラジルGPの予選では、雨量が少ないタイミングでアタックラップを行い、見事にポールポジションを獲得。決勝では順位を落として8位でチェッカーを受けたものの、1年目から才能の片りんを見せつける充実のシーズンを送った。
しかし、そんな活躍をよそに、リーマンショックの余波を受けてスポンサーの撤退が相次いでいたウィリアムズは、翌年のラインナップに母国の国営企業がバックアップするベネズエラ人のパストール・マルドナドを起用。ヒュルケンベルグは、わずか1年でシートを失ってしまった。
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2011年はフォース・インディアのリザーブドライバーとして、いくつかのレースの金曜フリー走行1回目に出走して経験を積んだヒュルケンベルグは、翌年にはレギュラーシートを再び獲得。全20戦中11戦で入賞するなど安定したパフォーマンスでチームをけん引すると、第12戦ベルギーGPではキャリアハイとなる4位入賞を果たし、表彰台目前まで迫った。その走りが評価されて、2013年はザウバーに移籍した。
2012年のザウバーは小林可夢偉らを擁して4度の表彰台フィニッシュを記録するなど上り調子だったものの、翌年は一転して競争力が劣るマシンを操り、ヒュルケンベルグが孤軍奮闘。シーズン途中の開発が功を奏して後半戦には少し巻き返したが、チームの財政難も重なって、シーズン後に移籍を発表。フェラーリへの移籍も噂されたが古巣のフォース・インディアへと復帰した。
フォース・インディアでの2度目のシーズンとなった2014年。好調なマシンとパワフルなメルセデスのエンジンを手にしたヒュルケンベルグは、開幕から10戦連続入賞とスタートダッシュを決めて、キャリア最多の96ポイントを獲得するなど、ドライバーとしての評価を上げていく。
さらに、2015年には活動の幅を広げて、F1と並行してポルシェチームからFIA世界耐久選手権に参戦。世界三大レースの1つとして名高いル・マン24時間レースでは、ポルシェに17年ぶりの総合優勝をもたらし、栄光のトロフィーを手に入れた。
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2016年にも第13戦ベルギーGPで4位入賞し、誰もがその速さを認める実力者としてF1でのキャリアを築いたヒュルケンベルグは、2017年にルノーへの移籍を発表。エースドライバーとしてチームをけん引し、中堅チームのなかで結果を残し、2018年には自身最高位のドライバーズランキング7位と記録。2019年まで在籍した。
2020年は所属チームなしの状態で、F1復帰を目指すための活動を続けていた中、第4戦イギリスGP直前の木曜日にレーシング・ポイントのセルジオ・ペレスが新型コロナウイルスの陽性反応が出たことで、急遽ヒュルケンベルグに白羽の矢が立つ。元々、代役ドライバーとしてリストアップされていなかったものの、スーパーライセンスの条件や移動のスケジュール、さらにレーシング・ポイントの前身であるフォース・インディアに所属歴がありチームクルーとすでに関係があることから、候補として急浮上し、金曜日の朝に代役としての出走が発表された。
この緊急参戦は、決勝前にマシントラブルが発生し、1周もできずにレース終了という残念な結末となった。しかし翌週の第5戦F1 70周年GPにも出走したヒュルケンベルグは、予選で3番手タイムをマーク。決勝は7位フィニッシュとなったものの、世界中のF1ファンが「代役出走でのキャリア初表彰台」という夢物語を想像せずにはいられない展開だった。
さらに第11戦アイフェルGPでは、ペレスのチームメイトのランス・ストロールが体調不良のため土曜日に欠場を発表。再び代役と務めたのは、ドイツの放送局の解説者としてサーキットを訪れていたヒュルケンベルグだった。わずか15分の調整時間で挑んだ予選は最下位に終わったものの、決勝ではライバルのリタイアもあり、なんと8位入賞。母国でのレースでドライバー・オブ・ザ・デーに選ばれる超人的な活躍を見せた。
2021年からは、レーシング・ポイントから名称変更したアストンマーティンでリザーブドライバーに就任。2022年の開幕戦バーレーンGPと第2戦サウジアラビアGPでは、新型コロナウイルスに感染したセバスチャン・ベッテルの代役として出走し、ここでもチームメイトのストロールを上回る力走を披露した。
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そして2023年、ミック・シューマッハの契約延長を断念したハースが堅実なスタイルのドライバーを模索していたこともあり、ヒュルケンベルグに白羽の矢が立った。ドイツ人ドライバーは4年ぶりとなるレギュラードライバー復活。才能と実績はこのキャリアが証明する通り揺るぎないものだが「表彰台未登壇ドライバーの最多出走数」という記録も持っている不思議なドライバーでもある。
そのハースは前年に比べてもマシンの速さは伸び悩む状況となり、なかなか入賞圏内で戦うことができず。そんな状況下でもヒュルケンベルグは加わったばかりのハースで、古株のマグヌッセンよりも多くの予選で前のグリッドを獲得する速さを見せた。
第3戦オーストラリアGP決勝では7位入賞を果たす。雨混じりとなった第9戦カナダGP予選でヒュルケンベルグは2番手という大躍進を見せた。だが結果としてグリッド降格ペナルティを受け、ヒュルケンベルグは同決勝で5番手スタートとなっている。
1年を通じて予選グリッドのチーム間当該成績では15-7と、マグヌッセンよりも多くのレースで前のグリッドを獲得したヒュルケンベルグだったが、結果的に決勝での入賞はオーストラリアGPの7位入賞一度のみとなった。シーズン9ポイントで総合16位という成績は、十分なものではない。
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2024年のハースはギュンター・シュタイナー氏が去り、新代表として小松礼雄氏がチーフエンジニアから昇格となった。
VF-24は前年に比べてポテンシャルが高く、序盤から躍進を予感させる状況となった。また、ヒュルケンベルグ&マグヌッセンというベテラン2人がポイント奪取のためにチームプレーに徹するケースも多く、直接的なライバルとも言えるレーシングブルズやアルピーヌ、ウィリアムズを出し抜いて戦う場面も目立った。
そんな中でもヒュルケンベルグは入賞フィニッシュを繰り返し、4月下旬には早くも2025年の契約を勝ち取る。ハースを去り、翌シーズンからのキックザウバー入りが発表された。
同チームは新レギュレーションの2026年より、ザウバーからアウディになることが確定している。ドイツの自動車メーカーであるアウディにとっては、自国出身であり経験豊富なドライバーとしてヒュルケンベルグを求め、複数年契約で迎え入れることが決まった。
ヒュルケンベルグは度々上位勢に迫る走りを見せ、ポイントランキングでは角田裕毅とデットヒートを繰り広げながら終盤戦へと突入。サンパウロGPで大きくポイントを手にしたピエール・ガスリーに最終的にはまくられる形となったが、ヒュルケンベルグは41ポイントの総合11位で2024年を終えた。
新天地キックザウバーでヒュルケンベルグはどのような戦いを見せるのか、新生アウディチームの浮沈を握るベテランの走りは2025年も要チェックとなる。
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1987年8月19日生まれ|ドイツ国籍|ウィリアムズ(2010)、フォース・インディア(2011~2012)、ザウバー(2013)、フォース・インディア(2014~2016)、ルノー(2017~2019)、レーシング・ポイント(2020)、アストンマーティン(2022)、ハース(2023~2024)、キックザウバー(2025~)
| 年 | チーム名 | 勝利数 | 年間成績 |
|---|---|---|---|
| 2010年 | ウィリアムズ | 0勝 | 14位 |
| 2011年 | フォース・インディア | - | -位 |
| 2012年 | フォース・インディア | 0勝 | 11位 |
| 2013年 | ザウバー | 0勝 | 10位 |
| 2014年 | フォース・インディア | 0勝 | 9位 |
| 2015年 | フォース・インディア | 0勝 | 10位 |
| 2016年 | フォース・インディア | 0勝 | 9位 |
| 2017年 | ルノー | 0勝 | 10位 |
| 2018年 | ルノー | 0勝 | 7位 |
| 2019年 | ルノー | 0勝 | 14位 |
| 2020年 | レーシング・ポイント | 0勝 | 15位 |
| 2022年 | アストンマーティン | 0勝 | 22位 |
| 2023年 | ハース | 0勝 | 16位 |
| 2024年 | ハース | 0勝 | 11位 |
| レース名 | 決勝順位 |
|---|---|
| 第1戦バーレーンGP | 16位 |
| 第2戦サウジアラビアGP | 10位 |
| 第3戦オーストラリアGP | 9位 |
| 第4戦日本GP | 11位 |
| 第5戦中国GP | 10位 |
| 第6戦マイアミGP | 11位 |
| 第7戦エミリア・ロマーニャGP | 11位 |
| 第8戦モナコGP | Ret. |
| 第9戦カナダGP | 11位 |
| 第10戦スペインGP | 11位 |
| 第11戦オーストリアGP | 6位 |
| 第12戦イギリスGP | 6位 |
| 第13戦ハンガリーGP | 13位 |
| 第14戦ベルギーGP | 18位 |
| 第15戦オランダGP | 11位 |
| 第16戦イタリアGP | 17位 |
| 第17戦アゼルバイジャンGP | 11位 |
| 第18戦シンガポールGP | 9位 |
| 第19戦アメリカGP | 8位 |
| 第20戦メキシコGP | 9位 |
| 第21戦サンパウロGP | DSQ |
| 第22戦ラスベガスGP | 8位 |
| 第23戦カタールGP | Ret. |
| 第24戦アブダビGP | 8位 |
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| レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
|---|---|---|---|
| 第1戦 | バーレーンGP | 2月29日(木) ~3月1日(金) | 3月2日(土) |
| 第2戦 | サウジアラビアGP | 3月7日(木) ~8日(金) | 3月9日(土) |
| 第3戦 | オーストラリアGP | 3月22日(金) ~ 3月23日(土) | 3月24日(日) |
| 第4戦 | 日本GP | 4月5日(金) ~ 6日(土) | 4月7日(日) |
| 第5戦 | 中国GP | 4月19日(金) ~ 20日(土) | 4月21日(日) |
| 第6戦 | マイアミGP | 5月3日(金) ~ 4日(土) | 5月5日(日) |
| 第7戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月17日(金) ~ 18日(土) | 5月19日(日) |
| 第8戦 | モナコGP | 5月24日(金) ~ 25日(土) | 5月26日(日) |
| 第9戦 | カナダGP | 6月7日(金) ~ 8日(土) | 6月9日(日) |
| 第10戦 | スペインGP | 6月21日(金) ~ 22日(土) | 6月23日(日) |
| 第11戦 | オーストリアGP | 6月28日(金) ~ 29日(土) | 6月30日(日) |
| 第12戦 | イギリスGP | 7月5日(金) ~ 6日(土) | 7月7日(日) |
| 第13戦 | ハンガリーGP | 7月19日(金) ~ 20日(土) | 7月21日(日) |
| 第14戦 | ベルギーGP | 7月26日(金) ~ 27日(土) | 7月28日(日) |
| 第15戦 | オランダGP | 8月23日(金) ~ 24日(土) | 8月25日(日) |
| 第16戦 | イタリアGP | 8月30日(金) ~ 31日(土) | 9月1日(日) |
| 第17戦 | アゼルバイジャンGP | 9月13日(金) ~ 14日(土) | 9月15日(日) |
| 第18戦 | シンガポールGP | 9月20日(金) ~ 21日(土) | 9月22日(日) |
| 第19戦 | アメリカGP | 10月18日(金) ~ 19日(土) | 10月20日(日) |
| 第20戦 | メキシコGP | 10月25日(金) ~ 26日(土) | 10月27日(日) |
| 第21戦 | サンパウロGP | 11月1日(金) ~ 2日(土) | 11月3日(日) |
| 第22戦 | ラスベガスGP | 11月21日(木) ~ 22日(金) | 11月23日(土) |
| 第23戦 | カタールGP | 11月29日(金) ~ 30日(土) | 12月1日(日) |
| 第24戦 | アブダビGP | 12月6日(金) ~ 7日(土) | 12月8日(日) |