F1第7戦ロレックス・ベルギーGP 概要
3週連続グランプリ開催となった第4戦~第6戦を終え、1週間のインターバルを経て戦いの舞台はベルギーへ。伝統のスパ・フランコルシャンで第7戦を迎える。
スパ・フランコルシャンはアルデンヌ地方の森林地帯にあるサーキットで、1周7.004kmのコース長はF1レースの中でも屈指の長さ。周回数は44となる。
このコースは1921年より大きな三角形のコースレイアウトで創設され、1924年には第1回スパ24時間レースが開催されるなど、100年近い歴史を持つ。F1グランプリにおいても初年度の1950年より同サーキットで第5戦ベルギーGPが行われ、このときはアルファロメオを駆ったファン・マヌエル・ファンジオが優勝を果たしている。
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当時は1周の全長が15km近いロングコースで、スピードが出過ぎること、かつ森の中を高速で走り抜けることから、安全面の確保が難しいとの判断に。1970年の開催を一区切りに公道区間は除外し、レース専用区間のみで形成されるようになった。
1972年からベルギーGPはニヴェル、ゾルダーのサーキットが舞台となったが、スパは1983年から再びF1が開催されることに。
現在のコースに大きく近づいたのは1978年頃で、2002年まではオー・ルージュの坂もほぼフルスロットルで駆け上がる超高速区間だった。安全面の観点から一時、この坂にシケインが設けられたことも。だが世界中のF1ファンから不評だったこともあり、広いエスケープゾーンのある緩やかな上りカーブに改編されている。
ベルギーGP名物とも言われるこの坂では、1985年に世界耐久選手権でステファン・ベロフが、そして2019年のF2では有望株のアントワーヌ・ユベールが命を落とすなど、ハイスピードであるが故に痛ましいレーシングアクシデントも起こっている。
レースそのものはエキサイティングな展開になることが多いことから、スパ・フランコルシャンはF1ファンの間でも人気の高いサーキットの一つとされている。高速区間での判断力や度胸、テクニカルなターンではスキルを求められることもあり、スパ・フランコルシャンを「好きなコース」と挙げるF1ドライバーも少なくない。
第7戦までの状況
シルバーストンで行われた第5戦70周年記念GPでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが今季初勝利を挙げ、反撃の狼煙を上げたかに思われた。しかし、続くスペインGPではメルセデスのルイス・ハミルトンが頂点に返り咲く。ここまで6戦中4勝を挙げ、バルテリ・ボッタスの1勝を含めればメルセデスが5勝とグランプリを支配している。
次戦スパ・フランコルシャン・サーキットはF1屈指の高速サーキットとして名高く、パワーユニット(以下PU)の性能に大きく左右されるサーキットだ。レッドブルにPUを供給するホンダにとっては、高速サーキットでメルセデスに太刀打ちできるのかという正念場を迎える。続くモンツァ、ムジェロも高速サーキットなので、3連戦の行方を占う一戦となるだろう。
2019年F2で起こった悲劇
スパ・フランコルシャン・サーキットでは昨季、F2でのレース中にアントワーヌ・ユベールが事故により命を落としている。将来を嘱望された22歳の若者の死は、モータースポーツ界全体に暗い影を落とした。今週末は全てのドライバーがユベールに思いを馳せ、レースに臨むことになるだろう。
特に幼少時代から下位カテゴリーで切磋琢磨してきたピエール・ガスリー(アルファタウリ)、チャールズ・ルクレール(フェラーリ)の思いは強いはずだ。ルクレールはここまでチームの不調も相まって、昨季ほどのインパクトを残せていないが、ドライバーズランキングでは4位と奮闘。
昨季のベルギーGPでは親友の訃報に接しながらもF1でのキャリア初勝利を挙げており、再び亡き友に勝利を捧げられるか注目が集まる。一方のガスリーも激しい中団争いの中で3度入賞し、現在13位とこちらも頑張りを見せている。予選順位では今季4度のトップ10入りを果たしており、表彰台獲得も夢ではない。今週末はユベールの魂を乗せて走る2人の活躍に期待したい。
新たに17戦までのカレンダーが発表された今季のF1。シーズンの行方を左右する、高速サーキット3連戦の初戦を制するのはどのチームか。注目のベルギーGPはDAZNで配信される。
レース開催日程・DAZN配信予定
第7戦 ベルギーGP / スパ・フランコルシャン
配信予定 | 配信内容 | 実況・解説 |
---|---|---|
2020年8月28日(金) 18:00 | フリー走行 1回目 | 解:小倉茂徳 解:田中健一 |
2020年8月28日(金) 22:00 | フリー走行 2回目 | 解:小倉茂徳 実:笹川裕昭 |
2020年8月29日(土) 19:00 | フリー走行 3回目 | 解:小倉茂徳 解:田中健一 |
2020年8月29日(土) 22:00 | 予選 F1ゾーン:予選 | 解:小倉茂徳 実:中島秀之 |
2020年8月30日(日) 22:10 | 決勝 F1ゾーン:決勝 | 解:小倉茂徳 実:中島秀之 |
その他レース日程
サーキット(スパ・フランコルシャン)
ホームストレートは短いがここはDRS区間となっており、ターン1の右ヘアピンであるラ・スルスで仕掛けるケースも散見される。
そしてターン1を曲がった後、名物とも言えるオー・ルージュの坂を駆け上がっていく。その先に待ち受けるケメル・ストレートはオー・ルージュからトップスピードが持続されるうえにDRS区間でもあり、最大のオーバーテイクポイントとなる。
2000年のベルギーGPではミカ・ハッキネンが周回遅れのリカルド・ゾンタを挟みながら、ライバルのミハエル・シューマッハを抜くという離れ業を見せたことでも有名。このシーンは“F1史上最高のオーバーテイク”の一つとしていまだ語り草になっている。
セクター2からは緩やかな中速コーナーが続き、ターン15からセクター3に入り、ホームストレートへと戻っていく。トップスピードのストレート、そしてターンの多さから、速さとダウンフォースのどちらも求められるコースだけに、バランスや総合力が問われるレースとなる。
そして、同サーキットは山の中にあるうえ、コース長が長いことも相まって天候が目まぐるしく変わりやすい点も見どころの一つ。通称“スパ・ウェザー”はもはや風物詩であり、レース展開に大きく影響する要素でもある。
2019年 ベルギーGP 順位・結果
ポールポジションはシャルル・ルクレールで、2番手にセバスチャン・ベッテルが入ったことから、フェラーリのフロント・ロー独占となった。
前日のF2決勝でユベールが命を落とすという悲劇が起こり、レース前には1分間の黙祷が捧げられた。決勝はPPのルクレールが先行し、ベッテルが追う展開に。
ルクレールは先行したが、タイヤ交換を経てハミルトンとバルテリ・ボッタスが徐々にルクレールの背中に迫る展開となる。残り1周でルクレールは2位ハミルトンに1.5秒差に詰め寄られるも、ジョビナッツィがターン10でクラッシュしたことからイエローフラッグ。レースはこのままファイナルラップを終え、ルクレールがポール・トゥー・ウィンでF1初勝利をマークした。
F2のユベールはルクレールにとって幼い頃からともに競ってきた同世代の盟友。F1で初めて表彰台の頂点に立つとともに、ルクレールにとっては亡き親友に勝利を捧げるレースとなった。
順位・結果(決勝)
順位 | ドライバー | チーム | TIME | PTS |
---|---|---|---|---|
1 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 1:23:45.710 | 25 |
2 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | +0.981 | 18 |
3 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | +12.585 | 15 |
4 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | +26.422 | 13 |
5 | アレクサンダー・アルボン | レッドブル | +1:21.325 | 10 |
6 | セルジオ・ペレス | レーシング・ポイント | +1:24.448 | 8 |
7 | ダニール・クビアト | トロ・ロッソ | +1:29.657 | 6 |
8 | ニコ・ヒュルケンベルグ | ルノー | +1:46.639 | 4 |
9 | ピエール・ガスリー | トロ・ロッソ | +1:49.168 | 2 |
10 | ランス・ストロール | レーシング・ポイント | +1:49.838 | 1 |
11 | ランド・ノリス | マクラーレン | +1 Lap | |
12 | ケビン・マグヌッセン | ハース | +1 Lap | |
13 | ロマン・グロージャン | ハース | +1 Lap | |
14 | ダニエル・リカルド | ルノー | +1 Lap | |
15 | ジョージ・ラッセル | ウィリアムズ | +1 Lap | |
16 | キミ・ライコネン | アルファロメオ | +1 Lap | |
17 | ロバート・クビサ | ウィリアムズ | +1 Lap | |
18 | アントニオ・ジョヴィナッツィ | アルファロメオ | +2 Laps | |
Ret. | カルロス・サインツ | マクラーレン | ||
Ret. | マックス・フェルスタッペン | レッドブル |
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | オーストリアGP | 7月3日(金) ~ 4日(土) | 7月5日(日) |
第2戦 | シュタイアーマルクGP | 7月10日(金) ~11日(土) | 7月12日(日) |
第3戦 | ハンガリーGP | 7月17日(金) ~18日(土) | 7月19日(日) |
第4戦 | イギリスGP | 7月31日(金) ~ 8月1日(土) | 8月2日(日) |
第5戦 | 70周年記念GP | 8月7日(金) ~ 8日(土) | 8月9日(日) |
第6戦 | スペインGP | 8月14日(金) ~15日(土) | 8月16日(日) |
第7戦 | ベルギーGP | 8月28日(金) ~29日(土) | 8月30日(日) |
第8戦 | イタリアGP | 9月4日(金) ~ 5日(土) | 9月6日(日) |
第9戦 | トスカーナ・フェラーリ1000GP | 9月11日(金) ~12日(土) | 9月13日(日) |
第10戦 | ロシアGP | 9月25日(金) ~ 26日(土) | 9月27日(日) |
第11戦 | アイフェルGP | 10月9日(金) ~ 10日(土) | 10月11日(日) |
第12戦 | ポルトガルGP | 10月23日(金) ~24日(土) | 10月25日(日) |
第13戦 | エミリア・ロマーニャGP | 10月31日(土) | 11月1日(日) |
第14戦 | トルコGP | 11月13日(金) ~ 14日(土) | 11月15日(日) |
第15戦 | バーレーンGP | 11月27日(金) ~ 28日(土) | 11月29日(日) |
第16戦 | サクヒールGP | 12月4日(金) ~5日(土) | 12月6日(日) |
第17戦 | アブダビGP | 12月11日(金) ~ 12日(土) | 12月13日(日) |
F1の視聴方法
DAZNではF1™️の全レースに加え、F2・F3も配信予定。またメインフィード、オンボードカメラ、ドライバーズ・トラッカー、ライブタイミングを一つの画面で見ることができるオリジナル番組「F1 ZONE」や、「F1 LAB(ラボ)」といったコンテンツを配信。さらにレース後にはハイライト映像が配信され、また2週間見逃し配信が視聴可能だ。 また、F1™️以外にもJリーグ、欧州サッカー、プロ野球など多彩なスポーツコンテンツを楽しむことができる。
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